世界の小麦生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国連の食糧農業機関（FAO）が発表した2000年度の小麦生産量データによると、中国が9,963万6,000トンの生産実績で世界1位となり、インド（7,636万8,896トン）、アメリカ（6,063万9,376トン）がこれに続きました。上位10カ国の合計生産量が全体のおよそ72%を占める一方で、日本は順位53位、生産量68万8,200トンと、自国消費量を大きく下回る結果となっています。アジア、大西洋沿岸諸国、北アメリカが生産の中心地であり、天候条件や農業技術、土地利用効率が各国間の顕著な差を生む要因となっています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	99,636,000
2	インド	アジア	76,368,896
3	アメリカ合衆国	北アメリカ	60,639,376
4	フランス	ヨーロッパ	37,355,957
5	ロシア連邦	ヨーロッパ	34,460,052
6	カナダ	北アメリカ	26,535,500
7	オーストラリア	オセアニア	24,757,000
8	ドイツ	ヨーロッパ	21,621,548
9	パキスタン	アジア	21,078,600
10	トルコ	アジア	21,000,000
11	イギリス	ヨーロッパ	16,703,526
12	アルゼンチン	南アメリカ	15,478,660
13	ウクライナ	ヨーロッパ	10,197,000
14	カザフスタン	アジア	9,073,460
15	ポーランド	ヨーロッパ	8,502,865
16	イラン（イスラム共和国）	アジア	8,087,756
17	イタリア	ヨーロッパ	7,463,968
18	スペイン	ヨーロッパ	7,293,623
19	エジプト	アフリカ	6,564,053
20	デンマーク	ヨーロッパ	4,693,422
21	ルーマニア	ヨーロッパ	4,434,438
22	チェコ	ヨーロッパ	4,084,107
23	ハンガリー	ヨーロッパ	3,692,470
24	ウズベキスタン	アジア	3,684,200
25	メキシコ	南アメリカ	3,493,210
26	シリア・アラブ共和国	アジア	3,105,489
27	ブルガリア	ヨーロッパ	2,781,242
28	南アフリカ	アフリカ	2,428,100
29	スウェーデン	ヨーロッパ	2,371,900
30	ギリシャ	ヨーロッパ	2,287,322
31	バングラデシュ	アジア	1,840,000
32	サウジアラビア	アジア	1,787,542
33	ブラジル	南アメリカ	1,725,792
34	トルクメニスタン	アジア	1,690,000
35	ベルギー	ヨーロッパ	1,687,700
36	チリ	南アメリカ	1,492,710
37	アフガニスタン	アジア	1,469,000
38	モロッコ	アフリカ	1,380,700
39	オーストリア	ヨーロッパ	1,312,962
40	スロバキア	ヨーロッパ	1,254,310
41	リトアニア	ヨーロッパ	1,237,600
42	エチオピア	アフリカ	1,235,270
43	ネパール	アジア	1,183,530
44	アゼルバイジャン	アジア	1,150,281
45	オランダ	ヨーロッパ	1,142,700
46	キルギスタン	アジア	1,039,109
47	ベラルーシ	ヨーロッパ	965,800
48	クロアチア	ヨーロッパ	865,260
49	チュニジア	アフリカ	842,000
50	アルジェリア	アフリカ	760,361
51	アイルランド	ヨーロッパ	737,400
52	モルドバ共和国	ヨーロッパ	727,721
53	日本	アジア	688,200
54	スイス	ヨーロッパ	568,700
55	フィンランド	ヨーロッパ	538,300
56	ラトビア	ヨーロッパ	427,400
57	タジキスタン	アジア	406,196
58	イラク	アジア	384,000
59	ポルトガル	ヨーロッパ	354,710
60	アルバニア	ヨーロッパ	341,100
61	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	336,085
62	ニュージーランド	オセアニア	326,000
63	ウルグアイ	南アメリカ	324,400
64	ノルウェー	ヨーロッパ	313,400
65	北マケドニア	ヨーロッパ	299,356
66	パラグアイ	南アメリカ	231,119
67	ジンバブエ	アフリカ	229,775
68	ケニア	アフリカ	204,232
69	ペルー	南アメリカ	187,746
70	アルメニア	アジア	177,762
71	スロベニア	ヨーロッパ	162,559
72	エストニア	ヨーロッパ	146,800
73	イエメン	アジア	141,884
74	モンゴル	アジア	138,722
75	リビア	アフリカ	125,000
76	レバノン	アジア	108,100
77	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	101,510
78	イスラエル	アジア	94,000
79	ミャンマー	アジア	92,100
80	グルジア	アジア	89,406
81	ザンビア	アフリカ	75,000
82	ナイジェリア	アフリカ	73,000
83	ルクセンブルク	ヨーロッパ	61,184
84	パレスチナ国	アジア	53,422
85	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	50,000
86	コロンビア	南アメリカ	37,085
87	タンザニア連合共和国	アフリカ	32,700
88	ヨルダン	アジア	25,433
89	レソト	アフリカ	15,545
90	エリトリア	アフリカ	13,776
91	エクアドル	南アメリカ	12,958
92	ウガンダ	アフリカ	12,000
93	ニジェール	アフリカ	10,946
94	キプロス	アジア	10,000
95	マルタ	ヨーロッパ	9,556
96	グアテマラ	南アメリカ	9,525
97	コンゴ民主共和国	アフリカ	9,385
98	マダガスカル	アフリカ	9,000
99	ルワンダ	アフリカ	6,444
100	マリ	アフリカ	6,208
101	ブルンジ	アフリカ	6,097
102	ブータン	アジア	4,350
103	アンゴラ	アフリカ	4,000
104	ナミビア	アフリカ	3,429
105	チャド	アフリカ	2,688
106	大韓民国	アジア	2,339
107	マラウイ	アフリカ	1,815
108	モザンビーク	アフリカ	1,500
109	オマーン	アジア	1,413
110	ホンジュラス	南アメリカ	1,051
111	ソマリア	アフリカ	960
112	タイ	アジア	800
113	カメルーン	アフリカ	613
114	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	517
115	モーリタニア	アフリカ	496
116	ボツワナ	アフリカ	435
117	クウェート	アジア	365
118	アラブ首長国連邦	アジア	364
119	エスワティニ	アフリカ	300
120	中国、台湾 中国省	アジア	127
121	カタール	アジア	83
+ すべての国を見る

2000年度における小麦生産量データは、世界の食糧安全保障や経済発展といった広範な課題に深い示唆を与えています。一位の中国は、小麦を主要な穀物と位置づけ、広大な土地資源と補助金政策を活用して膨大な生産量を維持しました。インドも同様に、農業の近代化と灌漑設備の改良によって顕著な生産量を達成しています。また、三位のアメリカは、広大な小麦ベルト（中西部や平原地帯）におけるメカニカルな農業生産技術の進展がその背景にあります。この三大生産国が他国を大きく引き離しており、世界の小麦貿易においても中心的な役割を担っています。

ヨーロッパに目を向けると、フランス、ドイツ、イギリスがそれぞれ上位に位置しており、これらの国々は比較的限られた農地を効率良く利用しています。特にフランスはEU（欧州連合）の中でも農業強国としての地位をしっかり維持し、国内供給のみならず、輸出産業としての小麦生産にも重きを置いています。一方で、ロシアはその広大な領土を活かし、東欧や中央アジア諸国へ影響力を与える形で地域の穀物供給網を牽引しています。

アジア地域では、中国とインドに次いでパキスタンとトルコが20位以内にランクインしており、小麦はこの地域でも重要な主食作物であると言えます。他方で、日本は自国の地形的制約（山地や都市化）や小麦栽培の気候条件により、生産は68万8200トンと限られたものであり、自給率の低さが課題として浮き彫りになっています。

一方で、アフリカや南アジア、中南米の多くの国は、小麦生産の量的・質的な不足に直面しています。この背景には、不十分な農業インフラや気候変動による降水量の減少が影響しています。特に、エチオピアやナイジェリア、モロッコなどは国内需要に対して非常に低い生産量であり、小麦の輸入依存による価格変動の影響を受けやすい状況にあります。

地政学的視点からは、ロシアやウクライナといった主要産出国が輸出を通じて多くの国への食料供給に貢献する一方で、この地域での政治的不安定が輸出制限や市場混乱を引き起こすリスクも挙げられます。この問題は特に輸入依存度の高い中東や北アフリカ地域に大きな影響を与える可能性があります。

将来的な課題としては、気候変動による天候条件の劇的な変化が挙げられます。小麦は特定の気候条件に適した作物であり、干ばつや大雨など極端な気象現象が生産量に直接影響を及ぼします。さらに、人口増加に伴う需要の増大と農地削減の進行が供給側の圧力を高める一方、技術革新や品種改良の進展により生産効率を向上させる余地も存在します。

対策としては、農業生産の機械化や灌漑技術の導入、気候変動に耐性を持つ小麦品種の研究開発が挙げられます。また、国際間協力の一環として、小麦生産のノウハウを共有し、リスク分散のための貿易協定を強化することも重要です。さらに、日本のような自給率の低い国では、都市農業や水耕栽培の導入など、効率的な土地利用が必要となるでしょう。

結論として、2000年度の小麦生産量データは、食糧安全保障の重要性と国際的課題を明確に示しています。各国の政策や国際協力を通じ、安定した生産と公平な分配を目指した取り組みが求められると考えます。