1965年における世界のオリーブ生産量ランキングでは、トップを占めたのはイタリアで2,232,000トン、次いでスペインが1,656,100トン、ギリシャが969,640トンという結果でした。これらの上位3カ国だけで、世界全体のオリーブ生産量の大半を占めています。一方、下位の国々では生産量が数トンから数千トンと大きな差が見られました。地中海沿岸諸国が圧倒的に高い割合を示しており、その地理的条件とオリーブ栽培との密接な関係が伺えます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
ヨーロッパ | 2,232,000 |
| 2 |
|
ヨーロッパ | 1,656,100 |
| 3 |
|
ヨーロッパ | 969,640 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 570,000 |
| 5 |
|
アジア | 394,146 |
| 6 |
|
アフリカ | 277,400 |
| 7 |
|
アフリカ | 267,100 |
| 8 |
|
アフリカ | 153,169 |
| 9 |
|
アフリカ | 101,372 |
| 10 |
|
アジア | 65,630 |
| 11 |
|
南アメリカ | 65,200 |
| 12 |
|
アジア | 49,000 |
| 13 |
|
北アメリカ | 45,359 |
| 14 |
|
アジア | 37,417 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 30,000 |
| 16 |
|
アジア | 23,673 |
| 17 |
|
南アメリカ | 20,000 |
| 18 |
|
アジア | 15,000 |
| 19 |
|
アジア | 10,500 |
| 20 |
|
アフリカ | 10,370 |
| 21 |
|
アジア | 9,000 |
| 22 |
|
南アメリカ | 8,407 |
| 23 |
|
南アメリカ | 8,239 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 7,034 |
| 25 |
|
アジア | 1,766 |
| 26 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 27 |
|
オセアニア | 1,058 |
| 28 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 29 |
|
アジア | 1,000 |
| 30 |
|
南アメリカ | 871 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 19 |
| + すべての国を見る | |||
国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1965年のオリーブ生産量データによると、イタリア、スペイン、ギリシャ、ポルトガルといった地中海沿岸諸国が上位を独占しました。この地域は、オリーブの成長に適した地中海性気候に恵まれ、長い農業の歴史や伝統的な製法が今なお息づいています。特にイタリアは2,232,000トンの生産量で第一位となり、オリーブオイルやテーブルオリーブの商品価値を活かして、経済に大きく貢献してきたことが推測されます。
スペインとギリシャもまた大規模なオリーブ産業を誇り、合計生産量でも突出しています。この両国の生産量を合わせると、イタリアを含めた3カ国で世界全体のオリーブ総生産量の約80%を占めていると考えられます。一方で、トルコや北アフリカ諸国(チュニジア、モロッコ、アルジェリアなど)が続き、これらの国々は主に地元消費や輸出による経済効果を生み出しています。
特筆すべきは、これら地中海沿岸以外の地域では生産量が極めて低く、ランキング下位に位置する国々では生産量が数千トン以下にとどまります。たとえば、アメリカ合衆国の生産量は45,359トンと、地中海諸国と比較すれば大幅に少ないですが、自国市場のオリーブ需要に対応しつつ、地中海起源の栽培技術を取り込んでいることが読み取れます。このように地理的地域性が強く影響するオリーブ生産ですが、ラテンアメリカやアジア太平洋地域ではまだ広がりが限定的であり、栽培条件や需要開拓の課題が今後の成長に重要な鍵となるでしょう。
オリーブの世界的な生産構造に目を向けると、地政学的リスクにも一定の影響を受ける可能性があります。例えば、北アフリカ諸国では地域衝突や平和構築の問題が発生しやすく、これが作物生産や輸出に影響を及ぼすことが懸念されます。現在のランキング上位を占める地中海諸国でも、地球温暖化や土壌劣化、水不足といった環境問題がオリーブ栽培の持続可能性に影を落とす可能性があり、これらに対する対策も必要とされるでしょう。
課題として、地中海諸国依存の生産体制が一極集中を招いており、自然災害や疫病の発生による生産量の大幅な減少リスクがあります。これを分散させるため、より広範な地域でのオリーブ栽培が、国際的な協力の中で推進されるべきです。また、消費者の需要が高まることで中南米、アジア太平洋諸国における新たな生産拠点の開発が可能となるでしょう。
1965年のデータに基づいて考える将来の課題としては、地域間の協力枠組みを強化し、知識や技術の共有を推進するべきです。例えば、専門家の派遣や技術提供を通じて、オリーブ栽培が行われていない地域への普及を試みるのが現実的な方策といえます。また、持続可能な農法や水資源の有効活用など、環境保全と両立する方法を軸に新興国でも安定的な生産を目指すべきです。このような取り組みは、将来的に地球規模のオリーブ生産の多様化と安定化に寄与すると考えられます。