2016年度のオリーブ生産量ランキングでは、スペインが突出した生産量を記録し、約7,082,550トンで世界1位でした。2位のギリシャとの差は約2.5倍に達しており、圧倒的な地位を占めています。上位3か国にはギリシャ(2,755,431トン)とイタリア(2,038,303トン)が続き、これらの国々が世界のオリーブ生産の中核を担っています。中東や北アフリカの国々が上位に多く見られ、一方で日本や東アジア諸国の生産はほとんど目立ちません。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 7,082,550 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 2,755,431 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 2,038,303 |
| 4 |
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アジア | 1,730,000 |
| 5 |
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アフリカ | 1,416,107 |
| 6 |
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アフリカ | 874,748 |
| 7 |
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アフリカ | 700,000 |
| 8 |
|
アフリカ | 696,431 |
| 9 |
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アジア | 668,441 |
| 10 |
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ヨーロッパ | 476,003 |
| 11 |
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南アメリカ | 247,555 |
| 12 |
|
アフリカ | 176,391 |
| 13 |
|
アジア | 157,646 |
| 14 |
|
北アメリカ | 149,590 |
| 15 |
|
アジア | 115,812 |
| 16 |
|
南アメリカ | 114,225 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 99,075 |
| 18 |
|
アジア | 93,996 |
| 19 |
|
アジア | 91,000 |
| 20 |
|
アジア | 88,000 |
| 21 |
|
オセアニア | 86,800 |
| 22 |
|
南アメリカ | 56,157 |
| 23 |
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ヨーロッパ | 31,183 |
| 24 |
|
南アメリカ | 21,650 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 18,333 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 12,504 |
| 27 |
|
南アメリカ | 10,862 |
| 28 |
|
アジア | 10,061 |
| 29 |
|
アジア | 9,332 |
| 30 |
|
アジア | 8,001 |
| 31 |
|
南アメリカ | 5,100 |
| 32 |
|
アジア | 2,603 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 1,662 |
| 34 |
|
アジア | 1,586 |
| 35 |
|
南アメリカ | 647 |
| 36 |
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ヨーロッパ | 412 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 359 |
| 38 |
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アジア | 114 |
| 39 |
|
アジア | 64 |
| 40 |
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ヨーロッパ | 30 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2016年のデータを基にしたオリーブ生産量ランキングでは、オリーブ産業の地理的中心が明確に浮き彫りになっています。スペインは、7,082,550トンという非常に高い生産量で、地中海地域を中心とした国々が世界の主要なオリーブ供給源であることを裏付けています。特にスペインの生産量は2位のギリシャ(2,755,431トン)、3位のイタリア(2,038,303トン)を大きく引き離し、全体で非常に高いシェアを占めています。この順位からも、地中海気候がオリーブの生育に適していることが示されています。これらの地域では、良好な気候条件と伝統的なオリーブ栽培技術の蓄積が大きな生産量を支える要因となっていると考えられます。
また、トルコ(1,730,000トン)やモロッコ(1,416,107トン)をはじめとする地中海沿岸地域の国々がランキング上位を占めており、オリーブ生産の中心地がヨーロッパだけでなく北アフリカや中東にも広がっている点が重要です。これにより、オリーブは単なる農作物ではなく、その地域経済において重要な役割を果たしています。たとえば、チュニジアやモロッコでは、オリーブオイルの輸出が外貨獲得の主要な手段の一つとなっています。また、こうした輸出国にとっては、気候変動や国際市場の変動が経済に対するリスク要因になる可能性があります。
一方でアメリカ合衆国(149,590トン)、オーストラリア(86,800トン)などの非地中海地域もランキングに顔を出しており、世界規模でのオリーブ生産が徐々に広まっていることが分かります。特に、アメリカのカリフォルニア州やオーストラリアでは新しい生産地として注目を集めており、これらの国々は自国市場への供給を目的とした生産拡大を図っています。しかし、こうした新興生産地では、地中海諸国のような長年の栽培技術や労働力の基盤が不足していることが課題です。
さらに、オリーブ生産における地域的課題も見逃せません。シリア・アラブ共和国やリビアなど、内戦や政治的不安定な状況にある国々の生産は減少傾向にあり、長期的な生産体制の維持が懸念されています。また、気候変動はオリーブ栽培に大きな影響を及ぼしており、地中海諸国だけでなく新興生産地でも、水資源の不足や気温上昇による生育環境の悪化が問題とされています。
将来的には、気候変動に対する適応策として、耐熱性・耐乾燥性に優れたオリーブ品種の開発が求められるでしょう。また、トレーサビリティ(食品がどのように生産・流通されたかを追跡可能にする仕組み)を向上させることで、生産者の利益を守りながら国際市場での競争力を高めることも検討されるべきです。さらに、生産過程における環境への負荷を削減することや、地域間での技術やノウハウの共有を促進する取り組みも重要です。
世界規模でみると、オリーブは主に地中海周辺の国々で多く生産されていますが、新興生産地が増加している状況からも、その標準市場が多様化してきている面が興味深いです。この産業の発展のためには、国際間の協力や新技術の導入、さらには持続可能な農業政策が重要になると言えるでしょう。