世界のオリーブ生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

出典： Food and Agriculture Organization「国際連合食糧農業機関」

1996年のオリーブ生産量ランキングによれば、スペインが4,517,200トンで1位、次いでイタリア（2,147,340トン）、ギリシャ（2,131,711トン）が続いています。これらの3カ国だけで、世界全体のオリーブ生産量の約60%以上を占めており、地中海地域が生産の中心であることが明らかです。一方で、アフリカ北部や中東の国々も一定のシェアを持ち、チュニジア、モロッコ、シリア、エジプトなどが上位にランクインしています。非地中海地域ではアメリカ合衆国が12位に位置していますが、生産量は150,600トンと他地域に比べて控えめです。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	スペイン	ヨーロッパ	4,517,200
2	イタリア	ヨーロッパ	2,147,340
3	ギリシャ	ヨーロッパ	2,131,711
4	トルコ	アジア	1,800,000
5	チュニジア	アフリカ	1,550,000
6	モロッコ	アフリカ	908,300
7	シリア・アラブ共和国	アジア	647,645
8	アルジェリア	アフリカ	313,334
9	ポルトガル	ヨーロッパ	284,118
10	エジプト	アフリカ	208,133
11	リビア	アフリカ	185,680
12	アメリカ合衆国	北アメリカ	150,600
13	パレスチナ国	アジア	130,514
14	レバノン	アジア	96,475
15	アルゼンチン	南アメリカ	91,940
16	ヨルダン	アジア	88,590
17	イスラエル	アジア	41,000
18	アルバニア	ヨーロッパ	27,660
19	ペルー	南アメリカ	27,050
20	イラン（イスラム共和国）	アジア	24,781
21	クロアチア	ヨーロッパ	16,071
22	フランス	ヨーロッパ	15,616
23	イラク	アジア	12,500
24	キプロス	アジア	12,500
25	チリ	南アメリカ	8,000
26	メキシコ	南アメリカ	7,205
27	エルサルバドル	南アメリカ	4,407
28	中国、台湾中国省	アジア	2,890
29	ウルグアイ	南アメリカ	2,800
30	アフガニスタン	アジア	1,100
31	オーストラリア	オセアニア	800
32	スロベニア	ヨーロッパ	785
33	アゼルバイジャン	アジア	90
34	ウズベキスタン	アジア	80
35	ブラジル	南アメリカ	63
36	マルタ	ヨーロッパ	10
37	クウェート	アジア	1
+ すべての国を見る

1996年のオリーブ生産量データは、地中海地域の気候条件と農業特性がオリーブ生産においていかに重要な役割を果たしているかを示しています。世界のオリーブ生産量のトップ3であるスペイン、イタリア、ギリシャは、その気候がオリーブの栽培に最適であることに加え、伝統的な生産方法や高い農業技術に基づく長い歴史を持っています。この3カ国を合わせると、生産量は約8,796,251トンに達し、地中海地域が世界市場で主導的な地位を占めていることが裏付けられます。

一方で、地中海地域以外の国々では、オリーブの生産規模が比較的小さく、アメリカ合衆国やアルゼンチンなど非地中海国の生産量はトップ国と比べると大幅に少なくなっています。このことは、地理的要因と気候条件が生産量に大きな影響を与えることを示しています。また、オリーブが農産物として非常に地域特有であることから、経済や貿易の観点でも地中海諸国に有利な状況が存在しているといえます。

アフリカ北部に注目すると、チュニジア（1,550,000トン）やモロッコ（908,300トン）がランクインしており、地中海沿岸地帯がこれらの国々にとっても大きな資産であることがわかります。しかしながら、多くの途上国ではインフラの未整備や気候変動による干ばつリスクが課題となっています。とくに水資源の管理や持続可能な農業手法の導入が喫緊の課題となるでしょう。

地政学的な観点では、中東のシリアやパレスチナ、イスラエルなどもランキングに含まれますが、これらの地域では紛争や政治的不安定がオリーブ生産量に影響を与える可能性があります。特にシリア（647,645トン）のオリーブ産業は、内戦や経済制裁の影響を受けやすく、安定した農業生産の確保が困難と言わざるを得ません。

今後の課題として、地中海以外の地域でのオリーブ栽培拡大の可能性を探ることが求められます。これは、地中海地域が気候変動や市場の需要変動に弱いことを考慮すると、リスク分散の観点からも重要です。具体的には、オーストラリアや南米諸国における農業技術支援や輸出促進の取り組みが挙げられます。また、低生産国への技術移転や気候適応策の導入による支援が、将来のグローバル供給体制を強化する重要な戦略となるでしょう。

結論として、1996年のデータは、地中海地域がオリーブ生産の中心であることを際立たせていますが、同時に、地政学的リスクや気候的制約が潜在的な課題となることを示しています。これらのリスクを軽減するためには、国際機関や関係各国の協力が不可欠です。特に、持続可能な農業政策の導入や地域間の協力体制の構築が、地球規模での食料安全保障に大きく寄与すると考えられます。