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エジプトの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

エジプトの桃(モモ)・ネクタリン生産量は1961年の3,498トンから始まり、1990年代に急激な増加を見せ、1998年にはピークの429,853トンに達しました。しかし2000年代以降は、生産量の変動が激しく、近年は減少傾向が続いています。2023年の生産量は248,725トンと大幅に減少しており、これに対する政策的・農業技術的な対応が求められます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 248,725
-8.76% ↓
2022年 272,592
-1.45% ↓
2021年 276,608
1.14% ↑
2020年 273,500
-21.77% ↓
2019年 349,630
-6.76% ↓
2018年 374,981
-11.86% ↓
2017年 425,448
29.56% ↑
2016年 328,390
21.82% ↑
2015年 269,572
-7.04% ↓
2014年 290,001
3.16% ↑
2013年 281,119
-1.43% ↓
2012年 285,194
-14.22% ↓
2011年 332,487
21.68% ↑
2010年 273,256
-24.77% ↓
2009年 363,209
-9.06% ↓
2008年 399,416
-6.08% ↓
2007年 425,273
-0.55% ↓
2006年 427,639
18.79% ↑
2005年 360,000
-0.26% ↓
2004年 360,937
19.25% ↑
2003年 302,667
-10.79% ↓
2002年 339,266
37.19% ↑
2001年 247,300
2.96% ↑
2000年 240,193
-20.25% ↓
1999年 301,191
-29.93% ↓
1998年 429,853
14.03% ↑
1997年 376,969
17.44% ↑
1996年 321,000
20.22% ↑
1995年 267,000
25.35% ↑
1994年 213,000
33.96% ↑
1993年 159,000
51.43% ↑
1992年 105,000
100.45% ↑
1991年 52,381
39.9% ↑
1990年 37,442
13.46% ↑
1989年 33,000 -
1988年 33,000
3.13% ↑
1987年 32,000
3.23% ↑
1986年 31,000
138.46% ↑
1985年 13,000 -
1984年 13,000
18.18% ↑
1983年 11,000
22.22% ↑
1982年 9,000
-21.73% ↓
1981年 11,499
17.91% ↑
1980年 9,752
-0.47% ↓
1979年 9,798
-11.15% ↓
1978年 11,027
5.65% ↑
1977年 10,437
2.64% ↑
1976年 10,169
-2.22% ↓
1975年 10,400
7.22% ↑
1974年 9,700
-11.82% ↓
1973年 11,000
10% ↑
1972年 10,000
-28.57% ↓
1971年 14,000
40% ↑
1970年 10,000
-28.57% ↓
1969年 14,000 -
1968年 14,000
45.88% ↑
1967年 9,597
16.98% ↑
1966年 8,204
58.62% ↑
1965年 5,172
-7.41% ↓
1964年 5,586
5.58% ↑
1963年 5,291
26.79% ↑
1962年 4,173
19.3% ↑
1961年 3,498 -

エジプトの桃(モモ)・ネクタリン生産量の歴史を振り返ると、1961年から1985年ごろまでは、年間生産量が5,000〜30,000トンの範囲内で比較的低い水準にとどまりました。しかし1986年以降、生産量は急増し、1990年代には農業技術の導入や品種改良、水管理の改善などが影響し、顕著な成長を示しました。この結果、1998年には429,853トンというピークに達し、世界的にも注目される生産国の一つとなりました。しかし、その後の数十年間で生産量は変動を繰り返しつつ、徐々に減少してきました。特に近年、2020年から2023年の間に生産量は30万トンを下回り、2023年には248,725トンにまで落ち込んでいます。

この変動の背景には、エジプト独自の農業環境や政策的要因、さらに地政学的なリスクが関連しています。まず、エジプトの桃・ネクタリン栽培はナイル川からの灌漑水に大きく依存していますが、水資源の利用を巡る近隣諸国との摩擦や気候変動による水不足が深刻化しつつあります。また、農業用地の都市化による減少、農業従事者の高齢化、肥料や農薬などの資材コストの上昇といった課題も、生産量の減少に影響を及ぼしている可能性があります。

さらに、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響で輸出機会が減少し、生産者の意欲も削がれる要因となりました。加えて、エジプトの主要農産物である小麦や野菜と競合する形で果樹栽培への投資が減少し、桃・ネクタリンの生産にもブレーキがかかっています。

将来的にこの状況を改善するためには、複数のアプローチが求められます。まず、水資源管理を一層強化するために、ダムの建設や水の効率的な配分を支援する政策が重要です。加えて、耐乾性のある品種の導入や、農業技術のデジタル化を通じた効率的な栽培手法の普及も不可欠です。さらに、農業従事者の育成や若者の農業参加を促進するための教育プログラムの提供も求められます。

国際的な協力および周辺諸国間での水資源交渉の進展も重要です。特に、ナイル川を巡る地政学的な対立を和らげるための外交努力や、多国間合意の形成が必要です。同時に、桃やネクタリンを含む果物の輸出マーケットの開拓を進め、国内外での需要をさらに伸ばすことが、持続可能な成長につながるでしょう。

結論として、エジプトは、桃(モモ)・ネクタリンの生産量を増加に転じさせるために、農業政策、気候変動適応戦略、国際協力を強化する必要があります。これにより、現在の課題を克服し、安定した農業基盤を築くことができれば、エジプトは再び主要な桃・ネクタリンの輸出国としての地位を取り戻す可能性があります。