国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、モロッコのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの総生産量は、1961年の55,000トンから、2023年には331,638トンへと大きく増加しました。この期間を通じて、生産量は波を描きながらも、全体的に増加傾向を示しています。特に2021年以降に顕著な伸びを記録しており、2023年の生産量は、過去の平均値を大きく上回っています。
モロッコのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 331,638 |
13.58% ↑
|
2022年 | 291,982 |
-11.3% ↓
|
2021年 | 329,177 |
113.73% ↑
|
2020年 | 154,013 |
-22.57% ↓
|
2019年 | 198,914 |
10.22% ↑
|
2018年 | 180,463 |
0.53% ↑
|
2017年 | 179,519 |
-5.15% ↓
|
2016年 | 189,256 |
-5.95% ↓
|
2015年 | 201,227 |
-6.62% ↓
|
2014年 | 215,503 |
-3.93% ↓
|
2013年 | 224,315 |
-12.55% ↓
|
2012年 | 256,520 |
16.81% ↑
|
2011年 | 219,608 |
6% ↑
|
2010年 | 207,179 |
-12.82% ↓
|
2009年 | 237,632 |
1.46% ↑
|
2008年 | 234,205 |
37.77% ↑
|
2007年 | 170,000 |
0.41% ↑
|
2006年 | 169,310 |
13.22% ↑
|
2005年 | 149,535 |
-18.69% ↓
|
2004年 | 183,910 |
19.13% ↑
|
2003年 | 154,375 |
35.36% ↑
|
2002年 | 114,050 |
1.44% ↑
|
2001年 | 112,430 |
-13.2% ↓
|
2000年 | 129,530 |
46.12% ↑
|
1999年 | 88,645 |
-27.4% ↓
|
1998年 | 122,100 |
23.08% ↑
|
1997年 | 99,200 |
-8.15% ↓
|
1996年 | 108,000 |
26.82% ↑
|
1995年 | 85,158 |
-3.99% ↓
|
1994年 | 88,700 |
-11.3% ↓
|
1993年 | 100,000 |
-16.89% ↓
|
1992年 | 120,323 |
6.78% ↑
|
1991年 | 112,688 |
-3.53% ↓
|
1990年 | 116,813 |
22.48% ↑
|
1989年 | 95,374 |
-18.06% ↓
|
1988年 | 116,400 |
0.69% ↑
|
1987年 | 115,600 |
28.44% ↑
|
1986年 | 90,000 |
3.45% ↑
|
1985年 | 87,000 |
2.35% ↑
|
1984年 | 85,000 | - |
1983年 | 85,000 |
1.19% ↑
|
1982年 | 84,000 |
1.2% ↑
|
1981年 | 83,000 |
1.84% ↑
|
1980年 | 81,500 |
1.88% ↑
|
1979年 | 80,000 |
2.56% ↑
|
1978年 | 78,000 |
2.63% ↑
|
1977年 | 76,000 |
1.33% ↑
|
1976年 | 75,000 |
1.35% ↑
|
1975年 | 74,000 |
1.37% ↑
|
1974年 | 73,000 |
1.39% ↑
|
1973年 | 72,000 |
2.86% ↑
|
1972年 | 70,000 | - |
1971年 | 70,000 | - |
1970年 | 70,000 |
27.27% ↑
|
1969年 | 55,000 |
-15.38% ↓
|
1968年 | 65,000 |
8.33% ↑
|
1967年 | 60,000 |
-16.44% ↓
|
1966年 | 71,802 |
43.6% ↑
|
1965年 | 50,000 |
25% ↑
|
1964年 | 40,000 |
-9.09% ↓
|
1963年 | 44,000 |
-12% ↓
|
1962年 | 50,000 |
-9.09% ↓
|
1961年 | 55,000 | - |
モロッコのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量の推移を詳細に見ると、1961年から1980年代中頃までは緩やかな増加を続けていたことがわかります。1980年ごろには、81,500トンまで上昇し、成長基調に乗りました。しかし、その後、1987年のピークで115,600トンに達した後、生産量には年ごとの変動が見られ、一時的な減少傾向を経験しました。1990年代~2000年代の間の生産量は一定の増減を伴いながら、概ね10万トン前後を推移していました。
2003年に約15.4万トンとなり、2004年には18.4万トンまで上昇したことは特筆に値します。この時期の増加は、農業技術の向上や農地の拡大が影響した可能性があります。さらに、2008年には飛躍的な成長を遂げ、約23.4万トンを記録しました。この急激な成長は、国内需要と輸出需要の高まりによる生産拡大に起因すると考えられます。2008年以降の生産量は20万~25万トンの範囲を推移しながらも、2016年以降は徐々に低下傾向を見せました。そして2020年には154,013トンまで落ち込み、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックがもたらした影響も無視できません。
ところが、2021年以降に再び生産量が急激な回復および増加を見せ、2021年には329,177トン、そして2023年には過去最高の331,638トンを記録しました。この急増は、政府による農業分野への投資拡大、灌漑技術の普及、肥料や種子の供給改善などの政策的支援が実を結んだ結果とも考えられます。
モロッコのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産は、その特定作物に対する地中海性気候の適応性に依存している側面があります。一方で、モロッコは水不足リスクが高い国であり、気候変動の影響が作物生産に与えるリスクも見逃せません。特に乾燥地帯での農業は、多年生の水ストレスの影響を大きく受けます。新たに灌漑システムを導入したり、水効率を高める農法を採用することが、今後の課題です。
地域間比較においても重要な側面があります。例えば、隣国アルジェリアと比較すると、モロッコが農業輸出でリードしていることは国際市場での競争力を高めています。一方、中国やインドのような世界的な農業大国に比べると、依存可能な農地面積や投入資源の面で依然として課題があります。
予測として、モロッコが今後も生産を増やすことができるかどうかは、気候変動に対する適応能力と持続可能な農業政策の導入に依存しています。具体的には、水利用の効率化、作物の多様化、輸出市場の拡大など、複数の取り組みが必要です。また、デジタル農業技術の導入や、農家の教育支援も重要な対策に数えられます。さらには、国際機関や地域的な協力体制のもとで、地中海地域全体の農業資源管理計画を構築することが肝要です。
結論として、モロッコのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタン生産は、長期的な視点で着実に成長を続けており、政府や国内農家の努力が大きな役割を果たしています。しかし、持続可能性を保証するためには、さらなるイノベーションと資源管理の強化が必須です。それにより、同国が地中海地域および世界市場での地位を一層確固たるものにすることが期待されます。