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モロッコのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、モロッコのトウモロコシ生産量は1961年から2022年にかけて大きな変動を見せています。特に1960年代から1970年代にかけて安定した増加傾向を示した一方、1980年代以降は気候条件と資源管理の課題に伴い、年々不規則な生産量の変動が続いています。2022年には生産量が35,783トンと、ピーク時(1963年の480,000トン)に比べて大幅に減少しています。この低迷の背景には、気候変動の影響や灌漑インフラの不足が挙げられます。

年度 生産量(トン)
2022年 35,783
2021年 48,637
2020年 29,888
2019年 40,491
2018年 118,392
2017年 122,399
2016年 128,763
2015年 95,032
2014年 97,379
2013年 118,136
2012年 90,221
2011年 221,298
2010年 279,150
2009年 204,520
2008年 120,950
2007年 94,860
2006年 297,380
2005年 50,120
2004年 224,130
2003年 138,580
2002年 198,880
2001年 53,560
2000年 95,000
1999年 136,380
1998年 200,500
1997年 374,460
1996年 235,090
1995年 50,490
1994年 202,610
1993年 92,320
1992年 215,600
1991年 335,040
1990年 435,620
1989年 402,840
1988年 357,990
1987年 240,000
1986年 306,760
1985年 321,000
1984年 263,960
1983年 258,360
1982年 246,890
1981年 90,000
1980年 332,700
1979年 311,620
1978年 390,360
1977年 184,270
1976年 492,500
1975年 370,700
1974年 389,000
1973年 217,300
1972年 367,580
1971年 389,900
1970年 319,600
1969年 430,000
1968年 380,000
1967年 356,500
1966年 218,500
1965年 330,000
1964年 400,000
1963年 480,000
1962年 420,000
1961年 130,000

モロッコのトウモロコシ生産量のデータは、農業の成長やその課題を分かりやすく示す鍵となる指標です。1961年、モロッコのトウモロコシ生産量は130,000トンでしたが、その後急激な増加が見られ、1962年に420,000トン、1963年には最高値の480,000トンに到達しました。この増加には、1960年代の農業政策や収穫技術の改善が影響している可能性があります。また、モロッコの農業基盤が未成熟ながらも拡張期にあり、トウモロコシのような需要の高い穀物の生産が重視されたことが挙げられます。

しかしながら、それ以降は減少と回復を繰り返す不安定な推移が見られます。例えば、1966年から1976年までは年によって生産量が大きく上下する状態が続きましたが、1976年に492,500トンを記録しました。その一方で、1977年には184,270トンに大幅減少するなど、気候条件や生産インフラの影響が生産量に直結する構造が明らかです。また、1980年代以降、特に1995年以降は持続的な減少傾向が顕著になり、2022年に35,783トンと歴史的な低水準に落ち込んでいます。

この長期的な低迷にはさまざまな要因があります。第一に、モロッコは地中海性気候に属しており、降水量が限られる上、気候変動により干ばつが頻発しているため、雨水依存の農業が深刻な影響を受けています。たとえば、2016年から2022年にかけても干ばつの影響で生産量の回復が困難な年が続いています。第二に、灌漑インフラの不足が問題視されています。近年、土壌の質の低下や劣化する農業技術がトウモロコシの生産性に影響を及ぼしていることも指摘されています。

モロッコ国内だけに留まらず、国際的な観点でも比較が可能です。例えば、米国やブラジル、中国などのトウモロコシ生産大国と比較すると、モロッコの生産量は大幅に劣ります。また、同じ北アフリカ地域に属するアルジェリアやエジプトと比較しても、輸入を補完する体制が十分整っておりません。そのため、食糧安全保障の観点で重要な課題となっています。そして、新型コロナウイルス感染症やウクライナ危機に伴う国際的な輸送網の影響も、輸入依存国としてのモロッコにさらなる負担をかけています。

今後の課題としては、まず灌漑技術の導入が挙げられます。モロッコは持続的な水資源管理が必要であり、地下水の利用やダム建設など、水循環の強化に向けた支援体制を拡大することが求められます。また、気候変動に対応した耐干ばつ性のトウモロコシ品種の導入や、土壌改良の技術革新といった積極的な取り組みも必要不可欠です。これに加えて、地域内での協力を深め、例えばアフリカ連合のような国際機関を通じた共同農業プロジェクトの推進も重要です。

さらに、政策面では、農家への教育支援や新技術の提供による持続的な農業推進が効果をもたらすでしょう。モロッコ政府および国際連合の関連機関は、これらの努力を一貫して進める必要があります。加えて、トウモロコシ生産の効率を向上させるため、デジタル農業やリモートセンサリング(遠隔測定)技術の導入も重要な一手段となるでしょう。

これらの具体策を通じて、モロッコは従来の農業モデルの限界を克服し、現代の食糧生産と安全保障の要求に応える持続可能な発展を実現すると期待されています。現状と課題を常に意識しながら柔軟に対応する必要があります。データが示す現実を正しく把握し、将来にわたる農業の安定と発展に向けて確実な計画を立てることが肝要です。