国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、エジプトのサトイモ生産量は過去数十年間に大きな波を描きながら変動してきました。1961年の25,000トンというスタートから始まり、1970年代後半には10万トンを超え、その後も増減を繰り返しながら2022年には過去最高の158,182トンを記録しました。このデータは、エジプト農業の潜在的な成長の余地と同時に、気候変動や政策的な要因が与える影響を示唆しています。
エジプトのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 178,050 |
12.56% ↑
|
2022年 | 158,182 |
0.92% ↑
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2021年 | 156,734 |
17.45% ↑
|
2020年 | 133,450 |
9.39% ↑
|
2019年 | 122,000 |
1.13% ↑
|
2018年 | 120,639 |
10.52% ↑
|
2017年 | 109,153 |
25.94% ↑
|
2016年 | 86,669 |
-15.5% ↓
|
2015年 | 102,563 |
-16.5% ↓
|
2014年 | 122,833 |
5.36% ↑
|
2013年 | 116,582 |
-1.83% ↓
|
2012年 | 118,759 |
15.17% ↑
|
2011年 | 103,117 |
-13.62% ↓
|
2010年 | 119,379 |
4.46% ↑
|
2009年 | 114,281 |
-24.8% ↓
|
2008年 | 151,971 |
10.04% ↑
|
2007年 | 138,099 |
10.15% ↑
|
2006年 | 125,376 |
25.38% ↑
|
2005年 | 100,000 |
-14.29% ↓
|
2004年 | 116,673 |
9.17% ↑
|
2003年 | 106,872 |
61.14% ↑
|
2002年 | 66,324 |
48.63% ↑
|
2001年 | 44,625 |
5.27% ↑
|
2000年 | 42,392 |
-9.94% ↓
|
1999年 | 47,069 |
-38.8% ↓
|
1998年 | 76,904 |
-17.86% ↓
|
1997年 | 93,621 |
-36.9% ↓
|
1996年 | 148,368 |
23.34% ↑
|
1995年 | 120,289 |
0.24% ↑
|
1994年 | 120,000 |
-4% ↓
|
1993年 | 125,000 |
-2.41% ↓
|
1992年 | 128,090 |
8.55% ↑
|
1991年 | 118,000 |
19.19% ↑
|
1990年 | 99,000 |
-20.8% ↓
|
1989年 | 125,000 |
34.41% ↑
|
1988年 | 93,000 |
-13.08% ↓
|
1987年 | 107,000 |
2.88% ↑
|
1986年 | 104,000 |
10.64% ↑
|
1985年 | 94,000 |
-8.74% ↓
|
1984年 | 103,000 |
-5.5% ↓
|
1983年 | 109,000 |
19.8% ↑
|
1982年 | 90,986 |
-4.02% ↓
|
1981年 | 94,795 |
1.04% ↑
|
1980年 | 93,815 |
-5.21% ↓
|
1979年 | 98,968 |
19.31% ↑
|
1978年 | 82,952 |
14.46% ↑
|
1977年 | 72,471 |
-5.88% ↓
|
1976年 | 77,000 |
22.22% ↑
|
1975年 | 63,000 |
3.28% ↑
|
1974年 | 61,000 |
60.53% ↑
|
1973年 | 38,000 |
-7.32% ↓
|
1972年 | 41,000 |
28.13% ↑
|
1971年 | 32,000 |
3.23% ↑
|
1970年 | 31,000 |
-24.39% ↓
|
1969年 | 41,000 |
-4.65% ↓
|
1968年 | 43,000 |
16.22% ↑
|
1967年 | 37,000 |
5.71% ↑
|
1966年 | 35,000 |
6.06% ↑
|
1965年 | 33,000 |
6.45% ↑
|
1964年 | 31,000 |
14.81% ↑
|
1963年 | 27,000 |
28.57% ↑
|
1962年 | 21,000 |
-16% ↓
|
1961年 | 25,000 | - |
エジプトのサトイモ生産量推移を見ると、初期の1960年代から1970年代にかけては比較的なだらかな増加傾向が見られます。この時期は計画的な農業政策が導入されていたことが背景にあると考えられます。しかし、1979年に10万トンを達成した後、生産量が大きく変動するようになります。1980年代以降における急上昇と急下降の背景には、灌漑設備の改善、気象条件の変化、農地の利用効率化、政府支援の強弱などが影響していることが予想されます。特に、1999年に47,069トンという急激な低下を記録したことは注目に値し、この年の低収量は干ばつや水不足、あるいは主要な農業政策の転換期と一致している可能性があります。
さらに、2000年代初頭において再び生産量が回復し、2003年には10万トンを超えています。これは、エジプト政府が農地再生プロジェクトや新たな灌漑技術の導入を進めた影響が大きいと考えられます。その後の波状的な変動を経て、2020年以降では再び顕著な増加傾向が見られ、2022年には過去最高の158,182トンに至っています。この近年の成長は、近代化農業技術の導入や市場需要の拡大が要因と考えられます。
エジプトのサトイモ生産は、地域や国際市場にとって重要な貢献を果たす一方、水資源の枯渇や土地劣化という課題にも直面しています。ナイル川に大きく依存しているエジプト農業にとって、気候変動の影響により干ばつリスクが高まる中、水の効率的な利用が喫緊の課題です。また、地域的な地政学的リスク、特に周辺諸国とのナイル川水利権を巡る争いも、サトイモ生産に長期的な影響を与える可能性があります。
将来的な課題に対して、エジプト政府および農業関連機関は、持続可能な農業政策を一層推進する必要があります。具体的な対策として、灌漑技術のさらなる革新を通じて、水使用効率を向上させることが求められます。また、国内での農業教育の普及や、投資先として農業部門を強化するために民間や国際機関と連携したプロジェクトが効果を発揮するでしょう。加えて、気象災害や地政学的リスクに対応するためのリスク管理計画も重要です。これには防災インフラの整備や、ナイル川を巡る外交政策の強化が含まれるべきでしょう。
結論として、エジプトのサトイモ生産は大きな改善努力の成果を示している一方、持続可能性と安定性の両立にはまだ解決すべき課題が存在します。FAOのデータに基づいた政策策定や地域間協力の枠組み構築など、具体的な行動によって、エジプト産サトイモのさらなる成長と国際市場での重要性向上が期待されます。