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モロッコの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、モロッコにおける桃(モモ)・ネクタリン生産量は1961年のわずか1,200トンから、2022年には247,870トンと大幅に増加しました。一方で、2023年には185,532トンと2022年のピークから減少に転じています。これらのデータは、モロッコの農業技術の進化や気候条件、さらには国内外からの需要の高まりを反映していますが、その一方で環境変化や他の要因が生産量に影響を与えている可能性も示唆されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 185,532
-25.15% ↓
2022年 247,870
46.69% ↑
2021年 168,974
5.92% ↑
2020年 159,531
0.44% ↑
2019年 158,827
0.59% ↑
2018年 157,893
13.95% ↑
2017年 138,560
45.72% ↑
2016年 95,085
3.95% ↑
2015年 91,469
23.94% ↑
2014年 73,802
-3.41% ↓
2013年 76,411
8.05% ↑
2012年 70,720
-5.42% ↓
2011年 74,771
-12.24% ↓
2010年 85,204
-1.75% ↓
2009年 86,726
15.34% ↑
2008年 75,190
-2.89% ↓
2007年 77,429
7.99% ↑
2006年 71,700
31.32% ↑
2005年 54,600
0.39% ↑
2004年 54,390
-1.29% ↓
2003年 55,100
0.55% ↑
2002年 54,800
18.79% ↑
2001年 46,130
-3.95% ↓
2000年 48,025
5.92% ↑
1999年 45,341
17.16% ↑
1998年 38,700
14.84% ↑
1997年 33,700
-3.71% ↓
1996年 35,000
17.06% ↑
1995年 29,900
-16.94% ↓
1994年 36,000
5.88% ↑
1993年 34,000
3.03% ↑
1992年 33,000
32% ↑
1991年 25,000
-28.98% ↓
1990年 35,200
25.71% ↑
1989年 28,000
-3.45% ↓
1988年 29,000
26.09% ↑
1987年 23,000
-11.54% ↓
1986年 26,000
4% ↑
1985年 25,000
4.17% ↑
1984年 24,000
9.09% ↑
1983年 22,000
10% ↑
1982年 20,000
1.01% ↑
1981年 19,800
1.02% ↑
1980年 19,600
1.03% ↑
1979年 19,400
1.04% ↑
1978年 19,200
1.05% ↑
1977年 19,000 -
1976年 19,000
5.56% ↑
1975年 18,000
5.88% ↑
1974年 17,000
6.25% ↑
1973年 16,000
6.67% ↑
1972年 15,000 -
1971年 15,000
7.14% ↑
1970年 14,000 -
1969年 14,000 -
1968年 14,000
-6.67% ↓
1967年 15,000
7.14% ↑
1966年 14,000
19.72% ↑
1965年 11,694
-15.58% ↓
1964年 13,852
719.64% ↑
1963年 1,690
-50.29% ↓
1962年 3,400
183.33% ↑
1961年 1,200 -

モロッコの桃(モモ)・ネクタリン生産量の長期的な推移については、1961年の生産量1,200トンから2022年の247,870トンへと、約206倍と驚異的な増加を達成しました。この増加は、農業技術の向上、水資源の利用効率化、高品質な作物の導入といった取り組みの結果であると考えられます。また、2000年代以降は生産量が顕著に増加しており、とりわけ2016年以降の急激な伸びは注目に値します。

2022年には過去最高の247,870トンを記録しましたが、2023年には185,532トンへと約25%の減少が見られます。この変動は、干ばつなどの気候条件の厳しさや、地域的な水資源の枯渇、さらには農業政策上の課題が影響している可能性が指摘されています。モロッコは地中海性気候に位置し、一部の地域で降水量が不足することも多く、雨量の変動が農産物の生産量に大きな影響を及ぼしています。

桃(モモ)・ネクタリンなどの果物は通常、効率的な灌漑と適切な土壌管理を必要とします。モロッコでは、このような課題への対策として、近年、持続可能な農業の確立に向けた取り組みが進められています。特に2021年ごろ以降、灌漑システムの整備や天候データの活用を通じた生産性向上が進められており、これにより一時的な減少から再び回復基調に戻す可能性が期待されます。

また、他国との比較も重要です。中国やアメリカなど桃の大規模生産国と比べると、モロッコの生産量はまだ控えめですが、西アフリカや北アフリカ地域では非常に競争力のある数値を記録しています。この競争力を維持するためには、国際市場への輸出強化や、気候変動への対応策としてさらなる技術革新が欠かせません。

しかし、2023年の一時的な減少の背後には地政学的背景も無視できません。ウクライナ危機以降、国際的なサプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰が農業プロセスそのものに影響を及ぼしました。また、地元での水争奪のリスクや新興感染症が発生する可能性も含め、今後の安定的な生産を妨げるリスクは依然存在します。

未来の課題に対してモロッコが講じるべき政策には、地域間協力の推進が含まれます。例えば、地中海沿岸諸国が協力して水資源の管理や気候適応技術を共有する枠組みを作ることが有効です。また、国際社会とも協力し、灌漑設備の改善や持続可能な農業モデルの導入を促進するべきです。さらには桃・ネクタリンの産業クラスターを形成し、地元での加工・輸出拠点を整備することで、収益性を高めることも検討する必要があります。

以上の課題と対策を踏まえれば、モロッコは農業分野のさらなる発展を通じて経済成長と環境保全を両立できる可能性を持っています。この果実産業の成功例が他の作物にも波及すれば、モロッコ全体の農業競争力は世界的に大きく向上するでしょう。