1981年度、世界のオリーブ生産量ランキングにおいて、1位はイタリアで3,024,000トン、2位はスペインで1,520,800トン、3位はギリシャで1,466,990トンでした。これら上位3か国が、特に地中海性気候の強みを活かして世界のオリーブ生産を牽引しています。一方で、ランキング下位にはオーストラリア、中国、ブラジルなど地中海地域外の国々が少量ながら生産を行っています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 3,024,000 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 1,520,800 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 1,466,990 |
| 4 |
|
アフリカ | 400,000 |
| 5 |
|
アジア | 400,000 |
| 6 |
|
アフリカ | 213,812 |
| 7 |
|
アジア | 207,892 |
| 8 |
|
アフリカ | 200,000 |
| 9 |
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ヨーロッパ | 165,881 |
| 10 |
|
アフリカ | 154,800 |
| 11 |
|
南アメリカ | 99,000 |
| 12 |
|
北アメリカ | 40,730 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 24,000 |
| 14 |
|
アジア | 19,700 |
| 15 |
|
アジア | 18,851 |
| 16 |
|
アジア | 15,000 |
| 17 |
|
南アメリカ | 10,863 |
| 18 |
|
アジア | 10,668 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 10,500 |
| 20 |
|
アジア | 9,000 |
| 21 |
|
南アメリカ | 8,525 |
| 22 |
|
南アメリカ | 6,942 |
| 23 |
|
アフリカ | 5,396 |
| 24 |
|
南アメリカ | 3,100 |
| 25 |
|
南アメリカ | 2,900 |
| 26 |
|
アジア | 2,000 |
| 27 |
|
オセアニア | 1,537 |
| 28 |
|
アジア | 1,000 |
| 29 |
|
アジア | 648 |
| 30 |
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南アメリカ | 248 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 14 |
| 32 |
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アジア | 5 |
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Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した1981年度のデータによると、オリーブの生産においてイタリア、スペイン、ギリシャの3か国が他を圧倒しています。イタリアの年間生産量は3,024,000トンで、世界全体の生産量のおよそ40%を占めています。スペインとギリシャも合計で約31%を占めており、この3か国が合計で世界生産量の約71%を担っていることから、オリーブ生産が地中海地域に極めて集中していることが分かります。
この集中の背景には、地中海性気候がオリーブ栽培に非常に適していることがあります。冬が温暖で、夏の乾燥と強い日差しがオリーブの果実成熟を促進するため、イタリア、スペイン、ギリシャでの生産が特に優れた成果をもたらしています。一方で、地中海性気候を持つ他の地域、例えばチュニジア、トルコ、モロッコなどでも安定した生産量を維持し、世界の供給を支えています。ただし、これらの国々の生産量は、イタリアやスペインのような規模には達していません。
他方で、非地中海地域ではオリーブ生産が限定されている状況が見て取れます。アメリカ合衆国(40,730トン)やアルゼンチン(99,000トン)のような国々では、近年のオリーブオイル需要の高まりに対応するため、試験的な栽培や品種改良が進められているものの、地中海地域における生産量との差は依然として顕著です。このような地域における生産の低調さには、適切な気候条件の不足が主な原因として挙げられます。
地政学的な側面から見ると、オリーブは地中海地域の主要輸出品であり、各国の農業経済に大きく寄与しています。しかし、地中海地域が抱える政治的な不安定要因や気候変動の進行は、将来的な生産量に影響を与える可能性があると言えます。例えば、シリアやリビアといった国々では、内戦や政治的な混乱によって農業インフラや労働力が損なわれており、これは長期的な生産の減少につながりかねません。また、気候変動による気温上昇や降水量の変化もオリーブ栽培に影響を与えると考えられます。
このような状況に対応するためには、いくつかの対策が有効です。まず、地中海地域での持続可能な栽培技術を推進し、気候変動への適応力を高めることが求められます。例えば、耐乾燥性や病害虫耐性の高い品種の開発は、生産の安定化に寄与するでしょう。また、より豊かな土地を持つ非地中海地域において、技術移転や投資を促進することで、生産分布の多極化を図ることも重要です。これにより、地中海地域における自然災害や紛争といったリスクに対する備えが強化される可能性があります。
さらに、国際機関や国間の協力を通じて、オリーブ栽培および関連産業を支援する枠組みづくりが必要不可欠です。時代を経るにつれて、オリーブオイルや加工品は食品・化粧品業界での需要が急増しており、新興国における消費の伸びも見込まれています。このため、生産の効率化や輸送網の整備は各国の競争力を高める重要な機会となるでしょう。
1981年のランキングデータを通じて浮かび上がるのは、地中海地域の強力なオリーブ生産基盤であり、同時に、それに依存する世界経済の一端です。今後は、気候変動や人口増加、新興国市場の需要増といった時代の課題に対応する形で、生産の多角化と持続可能性の向上を目指す必要があります。この取り組みが進めば、より公平で安定したオリーブ供給が実現する可能性があります。