Skip to main content

エジプトの羊の毛生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エジプトの羊の毛生産量は1961年の約3,232トンから2022年の11,733トンへと長期的に増加しています。特に1990年代以降、顕著な上昇が見られ、2000年代中盤以降は11,000トンを超える安定的な生産水準を維持しています。一方で、一部の期間に大幅な変動が見られる点が課題となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,911
1.52% ↑
2022年 11,733
0.48% ↑
2021年 11,677
0.44% ↑
2020年 11,626
-0.46% ↓
2019年 11,680
0.83% ↑
2018年 11,584
-0.34% ↓
2017年 11,623
1.85% ↑
2016年 11,413
1.37% ↑
2015年 11,258
2.3% ↑
2014年 11,005
-1.11% ↓
2013年 11,128
2.48% ↑
2012年 10,859
1.2% ↑
2011年 10,730
-2.97% ↓
2010年 11,059
-1.11% ↓
2009年 11,183
1.7% ↑
2008年 10,996
0.56% ↑
2007年 10,935
1.52% ↑
2006年 10,771
2.93% ↑
2005年 10,464
3.76% ↑
2004年 10,085
2.1% ↑
2003年 9,878
-3.24% ↓
2002年 10,209
31.95% ↑
2001年 7,737
4.94% ↑
2000年 7,373
2.5% ↑
1999年 7,193
3.44% ↑
1998年 6,954
-10.77% ↓
1997年 7,793
15.64% ↑
1996年 6,739
-27.57% ↓
1995年 9,304
26.16% ↑
1994年 7,375
-3.54% ↓
1993年 7,646
1.37% ↑
1992年 7,543
1.37% ↑
1991年 7,441
43.1% ↑
1990年 5,200
6.12% ↑
1989年 4,900
1.03% ↑
1988年 4,850
7.78% ↑
1987年 4,500
5.88% ↑
1986年 4,250
13.64% ↑
1985年 3,740
8.41% ↑
1984年 3,450
-9.21% ↓
1983年 3,800
52% ↑
1982年 2,500
12.26% ↑
1981年 2,227
-6.11% ↓
1980年 2,372
-5.08% ↓
1979年 2,499
-4.33% ↓
1978年 2,612
-3.65% ↓
1977年 2,711
-3.04% ↓
1976年 2,796
-2.48% ↓
1975年 2,867
-1.95% ↓
1974年 2,924
-1.45% ↓
1973年 2,967
-0.97% ↓
1972年 2,996
-0.5% ↓
1971年 3,011
-2.05% ↓
1970年 3,074
3.26% ↑
1969年 2,977
3.4% ↑
1968年 2,879
-4.03% ↓
1967年 3,000
3.45% ↑
1966年 2,900
3.57% ↑
1965年 2,800
-12.5% ↓
1964年 3,200
-20.44% ↓
1963年 4,022
14.39% ↑
1962年 3,516
8.79% ↑
1961年 3,232 -

エジプトの羊の毛生産量の推移を見ると、1960年代から1970年代にかけて生産量が低迷した後、1980年代後半から顕著な上昇に転じています。1961年の3,232トンから始まり、1980年代後半には再び4,000トン台に復帰し、1995年には9,304トンに達しました。特に2002年には1万トンを超える10,209トンという新たな生産ピークを迎えました。それ以降、約20年間、年間生産量は11,000トン前後で比較的安定しています。2022年の生産量は11,733トンとなり、過去最高水準に近い結果となりました。

1960年代から1970年代にかけての低迷期については、地域の政治的不安定や経済的な困難が影響した可能性があります。1967年の第三次中東戦争やその後の地域的緊張が農業生産に与えた影響、さらにはインフラの不備や農業政策の不十分さが羊毛の生産性を損なったと考えられます。一方、1980年代後半からの大幅な改善は、エジプトの農業政策改革、技術の向上、家畜の改良努力、さらには国内市場や輸出市場の需要の高まりによるものと推測されます。

しかしながら、生産量の変動に注目すると、1995年から1996年にかけて約2,500トンもの急減が見られ、その後2002年には過去最高である10,209トンに達するスパイクが存在します。このような激しい変動の要因として、干ばつや疫病の流行、さらには羊の飼育頭数の変化が関連している可能性があります。近年、2022年時点では比較的安定した水準が続いているものの、気候変動や地域的衝突などのリスクが依然として懸念材料です。

エジプトにおける羊毛産業を国際的な文脈で見ると、主要輸出国である中国やオーストラリアと比較して競争上の課題があります。例えば、オーストラリアは高品質な羊毛で知られており、高付加価値の市場を席巻しています。一方、エジプトの羊毛は国内消費が中心であり、国際市場での競争力を高めるためには、品質改良への投資や新たな市場開拓が不可欠です。

未来に向けた提案としては、以下の対策が考えられます。第一に、気候変動の影響を緩和するための持続可能な牧草地管理や水資源の効率的利用を進める必要があります。第二に、家畜の品種改良を強化し、より高品質な羊毛生産を目指す努力が求められます。第三に、国内外の市場需要を的確に把握し、輸出向けのマーケティング戦略を精査することが重要です。また、疫病のリスク管理を重大課題と捉え、早期発見・対策プログラムを整備することも喫緊の課題です。

さらに、地政学的な背景にも配慮する必要があります。エジプトが地中海および中東地域の中心に位置していることを考えると、地域紛争や貿易障壁が羊毛生産および関連産業に影響を及ぼす可能性は無視できません。こうしたリスクを軽減するためにも、地域協力の枠組みを強化し、安定的な交易環境を維持する取り組みが求められます。

結論的には、エジプトの羊毛生産量は長期的には増加傾向にあり、政策的な工夫と技術革新によりさらなる成長が期待できます。ただし、外部要因としての気候変動や疫病、地政学的なリスクに対する備えを怠らず、国際市場での競争力向上を視野に入れることが、持続可能な産業発展への鍵となるでしょう。