世界の小麦生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）の最新データによると、2020年の世界の小麦生産量ランキングでは、1位が中国（1億3,425万トン）、2位がインド（1億786万トン）、3位がロシア（8,589万トン）となりました。これらの国々は、世界の小麦生産を牽引するリーダー的存在です。日本は949,300トンで51位にランクインしており、生産量が比較的少ない国に分類されます。アジア、北米、ヨーロッパ地域が主要な生産地ですが、地域間での格差が顕著であることも分かります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	134,250,000
2	インド	アジア	107,860,510
3	ロシア連邦	ヨーロッパ	85,896,326
4	アメリカ合衆国	北アメリカ	49,751,180
5	カナダ	北アメリカ	35,437,200
6	フランス	ヨーロッパ	30,181,140
7	パキスタン	アジア	25,247,511
8	ウクライナ	ヨーロッパ	24,912,350
9	ドイツ	ヨーロッパ	22,172,100
10	トルコ	アジア	20,500,000
11	アルゼンチン	南アメリカ	19,776,942
12	オーストラリア	オセアニア	14,480,217
13	カザフスタン	アジア	14,257,950
14	ポーランド	ヨーロッパ	12,515,060
15	イラン（イスラム共和国）	アジア	10,416,185
16	イギリス	ヨーロッパ	9,658,000
17	エジプト	アフリカ	9,101,785
18	スペイン	ヨーロッパ	8,143,510
19	イタリア	ヨーロッパ	6,716,180
20	ルーマニア	ヨーロッパ	6,392,370
21	ブラジル	南アメリカ	6,344,079
22	イラク	アジア	6,238,392
23	ウズベキスタン	アジア	6,157,844
24	エチオピア	アフリカ	5,478,709
25	アフガニスタン	アジア	5,185,000
26	ハンガリー	ヨーロッパ	5,121,480
27	チェコ	ヨーロッパ	4,902,410
28	ブルガリア	ヨーロッパ	4,847,940
29	リトアニア	ヨーロッパ	4,818,750
30	デンマーク	ヨーロッパ	4,070,410
31	スウェーデン	ヨーロッパ	3,214,300
32	アルジェリア	アフリカ	3,106,754
33	メキシコ	南アメリカ	2,986,689
34	セルビア	ヨーロッパ	2,873,503
35	シリア・アラブ共和国	アジア	2,848,472
36	ベラルーシ	ヨーロッパ	2,848,391
37	ラトビア	ヨーロッパ	2,659,600
38	モロッコ	アフリカ	2,561,898
39	ネパール	アジア	2,185,289
40	スロバキア	ヨーロッパ	2,133,330
41	南アフリカ	アフリカ	2,120,000
42	アゼルバイジャン	アジア	1,818,665
43	ベルギー	ヨーロッパ	1,741,480
44	オーストリア	ヨーロッパ	1,652,740
45	トルクメニスタン	アジア	1,480,733
46	パラグアイ	南アメリカ	1,302,870
47	チリ	南アメリカ	1,230,988
48	ギリシャ	ヨーロッパ	1,095,150
49	チュニジア	アフリカ	1,042,000
50	バングラデシュ	アジア	1,029,000
51	日本	アジア	949,300
52	オランダ	ヨーロッパ	931,830
53	クロアチア	ヨーロッパ	867,530
54	タジキスタン	アジア	846,000
55	エストニア	ヨーロッパ	840,520
56	ウルグアイ	南アメリカ	776,300
57	スーダン	アフリカ	717,578
58	フィンランド	ヨーロッパ	686,620
59	キルギスタン	アジア	629,052
60	モルドバ共和国	ヨーロッパ	569,735
61	サウジアラビア	アジア	554,562
62	スイス	ヨーロッパ	528,720
63	ニュージーランド	オセアニア	453,749
64	モンゴル	アジア	406,129
65	ケニア	アフリカ	404,700
66	アイルランド	ヨーロッパ	364,920
67	ノルウェー	ヨーロッパ	322,500
68	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	321,804
69	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	311,310
70	北マケドニア	ヨーロッパ	246,031
71	アルバニア	ヨーロッパ	233,430
72	ジンバブエ	アフリカ	212,530
73	ザンビア	アフリカ	191,620
74	ペルー	南アメリカ	186,835
75	スロベニア	ヨーロッパ	158,180
76	レバノン	アジア	140,000
77	アルメニア	アジア	131,951
78	リビア	アフリカ	130,000
79	イエメン	アジア	127,171
80	イスラエル	アジア	116,691
81	ミャンマー	アジア	105,457
82	グルジア	アジア	102,400
83	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	89,000
84	ポルトガル	ヨーロッパ	83,500
85	タンザニア連合共和国	アフリカ	77,276
86	ルクセンブルク	ヨーロッパ	72,400
87	ナイジェリア	アフリカ	55,000
88	マリ	アフリカ	37,124
89	キプロス	アジア	34,650
90	パレスチナ国	アジア	34,370
91	ヨルダン	アジア	25,749
92	エリトリア	アフリカ	25,000
93	ウガンダ	アフリカ	25,000
94	大韓民国	アジア	16,985
95	モザンビーク	アフリカ	15,000
96	エクアドル	南アメリカ	14,647
97	ルワンダ	アフリカ	12,811
98	ナミビア	アフリカ	11,498
99	コンゴ民主共和国	アフリカ	9,000
100	ブルンジ	アフリカ	8,631
101	モーリタニア	アフリカ	7,305
102	コロンビア	南アメリカ	6,295
103	中国、台湾 中国省	アジア	6,000
104	ニジェール	アフリカ	5,520
105	アンゴラ	アフリカ	2,938
106	オマーン	アジア	2,865
107	モンテネグロ	ヨーロッパ	2,239
108	レソト	アフリカ	2,004
109	チャド	アフリカ	1,815
110	ブータン	アジア	1,623
111	タイ	アジア	1,326
112	ホンジュラス	南アメリカ	1,273
113	ソマリア	アフリカ	1,049
114	ボツワナ	アフリカ	1,028
115	マダガスカル	アフリカ	1,000
116	マラウイ	アフリカ	697
117	エスワティニ	アフリカ	694
118	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	663
119	カメルーン	アフリカ	438
120	クウェート	アジア	70
121	ニューカレドニア	オセアニア	54
122	グアテマラ	南アメリカ	31
123	カタール	アジア	2
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2020年の小麦生産量ランキングからは、世界各国の農業生産状況だけでなく地域の食糧供給能力が浮き彫りになります。1位、中国は世界最大の人口を抱えるだけでなく、国内の食糧自給率向上を政策目標に掲げています。そのため、小麦を含む主要穀物生産を農業政策の優先課題として、技術革新や効率的な農地利用を推進してきました。同様に2位のインドも、自給自足を目指した農業政策を背景にした大規模栽培が行われています。一方、3位のロシアは広大な農地を活かし、輸出向け生産を強化して国際市場での存在感を高めています。

一方で、日本は51位と順位が低く、生産量も世界規模から見ればわずかです。これは日本の国土面積の制約や農地の減少、高い人口密度などの要因によるものです。また、日本では小麦の輸入依存度が高く、主要な輸入先はアメリカ、カナダ、オーストラリアといった世界的な生産大国です。食糧の安全保障や天候・国際情勢の影響を受けやすい構造となっているため、特に将来を見据えた政策が必要とされています。

地政学的背景にも言及すると、ウクライナやロシアなどの国は穀倉地帯として知られ、ヨーロッパや中東諸国への小麦供給を担っています。しかし、地域紛争や政治的不安定さが生産・輸出に影響を及ぼす可能性があります。例えば、2022年からのロシアとウクライナの紛争では、世界的な小麦価格の急騰と供給不足を引き起こし、多くの途上国における食糧危機を深刻化させました。このようなリスクが将来再発する可能性もあり、国際的な対策と協力が求められます。

また、気候変動による影響も無視できません。特にアジア地域では異常気象や水資源の不足により基幹作物の生産が一時的または恒久的に影響を受けるリスクが高まっています。今後は気候変動に適応した新たな農業技術の導入が重要となります。たとえば、乾燥や高温に適応できる品種を開発し、それを国際的に共有する取り組みが鍵となるでしょう。

データを俯瞰すると、小麦生産の増加が必ずしも十分な食糧供給を保証するとは言い切れないことがわかります。一部地域では生産性向上が目指されている一方で、貧困や輸送インフラの不足が、所得の格差や飢餓を引き起こしています。たとえば、アフリカや南アジアの一部地域では持続可能な生産が課題であり、土地利用の効率化や国際支援の拡大が必要とされています。

結論として、全体の小麦生産は増加傾向にありますが、需給の安定を図るためには多面的な対策が求められます。国際機関・各国政府は以下のような具体的な取り組みを進めるべきです。第一に、気候変動に強い品種の開発・普及を強化すること。第二に、地域ごとに広がる生産能力の格差を是正するため、技術や資金を共有する国際協力を行うこと。第三に、生産と物流の両面で地政学的リスクへの対応能力を向上させる枠組みを設けることです。こうした対応によって、持続可能かつ公平な世界の食糧供給が実現されるはずです。