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モロッコのブルーベリー生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、モロッコのブルーベリー生産量は、1987年の10トンから急激な伸びを見せています。2000年代初めより顕著な増加が見られ、2019年に26,000トン、2020年には34,000トンという大台に達しました。しかしながら、2021年の43,000トンを頂点に、2022年には30,250トンに減少しており、生産量のピークと現在の課題が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 62,120
105.36% ↑
2022年 30,250
-29.65% ↓
2021年 43,000
26.47% ↑
2020年 34,000
30.77% ↑
2019年 26,000
44.44% ↑
2018年 18,000
13.52% ↑
2017年 15,857
14.8% ↑
2016年 13,813
17.31% ↑
2015年 11,775
16.44% ↑
2014年 10,112
17.25% ↑
2013年 8,624
19% ↑
2012年 7,247
27.54% ↑
2011年 5,682
31.32% ↑
2010年 4,327
6.71% ↑
2009年 4,055
8.76% ↑
2008年 3,728
12.29% ↑
2007年 3,320
14.64% ↑
2006年 2,896
18.2% ↑
2005年 2,450
23.11% ↑
2004年 1,991
52.12% ↑
2003年 1,309
32.2% ↑
2002年 990
36.47% ↑
2001年 725
1507.83% ↑
2000年 45
-0.29% ↓
1999年 45
-0.24% ↓
1998年 45
-0.2% ↓
1997年 45
-0.11% ↓
1996年 45
-0.04% ↓
1995年 46
0.02% ↑
1994年 46
0.15% ↑
1993年 45
0.24% ↑
1992年 45
-9.36% ↓
1991年 50
25% ↑
1990年 40
33.33% ↑
1989年 30
50% ↑
1988年 20
100% ↑
1987年 10 -

モロッコのブルーベリー生産は近年急速に成長を遂げ、世界的な注目を集める分野となっています。この成長は、特に2000年代以降の農業技術の導入と輸出志向の政策によるもので、2000年のわずか45トンから、2021年には43,000トンという驚異的な増加を記録しています。2010年代の後半には年間10%を超える成長率を示しており、ブルーベリー市場において国際的競争力を高めました。

この成長を支えた要因として、政府が進める農業計画「アグリカルチャー・グリーンプラン」や、日本、アメリカ、ヨーロッパ市場向けの高品質な生産物の供給が挙げられます。市場拡大の背景には、健康志向ブームでブルーベリー需要が世界的に高まったことも関わっています。これにより、多くの農家がブルーベリー栽培に参入し、生産地域の拡大とともに輸出を主導する農業セクターとして急成長しました。

しかし、2022年には30,250トンに生産量が減少しており、この減少要因についての分析が重要です。2021年から2022年にかけては、気候変動や水資源の不足、さらには輸送コストの上昇が影響を与えた可能性が考えられます。モロッコは乾燥地帯であるため、水の安定供給は特に課題となっています。さらに、新型コロナウイルスのパンデミック以降、輸出のコスト増などがモロッコの農業全体に影響を与えた可能性も指摘されています。同時に、世界的な需給のバランスの変化や、他国(ペルーや中国など)のブルーベリー生産急増による競争激化も影響していると見られます。

モロッコにとってブルーベリー市場での成長を持続させるためには、水資源管理の改善が最優先課題です。たとえば、より効率的な灌漑技術の導入や、雨水の収集と再利用システムの開発が求められます。また、農地の拡大だけでなく、既存の農地の生産効率向上や気候変動に強い品種の改良も検討するべきです。政策面では、地域ごとの協力体制を強化し、ブルーベリー生産者への補助金や教育プログラムを拡充することで、農家の競争力を強化することが必要です。

さらに、新しい貿易協定や輸出ルートの開拓も今後の成長に寄与するでしょう。具体的には、世界的なブルーベリー生産国としてのブランド力を高めることで、価格競争だけでなく品質面で他国との差別化を図ることが求められます。併せて、産地証明やオーガニック認証の取得など、国際市場でのモロッコ産ブルーベリーの信頼性をより一層向上させる取り組みが重要です。

総じて、モロッコのブルーベリー産業は依然として高い成長ポテンシャルを維持しているものの、近年の生産量減少を踏まえ、持続可能な農業モデルへの移行が急務です。国や国際機関が連携して課題解決に取り組むことで、ブルーベリーのさらなる発展と、農業全体の競争力強化が期待されます。