FAO(国際連合食糧農業機関)のデータによると、1962年度の小麦生産量ランキングで1位を記録したのはアメリカ合衆国で、約2,971万8,000トンを生産しました。2位は中国(約1,666万5,000トン)、3位はカナダ(約1,539万3,000トン)が続いています。日本は21位に位置し、生産量は約163万1,000トンでした。このデータは、冷戦下の農業政策や地理的条件、技術力などの多様な要因が影響を与えた結果を反映しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 29,718,000 |
| 2 |
|
アジア | 16,665,000 |
| 3 |
|
北アメリカ | 15,393,000 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 14,053,770 |
| 5 |
|
アジア | 12,072,000 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 9,496,900 |
| 7 |
|
アジア | 8,580,000 |
| 8 |
|
オセアニア | 8,352,912 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 5,906,465 |
| 10 |
|
南アメリカ | 5,700,000 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 4,819,545 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 4,053,800 |
| 13 |
|
アジア | 4,026,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 3,974,000 |
| 15 |
|
アジア | 2,754,740 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 2,700,000 |
| 17 |
|
アジア | 2,279,000 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 2,089,680 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 1,973,137 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 1,722,137 |
| 21 |
|
アジア | 1,631,000 |
| 22 |
|
アフリカ | 1,593,098 |
| 23 |
|
アフリカ | 1,507,000 |
| 24 |
|
アフリカ | 1,500,000 |
| 25 |
|
南アメリカ | 1,455,256 |
| 26 |
|
アジア | 1,374,175 |
| 27 |
|
アジア | 1,085,494 |
| 28 |
|
南アメリカ | 969,750 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 906,330 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 706,206 |
| 31 |
|
南アメリカ | 705,619 |
| 32 |
|
アフリカ | 705,000 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 645,000 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 643,992 |
| 35 |
|
アフリカ | 640,000 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 603,062 |
| 37 |
|
南アメリカ | 452,089 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 439,000 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 421,500 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 419,800 |
| 41 |
|
アジア | 288,400 |
| 42 |
|
オセアニア | 213,233 |
| 43 |
|
アジア | 164,000 |
| 44 |
|
南アメリカ | 162,000 |
| 45 |
|
南アメリカ | 152,666 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 146,407 |
| 47 |
|
アジア | 138,000 |
| 48 |
|
アジア | 111,900 |
| 49 |
|
アジア | 108,000 |
| 50 |
|
アジア | 87,000 |
| 51 |
|
アフリカ | 84,200 |
| 52 |
|
アジア | 75,247 |
| 53 |
|
南アメリカ | 67,300 |
| 54 |
|
アジア | 66,040 |
| 55 |
|
アフリカ | 55,000 |
| 56 |
|
アジア | 51,700 |
| 57 |
|
アジア | 42,100 |
| 58 |
|
南アメリカ | 40,000 |
| 59 |
|
アジア | 39,624 |
| 60 |
|
アジア | 35,000 |
| 61 |
|
アフリカ | 33,600 |
| 62 |
|
南アメリカ | 32,079 |
| 63 |
|
アフリカ | 20,000 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 20,000 |
| 65 |
|
アフリカ | 17,578 |
| 66 |
|
アフリカ | 16,000 |
| 67 |
|
アジア | 14,811 |
| 68 |
|
南アメリカ | 7,000 |
| 69 |
|
アフリカ | 6,500 |
| 70 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 71 |
|
アジア | 5,100 |
| 72 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 73 |
|
アフリカ | 2,970 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 2,844 |
| 75 |
|
アジア | 1,400 |
| 76 |
|
アフリカ | 1,400 |
| 77 |
|
アフリカ | 1,385 |
| 78 |
|
アフリカ | 1,216 |
| 79 |
|
アフリカ | 1,126 |
| 80 |
|
アフリカ | 934 |
| 81 |
|
南アメリカ | 755 |
| 82 |
|
南アメリカ | 622 |
| 83 |
|
アフリカ | 482 |
| 84 |
|
アフリカ | 400 |
| 85 |
|
アフリカ | 150 |
| 86 |
|
アフリカ | 100 |
| 87 |
|
オセアニア | 100 |
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1962年度の小麦生産量ランキングを見ると、アメリカ合衆国が世界のトップに立ち、その生産量は約2,971万8,000トンでした。これは、広大な農地面積と機械化された近代農法の導入、さらには国際市場での需要の強さが相まった結果です。アメリカは当時、冷戦体制下で食料を経済戦略とみなし、国内外で影響力を増すための豊富な供給能力を備えていました。
一方、中国の約1,666万5,000トンの生産量は、広大な耕地を有する国土を活用した結果と言えますが、当時は手作業主体の農業が一般的で、収穫効率の向上が課題となっていました。同様に、3番目のカナダは高い輸出能力を備えた農業大国として存在感を示しており、その生産量は約1,539万3,000トンとなっています。そのほか、フランスやインドといった国々も豊かな農業基盤を持ち、高い順位を維持しています。
日本は21位に位置し、小麦生産量は約163万1,000トンでした。一方で、これは他国と比較して大きく劣ります。日本の小麦栽培が制約されている理由の一つには、限られた農地面積と気候条件があります。さらに、戦後復興中にあったこの時代、日本は自給率を確保しつつも、輸入に依存する傾向が強まりました。この傾向は国の長期経済計画や都市化の進展により、一層顕著となっていました。
また、トルコやオーストラリアの順位も興味深い点です。これらの国々は、地勢的に小麦栽培に適した土地を有しており、地域内外の食料供給の重要な役割を果たしています。しかし、農業技術の向上や政策的な支援がなければ、長期的な生産性の確保には課題が残る可能性があります。
低い順位に位置する国々では、多くの地域が生産条件として不利な状況にありました。たとえば、アフリカの多くの国は、小麦が適応しにくい気候条件や農業基盤の弱さ、または政治的な課題を抱えており、生産量が極めて低い状態にありました。この事実は、現代まで続く食料安全保障上の重要な課題を浮き彫りにしています。
現在の状況を振り返るにあたり、当時の状況から何を学ぶべきかを考えると、以下の点が挙げられるでしょう。第一に、農業の効率性を高めるための技術革新とインフラ整備の必要性です。例えば、アジアやアフリカの国々では、十分な灌漑施設や機械化の促進が生産力向上の鍵となるでしょう。第二に、世界的な気候変動に対応する柔軟な農業政策を策定する必要があります。特に砂漠化が進行する地域では、耐乾性品種の育成や土壌保全が重要となります。
さらに、日本においても、小麦自給率の向上を目指し、地域特有の環境に適した栽培方法の研究を進めることが課題です。また、アジア諸国との農業技術協力を強化することで、地域全体の持続可能な農業モデルを構築する可能性があります。
世界全体でみると、紛争や地政学的リスクも小麦の流通および価格安定に影響を及ぼします。資源争奪や貿易戦争のリスクを軽減するには、国際的な農業合意や地域協力の枠組みが不可欠です。そして、地球規模の食料安定に向けた取り組みを進める上で、国際機関や先進国の役割がますます重要になります。
以上を踏まえ、1962年の農業データは当時の食料供給状況を映し出した貴重な資料です。同時に、現代の課題を解決するための歴史的な視点を与えるものでもあります。今後、国や国際社会が具体的な行動を起こすことにより、食料安全保障の確保が現実のものとなるでしょう。