Food and Agriculture Organization(FAO)が2024年に更新したデータによると、1970年におけるオリーブ生産量の1位はイタリア(2,120,500トン)、2位はスペイン(2,100,000トン)、3位はギリシャ(992,170トン)でした。これら3か国が世界のオリーブ生産を大きく牽引しており、これに続く国としてトルコやチュニジアがランクインしています。一方で、日本を含むアジアや南北アメリカ諸国の生産量は全体的に低い水準にとどまり、地中海沿岸地域が顕著な生産の中心地となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 2,120,500 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 2,100,000 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 992,170 |
| 4 |
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アジア | 681,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 454,600 |
| 6 |
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ヨーロッパ | 454,002 |
| 7 |
|
アフリカ | 160,000 |
| 8 |
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アフリカ | 137,571 |
| 9 |
|
アジア | 85,402 |
| 10 |
|
アフリカ | 73,254 |
| 11 |
|
南アメリカ | 48,992 |
| 12 |
|
北アメリカ | 47,173 |
| 13 |
|
アジア | 44,396 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 20,000 |
| 15 |
|
アジア | 15,000 |
| 16 |
|
南アメリカ | 11,000 |
| 17 |
|
アジア | 10,373 |
| 18 |
|
アジア | 10,000 |
| 19 |
|
南アメリカ | 9,815 |
| 20 |
|
南アメリカ | 8,513 |
| 21 |
|
アジア | 7,620 |
| 22 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 23 |
|
アジア | 6,600 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 5,583 |
| 25 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 26 |
|
オセアニア | 1,939 |
| 27 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 28 |
|
アジア | 1,321 |
| 29 |
|
アジア | 1,200 |
| 30 |
|
南アメリカ | 1,086 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 11 |
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1970年のオリーブ生産量ランキングを見ると、世界のオリーブ生産において地中海沿岸諸国が圧倒的な優位性を誇っていることが分かります。首位に輝いたイタリアが生産した2,120,500トンは、成熟した農業技術と豊かな土壌、そして長い農業の伝統に裏付けられています。イタリアと同様に2位にランクインしたスペイン(2,100,000トン)や、3位のギリシャ(992,170トン)も、オリーブがこれら諸国の重要な輸出品であることを反映した結果と言えます。
興味深いのは、これに続くトルコ(681,000トン)やチュニジア(454,600トン)、ポルトガル(454,002トン)なども地中海沿岸を基盤としており、この地域がオリーブ生産の地理的な要として機能している点です。地中海性気候がオリーブの栽培に適していることはよく知られていますが、他地域と比較するとその生産量の違いは歴然としています。一方で、地中海の外ではモロッコ(160,000トン)やアルゼンチン(48,992トン)が一定の成果を上げていますが、生産規模では地中海沿岸諸国には遠く及びません。
また、アジアや南北アメリカ、オセアニア諸国ではオリーブの生産が極めて少ないのが特徴です。例えば、日本や中国はこのランキングには含まれていませんが、これは気候条件や消費文化、栽培技術の未発展が要因として挙げられると言えます。
一方で、問題点も指摘できます。1970年当時、特に中東や北アフリカの一部では、政治的な不安定さが農業生産全体に影響を与えていました。例えばシリア(85,402トン)やアルジェリア(137,571トン)では、地元での消費を主な目的としていたため、国際的な輸出市場の競争には後れを取る状況が続いていました。チュニジアについては、国際市場に出るための物流インフラが未整備だったことが、さらなる大規模な輸出を阻む要因でした。
オリーブの市場が1970年以降も拡大し続け、オリーブオイルの需要が高まる中で、将来的な課題もいくつか見えてきます。例えば、地中海地域では気候変動がオリーブ栽培に影響を与えつつあります。気温の上昇や降雨量の減少が予測されるため、今後は気候変動への適応が求められるでしょう。また、生産国間の貿易不均衡の是正や、栽培に労働を支える移民問題、さらにはオリーブ農家に適切な報酬が支払われる仕組みの確立も重要な課題となります。
国際社会としては、オリーブ栽培の持続可能な運営を実現するためにさまざまな政策が考えられます。特に大規模生産国が中心となって、気候変動に対応するための灌漑システムの整備や、耐乾燥性のオリーブ品種の研究・開発を進めるべきです。また、新たな市場を開拓するために、地中海諸国が共同で販促キャンペーンを行うことや、発展途上国のオリーブ産業を支援するための技術移転も効果的と考えられます。
結論として、1970年当時のデータは、オリーブ生産の地理的、経済的な分布を示す貴重な指標です。このデータを参考に、地中海地域を中心とした農業政策の改善や気候変動への対処を進めることが、持続可能な農業と地域の経済発展に寄与するでしょう。また、他地域でも技術や品種改良を通じた生産拡大の取り組みを行うことで、新たな市場の創出が期待されると考えられます。