世界の小麦生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）の発表によると、1984年度の世界の小麦生産量ランキングでは、中国が87,815,008トンで首位を獲得しました。2位はアメリカ合衆国の70,618,000トン、そしてインドが45,476,000トンで3位に続きます。この3カ国だけで世界全体の小麦生産の約50％を占めています。一方で、日本は740,500トンで35位、大韓民国は17,237トンで65位と、アジア地域内でも小規模な生産国として位置付けられます。このランキングは、国ごとの農業生産能力、気候条件、農業政策などが生産量にどのように影響しているかを浮き彫りにしています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	87,815,008
2	アメリカ合衆国	北アメリカ	70,618,000
3	インド	アジア	45,476,000
4	フランス	ヨーロッパ	32,977,008
5	カナダ	北アメリカ	21,187,904
6	オーストラリア	オセアニア	18,666,032
7	トルコ	アジア	17,235,008
8	イギリス	ヨーロッパ	14,970,000
9	ドイツ	ヨーロッパ	14,125,965
10	アルゼンチン	南アメリカ	13,678,600
11	パキスタン	アジア	10,881,900
12	イタリア	ヨーロッパ	10,057,300
13	ハンガリー	ヨーロッパ	7,391,963
14	ルーマニア	ヨーロッパ	7,388,000
15	イラン（イスラム共和国）	アジア	6,206,681
16	スペイン	ヨーロッパ	6,052,300
17	ポーランド	ヨーロッパ	6,010,201
18	ブルガリア	ヨーロッパ	4,835,576
19	メキシコ	南アメリカ	4,505,245
20	デンマーク	ヨーロッパ	2,445,877
21	南アフリカ	アフリカ	2,346,000
22	ギリシャ	ヨーロッパ	2,316,000
23	アフガニスタン	アジア	2,194,000
24	モロッコ	アフリカ	1,989,480
25	ブラジル	南アメリカ	1,983,157
26	エジプト	アフリカ	1,815,176
27	スウェーデン	ヨーロッパ	1,775,700
28	オーストリア	ヨーロッパ	1,501,000
29	サウジアラビア	アジア	1,401,644
30	バングラデシュ	アジア	1,211,132
31	オランダ	ヨーロッパ	1,131,329
32	シリア・アラブ共和国	アジア	1,067,600
33	チリ	南アメリカ	988,280
34	アルジェリア	アフリカ	886,469
35	日本	アジア	740,500
36	チュニジア	アフリカ	711,330
37	ネパール	アジア	633,700
38	アイルランド	ヨーロッパ	602,000
39	アルバニア	ヨーロッパ	600,000
40	スイス	ヨーロッパ	596,800
41	フィンランド	ヨーロッパ	478,300
42	イラク	アジア	470,900
43	ポルトガル	ヨーロッパ	467,860
44	モンゴル	アジア	460,400
45	ウルグアイ	南アメリカ	348,861
46	ニュージーランド	オセアニア	314,556
47	ミャンマー	アジア	213,557
48	リビア	アフリカ	183,634
49	ノルウェー	ヨーロッパ	170,400
50	ケニア	アフリカ	144,590
51	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	132,000
52	イスラエル	アジア	130,000
53	パラグアイ	南アメリカ	120,764
54	ジンバブエ	アフリカ	99,000
55	グアテマラ	南アメリカ	90,700
56	ペルー	南アメリカ	87,442
57	タンザニア連合共和国	アフリカ	83,000
58	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	78,490
59	コロンビア	南アメリカ	59,300
60	イエメン	アジア	52,252
61	ヨルダン	アジア	49,716
62	ナイジェリア	アフリカ	27,000
63	エクアドル	南アメリカ	25,172
64	レバノン	アジア	18,000
65	大韓民国	アジア	17,237
66	レソト	アフリカ	17,127
67	ザンビア	アフリカ	13,221
68	ブータン	アジア	12,071
69	キプロス	アジア	9,000
70	ニジェール	アフリカ	8,330
71	ブルンジ	アフリカ	8,000
72	ウガンダ	アフリカ	7,000
73	モザンビーク	アフリカ	6,000
74	マルタ	ヨーロッパ	5,000
75	ナミビア	アフリカ	3,500
76	コンゴ民主共和国	アフリカ	3,400
77	ルワンダ	アフリカ	3,070
78	アンゴラ	アフリカ	3,000
79	中国、台湾 中国省	アジア	2,360
80	マラウイ	アフリカ	1,644
81	アラブ首長国連邦	アジア	1,536
82	マリ	アフリカ	1,500
83	エスワティニ	アフリカ	1,300
84	チャド	アフリカ	1,248
85	オマーン	アジア	1,141
86	ボツワナ	アフリカ	1,000
87	ホンジュラス	南アメリカ	650
88	モーリタニア	アフリカ	500
89	マダガスカル	アフリカ	300
90	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	291
91	カメルーン	アフリカ	270
92	ニューカレドニア	オセアニア	244
93	カタール	アジア	173
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1984年度の小麦生産量データを見ると、世界がいかに多様な生産構造を持つかがわかります。ランキング1位の中国は、87,815,008トンと圧倒的な生産量を記録しています。中国では、広大な耕地面積と工業化が進んだ地域でも農業が続けられており、当時から農業の生産効率を高める政策を推進していました。一方で、2位のアメリカ合衆国（70,618,000トン）は、気候的に有利な平原地帯を有し、大規模な農業機械の普及により高い生産性が実現しています。インドは人口が多く、国内需要が高いことから革新的な農業技術を導入しつつありますが、依然として灌漑設備の未整備が課題とされています。

これらの上位3カ国は、気候、土地の広さ、技術の適用度が生産量増加に寄与している一方で、気候変動や水資源の使用効率という将来的な問題を抱えています。たとえば、中国北部では乾燥化が進み、アメリカでも旱魃（かんばつ）の影響が懸念されています。

フランス（32,977,008トン）やカナダ（21,187,904トン）などの先進国も高い生産量を示していますが、これらは効率的な農業政策や輸出重視の戦略に支えられています。一方で、アジア圏の日本（740,500トン）や大韓民国（17,237トン）は、小麦における大規模な生産能力を持たないことが浮き彫りとなっています。日本では、国土面積の制限と米偏重の農業政策が背景にあり、これにより多くの小麦を輸入に頼っています。この状況は、輸入先の国際的な供給体制や地政学リスクによる影響を受けやすい構造を助長しています。

また、トルコ（17,235,008トン）やアルゼンチン（13,678,600トン）といった中規模生産国は、地域的な自給自足が得られる量を生産していますが、これらの国々ではインフラ不備や政治的な不安定が生産性向上を妨げる要因となっています。このように、地域ごとの課題は多様ですが、一方で小麦は多くの国で主要な穀物の一つとして国内安定の鍵を握っている点で重要性が高いと言えます。

未来に向けて国際社会が取るべき具体的な対応策としては、第一に気候変動対策を挙げることができます。乾燥地帯での耐乾性小麦の研究や灌漑技術の導入を進めることが効果的です。さらに、各国間での技術共有を促進する枠組みを作り、立ち遅れた国々に包括的な農業支援を行うべきです。特にアジアやアフリカの生産性向上を図るため、国際連合や地域機構を中心とした灌漑インフラ整備支援が不可欠となるでしょう。

加えて、地政学的リスクを回避するために、輸入依存国は多様な領域からの調達先を確保する努力が求められます。たとえば、日本や韓国のように国内需要を輸入に頼る国では、輸入先の分散化や備蓄戦略を強化することが重要です。

最後に、干ばつによる農地縮小の影響が大きな国では農業の近代化と土地利用の効率化が課題です。これらの課題に取り組むことは、安全保障の観点からも重要であり、国際社会が協力して持続可能なモデルを各地で構築する必要があります。この統計データは、農業政策や開発戦略の議論において貴重な指標となるでしょう。