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エジプトのメロン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、エジプトのメロン生産量は1960年代から長期的に見て大きな増加傾向を示してきましたが、近年は大幅な変動が見られています。ピークとなったのは2010年の1,076,770トンですが、その後減少傾向に転じ、特に2019年以降は生産量が急激に低下しています。2023年には453,413トンと回復の兆しはありますが、全盛期に比べると半分以下の水準に留まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 453,413
22.97% ↑
2022年 368,731
-31.59% ↓
2021年 538,967
298.64% ↑
2020年 135,200
12.29% ↑
2019年 120,400
-82.3% ↓
2018年 680,355
5.94% ↑
2017年 642,199
-39.8% ↓
2016年 1,066,817
3.89% ↑
2015年 1,026,877
-2.19% ↓
2014年 1,049,849
13.53% ↑
2013年 924,768
-8.24% ↓
2012年 1,007,845
-2.94% ↓
2011年 1,038,412
-3.56% ↓
2010年 1,076,770
17.25% ↑
2009年 918,360
-0.58% ↓
2008年 923,718
11.32% ↑
2007年 829,779
11.24% ↑
2006年 745,953
32.03% ↑
2005年 565,000
0.35% ↑
2004年 563,016
18.83% ↑
2003年 473,809
-3.12% ↓
2002年 489,076
-42.9% ↓
2001年 856,532
7.07% ↑
2000年 800,000
3.41% ↑
1999年 773,624
65.51% ↑
1998年 467,421
-14.52% ↓
1997年 546,814
3.97% ↑
1996年 525,913
49.9% ↑
1995年 350,842
1.69% ↑
1994年 345,000
1.47% ↑
1993年 340,000
-15.21% ↓
1992年 401,000
-13.36% ↓
1991年 462,831
11.1% ↑
1990年 416,597
-22.86% ↓
1989年 540,062
5.64% ↑
1988年 511,217
13.1% ↑
1987年 452,000
0.67% ↑
1986年 449,000
-2.18% ↓
1985年 459,000
31.9% ↑
1984年 348,000
-12.12% ↓
1983年 396,000
-1.34% ↓
1982年 401,394
6.37% ↑
1981年 377,350
3.3% ↑
1980年 365,311
8.96% ↑
1979年 335,286
25.92% ↑
1978年 266,270
22.13% ↑
1977年 218,021
-16.76% ↓
1976年 261,928
-8.42% ↓
1975年 286,000
8.75% ↑
1974年 263,000
4.78% ↑
1973年 251,000 -
1972年 251,000
-7.04% ↓
1971年 270,000
10.2% ↑
1970年 245,000
-1.61% ↓
1969年 249,000
-12.01% ↓
1968年 283,000
-6.61% ↓
1967年 303,018
-8.8% ↓
1966年 332,261
-5.19% ↓
1965年 350,455
6.95% ↑
1964年 327,682
-6.86% ↓
1963年 351,818
13.06% ↑
1962年 311,187
23.29% ↑
1961年 252,411 -

エジプトのメロン生産量の推移データを見ると、1960年代の低迷期から2000年代にかけて、緩やかではありますが着実な増加傾向が見られます。この期間は、農業技術の改善や農地面積の拡大、さらには灌漑技術の発達が収穫量の安定化に貢献したと考えられます。2010年に過去最高の1,076,770トンを記録したのは、農業政策の成功例として挙げられるでしょう。同年は気候条件も比較的安定しており、生産に有利な環境が整っていたと推測されます。

しかし、2010年以降になると状況は変化し、特に2019年以降では生産量が急激に減少しています。このような急激な減少の背景には、国内の社会的・経済的要因、気候変動の影響、そして地政学的な影響が絡んでいると考えられます。たとえば、中東・北アフリカ地域で深刻化する水資源不足の問題は、農業生産に直接的な制約を与えています。エジプトでは、ナイル川の水利用を巡る地政学的対立があり、隣国エチオピアによるグランド・ルネサンスダムの建設が水供給に大きな影響を与える懸念があります。このような要因が、特に2019年以降の生産量急減の要因の一つとして挙げられるでしょう。

さらに、気候変動による異常気象も重要な影響要因です。高温や干ばつ、さらには突風や洪水といった予測困難な気象状況が作付け時期を不安定にすることで、生産性が低下しています。2017年以降のデータを見ると、異常な気象パターンや土壌の不安定性によって生産量が大きく変動しています。また、メロンは特に水の利用効率が重要とされる作物であるため、水資源が限られる状況では他の作物よりも大きな影響を受けやすくなっています。

課題として見逃せないのは、エジプト国内の人口増加と経済状況の影響です。エジプトは世界でも人口増加率が高い国の一つであり、主食作物の生産が優先される傾向が強まっています。このような中で付加価値の高い果物であるメロンの栽培面積が縮小している可能性も否定できません。さらに、輸出市場の変動や、メロンの需要減少も生産に影響を及ぼしていると考えられます。

今後、この課題を解決するためには、水不足への対応が不可欠です。具体的には、灌漑技術のさらなる高度化や水資源の効率的な管理、そして気候変動に適応した耐乾燥性品種の育成が重要になります。また、農家に対する教育や技術支援、さらには持続可能な農業を推進するための政策支援が求められます。加えて、エジプト政府や地域間協力により、ナイル川をめぐる水資源の公平な分配や紛争の解決に向けた取り組みが重要です。

さらに地政学的リスクも考慮すると、国際機関、特に国際連合やアフリカ連合などが地域の協力体制を主導し、エジプトを含むナイル川流域諸国への総合的な支援を行う必要があります。その一環として、気候変動の影響を軽減するための資金援助や技術供与が期待されます。

結論として、エジプトのメロン生産量は一時的な回復を見せつつあるものの、持続的に安定した成長を遂げるには、気候変動や水資源不足、そして地域的な地政学的課題といった構造的問題の解決が欠かせません。これらの課題にエジプト政府と国際社会が協力して取り組むことで、メロン生産量の再成長だけでなく、エジプトの農業全体の持続可能性を高める一助となるでしょう。