国際連合食糧農業機関(FAO)が提供する1986年度の小麦生産量データによると、1位は中国で約9,004万トン、2位はアメリカ合衆国で約5,689万トン、3位はインドで約4,705万トンでした。これら3カ国が全体の小麦生産の大部分を占めており、4位以下にはカナダやフランス、トルコといった国々が続いています。一方で、日本は875,700トンでランキング中36位となり、自国での供給が他国に比べ限られていることが浮き彫りとなっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 90,040,000 |
| 2 |
|
北アメリカ | 56,897,008 |
| 3 |
|
アジア | 47,051,808 |
| 4 |
|
北アメリカ | 31,378,000 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 26,474,784 |
| 6 |
|
アジア | 19,032,000 |
| 7 |
|
オセアニア | 16,119,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 14,601,295 |
| 9 |
|
アジア | 13,923,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 13,911,000 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 9,102,100 |
| 12 |
|
南アメリカ | 8,756,500 |
| 13 |
|
アジア | 7,556,390 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 7,501,702 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 6,278,000 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 5,793,015 |
| 17 |
|
南アメリカ | 5,638,470 |
| 18 |
|
南アメリカ | 4,769,411 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 4,392,000 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 4,326,575 |
| 21 |
|
アフリカ | 3,809,100 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 2,389,000 |
| 23 |
|
アフリカ | 2,333,000 |
| 24 |
|
アジア | 2,289,995 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 2,177,228 |
| 26 |
|
アジア | 1,969,000 |
| 27 |
|
アフリカ | 1,928,000 |
| 28 |
|
アジア | 1,925,000 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 1,730,510 |
| 30 |
|
南アメリカ | 1,625,809 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 1,414,599 |
| 32 |
|
アフリカ | 1,228,800 |
| 33 |
|
アジア | 1,041,825 |
| 34 |
|
アジア | 1,036,000 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 940,129 |
| 36 |
|
アジア | 875,700 |
| 37 |
|
アジア | 663,700 |
| 38 |
|
アフリカ | 630,000 |
| 39 |
|
アジア | 598,000 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 576,000 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 529,100 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 501,894 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 491,700 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 424,000 |
| 45 |
|
オセアニア | 379,700 |
| 46 |
|
アフリカ | 258,840 |
| 47 |
|
アフリカ | 248,346 |
| 48 |
|
南アメリカ | 241,543 |
| 49 |
|
南アメリカ | 231,730 |
| 50 |
|
アフリカ | 190,000 |
| 51 |
|
アジア | 189,934 |
| 52 |
|
アジア | 168,500 |
| 53 |
|
ヨーロッパ | 158,500 |
| 54 |
|
アジア | 143,000 |
| 55 |
|
アフリカ | 132,000 |
| 56 |
|
南アメリカ | 121,143 |
| 57 |
|
アジア | 95,462 |
| 58 |
|
南アメリカ | 81,700 |
| 59 |
|
南アメリカ | 81,200 |
| 60 |
|
アフリカ | 71,640 |
| 61 |
|
南アメリカ | 52,744 |
| 62 |
|
南アメリカ | 33,006 |
| 63 |
|
アジア | 30,842 |
| 64 |
|
アジア | 30,000 |
| 65 |
|
アフリカ | 17,998 |
| 66 |
|
アフリカ | 11,009 |
| 67 |
|
アジア | 11,000 |
| 68 |
|
アフリカ | 8,333 |
| 69 |
|
アフリカ | 8,260 |
| 70 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 71 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 72 |
|
アジア | 6,500 |
| 73 |
|
アフリカ | 5,922 |
| 74 |
|
アフリカ | 5,504 |
| 75 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 5,000 |
| 77 |
|
アジア | 4,545 |
| 78 |
|
アジア | 3,693 |
| 79 |
|
アフリカ | 2,400 |
| 80 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 81 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 82 |
|
アフリカ | 1,287 |
| 83 |
|
アジア | 1,175 |
| 84 |
|
アフリカ | 1,013 |
| 85 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 86 |
|
アフリカ | 640 |
| 87 |
|
南アメリカ | 600 |
| 88 |
|
オセアニア | 572 |
| 89 |
|
アフリカ | 563 |
| 90 |
|
アフリカ | 500 |
| 91 |
|
アフリカ | 400 |
| 92 |
|
南アメリカ | 297 |
| 93 |
|
アジア | 289 |
| 94 |
|
アジア | 210 |
| 95 |
|
アジア | 130 |
| 96 |
|
アジア | 7 |
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1986年度、小麦生産量のランキングでトップに立ったのは中国で、9,004万トンという圧倒的な生産量でした。この時期、中国の農業政策は土地改革と生産性向上に重点を置いており、これが小麦の大規模生産を可能にした要因です。続くアメリカ合衆国も約5,689万トンにのぼり、機械化された大規模農業により、高い生産効率を実現していました。また、インドがランキングの3位に位置しており、人口増加に伴う食料需要を満たすべく、緑の革命と呼ばれる農業技術改革を推進していたことが見て取れます。
一方で、日本の小麦生産量は875,700トンで36位に留まっており、国内消費を賄うには不十分です。日本は耕地面積が限られていることに加え、米が主食である文化から小麦の生産は欧米やアジアの他国に比較して後回しとなる傾向がありました。このため、輸入に大きく依存する構造が形成されています。これに関しては、当時の日本が効率的な交易ネットワークを通じて安定した国外供給を確保していたという背景があります。
地理的視点から見ると、1位から10位の多くの国々は比較的穏やかな気候を有しており、小麦栽培に適した広大な土地を保有していたことがその生産性向上の前提条件となっています。例えば、フランスやカナダ、オーストラリアはその典型例です。一方で、中東や北アフリカといった乾燥地帯の国々、例えばイランやモロッコにおいては、水不足や土壌の条件による制約が農業生産量を下げる要因となっています。
全体的な課題としては、気候変動や水資源の不足が上げられます。気候変動による異常気象は、乾燥地帯のみならず、比較的気候の安定した国々にも影響を与えています。例えば、トルコやパキスタンでは、降雨量の変化が生産量に重大な影響を与えていることが報告されています。また、生産と需要の地域偏在も挙げられます。南アジアやサハラ以南のアフリカ諸国では、小麦の需要は増加しているにもかかわらず、自給自足が困難な状況が続いています。その結果、これらの地域では輸入依存度が高まり、食料安全保障の脆弱さが懸念されています。
将来的な課題と対策としては、以下のポイントが重要です。まず、生産効率の向上が必要不可欠です。バイオテクノロジーや高度農業機械を導入することで、限られた土地を活用し、収量を上げることができます。また、水資源管理の最適化を進めることで、乾燥地域でも持続可能な農業を展開することが可能です。さらに、地域間協力の枠組みを強化することも 地域ごとのリスクを軽減するために有効でしょう。たとえば、農業技術の共有や、安定した食料物流の確保に向けた国際的な協調がこれに該当します。
結論として、1986年度の小麦生産データは、各国の農業の状況や地理的条件を如実に反映するものであり、現在でも参考となる貴重な指標です。今後、気候変動に伴う生産への影響を軽減するため、環境負荷の少ない農業技術の導入や、国際的な食料供給ネットワークの強化が求められます。このためには、国レベルでの政策調整や国際機関の主導による統合的な取り組みが必要となるでしょう。