国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2017年度のオリーブ生産量ランキングでは、スペインが6,549,499トンで世界1位となり、全体の生産量の大部分を占める結果となりました。2位のギリシャ(2,837,778トン)や3位のイタリア(2,597,974トン)といった伝統的なオリーブ生産国も上位にランクインしており、地中海地域がオリーブ生産の中心地であることが強調されています。その一方で、アメリカやオーストラリアなど、伝統的な生産地域以外の国のランクインも見られることから、オリーブ生産がよりグローバル化しつつある現状がうかがえます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 6,549,499 |
| 2 |
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ヨーロッパ | 2,837,778 |
| 3 |
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ヨーロッパ | 2,597,974 |
| 4 |
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アジア | 2,100,000 |
| 5 |
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アフリカ | 1,094,724 |
| 6 |
|
アフリカ | 1,039,117 |
| 7 |
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ヨーロッパ | 876,215 |
| 8 |
|
アジア | 849,919 |
| 9 |
|
アフリカ | 684,461 |
| 10 |
|
アフリカ | 500,000 |
| 11 |
|
南アメリカ | 400,000 |
| 12 |
|
アジア | 290,857 |
| 13 |
|
アフリカ | 175,437 |
| 14 |
|
北アメリカ | 174,450 |
| 15 |
|
アジア | 157,710 |
| 16 |
|
アジア | 145,332 |
| 17 |
|
アジア | 137,869 |
| 18 |
|
南アメリカ | 129,570 |
| 19 |
|
オセアニア | 122,570 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 107,830 |
| 21 |
|
アジア | 87,799 |
| 22 |
|
アジア | 87,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 80,349 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 28,947 |
| 25 |
|
アジア | 19,495 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 18,333 |
| 27 |
|
南アメリカ | 12,879 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 12,063 |
| 29 |
|
南アメリカ | 11,409 |
| 30 |
|
アジア | 10,203 |
| 31 |
|
アジア | 7,463 |
| 32 |
|
南アメリカ | 6,900 |
| 33 |
|
アジア | 2,600 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 1,685 |
| 35 |
|
アジア | 1,680 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,250 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 417 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 281 |
| 39 |
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アジア | 113 |
| 40 |
|
アジア | 68 |
| 41 |
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ヨーロッパ | 60 |
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2017年度、世界のオリーブ生産量ランキングで1位を獲得したスペインは、6,549,499トンという圧倒的な生産量を記録しました。これは、世界全体のオリーブ生産を牽引する地中海地域の中でも、スペインが特に恵まれた気候条件や広大な栽培面積を有し、近代的な農業技術を取り入れていることを示しています。2位にランクインしたギリシャ(2,837,778トン)と3位のイタリア(2,597,974トン)も、それぞれ豊かなオリーブの栽培歴史を持ちながらも、スペインとの差が明確である点は注目に値します。
地中海地域以外では、アメリカ(14位、174,450トン)やオーストラリア(19位、122,570トン)のオリーブ生産が増加傾向にあります。これらの国々では、オリーブオイルの世界的な需要増加が背景になっており、新規市場の開拓が進んでいます。しかし、その生産量は地中海地域の主要国と比較すると非常に少なく、オリーブ産業が依然として地中海地域の強い支配下にあることが明確です。
一方で、上位にはシリア・アラブ共和国(8位、849,919トン)やエジプト(5位、1,094,724トン)が含まれています。これらの国々は、中東においてオリーブ産業が重要な位置を占めている国ですが、この地域の生産活動は政治的不安定や紛争によって大きな影響を受けているとされています。特にシリアは2017年の時点でも内戦の渦中にありましたが、それでもなお世界上位を維持していることが、生産者の努力とオリーブが地域経済で占める重要性を物語っています。
日本においては、産業全体に与える影響こそ限定的ですが、日本産オリーブやオリーブオイルに対する関心が高まりつつあります。日本の小豆島を中心とした地域での生産規模は小さいものの、高品質な製品の開発が進み、国内外の市場で注目を集めています。一方で、伝統的な地中海産オリーブオイルに価格競争力で劣るため、国内市場の需要拡大や差別化されたブランド戦略が重要になります。
未来に向けて、オリーブ産業全体にはいくつかの課題が挙げられます。まず、地中海地域では気候変動による降水量の減少や気温上昇が、長期的にオリーブ栽培に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、耐乾性品種の開発や効率的な灌漑技術の導入が急務です。また、新興市場での生産拡大が進む中で、地中海地域の生産者が持続的な競争優位を確保するためには、オリーブオイルの品質とマーケティング戦略のさらなる改善が求められます。
一方で、国際的な協力も不可欠です。たとえば、FAOやEUなどが主導する研究開発プログラムにより、世界中の生産者が直面する課題(気候変動、病害虫対策、安全性基準の強化など)を共有し、解決に向けた知見を蓄える基盤が築かれるべきです。また、新たにオリーブ産業に参入しつつある国々は、地元の土壌条件や気候に適応できる栽培技術の確立や人材育成を強化する必要があります。
結論として、2017年のオリーブ生産データからは、地中海地域を中心としたオリーブ産業の重要性と、地理的拡張の兆しが確認されます。今後は農業技術の革新や国際協力を通じて、持続可能な生産を促進することが、オリーブ産業全体の発展に寄与する重要な鍵となるでしょう。