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モロッコの馬肉推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによれば、モロッコの馬肉生産量は、1961年の1,190トンから始まり、1973年には4,863トンと急激に増加。その後は減少と増加を繰り返し、1980年代半ば以降は概ね2,000トン前後で推移してきました。近年では2023年に1,953トンを記録しており、2020年以降はやや減少傾向が続いています。

年度 (トン) 増減率
2023年 1,953
-0.7% ↓
2022年 1,967
-0.74% ↓
2021年 1,982
-9.46% ↓
2020年 2,189
-1.46% ↓
2019年 2,221
-0.19% ↓
2018年 2,225
-1.27% ↓
2017年 2,254
3.48% ↑
2016年 2,178
9.42% ↑
2015年 1,991
14.01% ↑
2014年 1,746
-3% ↓
2013年 1,800 -
2012年 1,800 -
2011年 1,800
-7.22% ↓
2010年 1,940
11.49% ↑
2009年 1,740
-15.9% ↓
2008年 2,069
3.45% ↑
2007年 2,000
-6.98% ↓
2006年 2,150
2.38% ↑
2005年 2,100
8.53% ↑
2004年 1,935
-3.25% ↓
2003年 2,000
5.26% ↑
2002年 1,900
-8.08% ↓
2001年 2,067
1.22% ↑
2000年 2,042
2.1% ↑
1999年 2,000 -
1998年 2,000 -
1997年 2,000
-1.96% ↓
1996年 2,040
-2.86% ↓
1995年 2,100
-4.55% ↓
1994年 2,200
-4.35% ↓
1993年 2,300
-4.17% ↓
1992年 2,400
-4% ↓
1991年 2,500 -
1990年 2,500
4.17% ↑
1989年 2,400 -
1988年 2,400
20% ↑
1987年 2,000
11.11% ↑
1986年 1,800
5.88% ↑
1985年 1,700
-19.05% ↓
1984年 2,100
-37.5% ↓
1983年 3,360
-21.86% ↓
1982年 4,300
-28.33% ↓
1981年 6,000
36.36% ↑
1980年 4,400
22.22% ↑
1979年 3,600
36.36% ↑
1978年 2,640
-34% ↓
1977年 4,000
14.29% ↑
1976年 3,500
12.9% ↑
1975年 3,100
-18.29% ↓
1974年 3,794
-21.98% ↓
1973年 4,863
15.51% ↑
1972年 4,210
2.68% ↑
1971年 4,100
38.05% ↑
1970年 2,970
56.32% ↑
1969年 1,900
5.56% ↑
1968年 1,800
28.57% ↑
1967年 1,400 -
1966年 1,400
-14.63% ↓
1965年 1,640
13.89% ↑
1964年 1,440
10.77% ↑
1963年 1,300
-20.25% ↓
1962年 1,630
36.97% ↑
1961年 1,190 -

モロッコにおける馬肉生産の推移は、国の農業・食肉産業の歴史や社会的背景を映す重要な指標となっています。FAOのデータを見ると、モロッコの馬肉生産量は1960年代から1970年代にかけて急速に増加しました。1961年は1,190トンと小規模で始まりましたが、1973年には4,863トンと、この期間に劇的な拡大を遂げました。この成長の一因には、輸出ニーズの高まりや国内市場の変化があったと考えられます。しかし、1974年以降のデータが示すように、その後は減少と増加を繰り返し、1980年代以降は生産量が2,000トンから3,000トン規模へと縮小しています。

1990年代から2000年代にかけて、モロッコの馬肉生産は安定した動きを見せていますが、全般的には減少の傾向が見られます。この背景には、多くの要因が複雑に絡み合っています。例えば社会の経済構造の変化や、家畜の飼育コストの上昇などが考えられます。また、馬肉自体への需要の変動も、価値観や食習慣の変化による影響を受けています。

2020年以降は緩やかな減少傾向が見られ、2023年には1,953トンと、1960年代中頃の水準に近づいています。この間、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響は家畜産業全体に影響を及ぼし、モロッコも例外ではありません。ロジスティクスの停滞や市場縮小は、生産量に直接的な影響を与えたと考えられます。また、気候変動による干ばつや農業用水の減少も家畜飼育に及ぼした負担は無視できないでしょう。

モロッコの馬肉生産は、農村経済や食肉産業において特別な位置を占めており、地元の雇用創出や輸出収益において一定の役割を果たしてきました。今後の課題としては、生産効率や家畜の健康管理の向上、持続可能な飼育方法の普及などが重要となります。特に、気候変動による資源不足への対応は急務であり、国際機関からの技術支援や地域間協力の枠組みづくりが必要です。

これに加え、国内外での需要拡大を目指すためには、馬肉を新たな形でプロモーションし、その栄養価や料理としての特徴を効果的に紹介していく必要があります。衛生基準の向上や、輸出に向けた規制の整備も進めるべきです。さらに、国内市場では、食文化の変化に対応したマーケティング戦略の策定も求められます。

国としては、農業支援を広げるほか、持続可能な生産モデルを構築するための政策を掲げるべきです。また、国際社会と連携し気候変動への対応力を高めるとともに、地域紛争の影響が家畜生産や輸送に及ばないよう、地政学的リスクの軽減にも注力しなければなりません。

馬肉生産量の変動は、食糧供給や地域経済における多様な課題を映す「鏡」と言えます。短期的には生産の回復や輸出を強化し、長期的には市場構造や産業基盤自体の強化に焦点を当てていくべきです。このためには、政府と国際社会が協力して、持続可能で安定した生産体制と市場拡大の戦略を推進する必要があります。