Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した1990年度の小麦生産量データによると、世界の小麦生産量ランキングでは、中国が約9822万9008トンで1位、アメリカ合衆国が約7429万4000トンで2位、インドが約4984万9504トンで3位という結果でした。日本は約95万1500トンで35位にランクインしています。この結果から主要生産国の集中性や、各国の生産体制が浮き彫りになっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 98,229,008 |
| 2 |
|
北アメリカ | 74,294,000 |
| 3 |
|
アジア | 49,849,504 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 33,345,808 |
| 5 |
|
北アメリカ | 32,098,000 |
| 6 |
|
アジア | 20,022,000 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 15,241,870 |
| 8 |
|
オセアニア | 15,066,100 |
| 9 |
|
アジア | 14,315,500 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 14,033,000 |
| 11 |
|
南アメリカ | 10,055,700 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 9,025,756 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 8,108,500 |
| 14 |
|
アジア | 8,011,675 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 7,289,344 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 6,198,256 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 5,292,233 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 4,773,500 |
| 19 |
|
アフリカ | 4,268,049 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 3,953,412 |
| 21 |
|
南アメリカ | 3,930,934 |
| 22 |
|
アフリカ | 3,613,890 |
| 23 |
|
アジア | 3,580,344 |
| 24 |
|
南アメリカ | 3,093,791 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 2,242,900 |
| 26 |
|
アジア | 2,070,000 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 1,939,000 |
| 28 |
|
南アメリカ | 1,718,214 |
| 29 |
|
アフリカ | 1,709,000 |
| 30 |
|
アジア | 1,650,000 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 1,404,468 |
| 32 |
|
アジア | 1,195,800 |
| 33 |
|
アフリカ | 1,122,000 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 1,076,000 |
| 35 |
|
アジア | 951,500 |
| 36 |
|
アジア | 890,000 |
| 37 |
|
アジア | 854,960 |
| 38 |
|
アフリカ | 750,080 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 626,900 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 613,000 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 598,000 |
| 42 |
|
アジア | 596,200 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 562,600 |
| 44 |
|
南アメリカ | 417,400 |
| 45 |
|
アフリカ | 325,983 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 297,691 |
| 47 |
|
アジア | 291,200 |
| 48 |
|
南アメリカ | 259,337 |
| 49 |
|
アフリカ | 249,411 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 223,606 |
| 51 |
|
オセアニア | 188,042 |
| 52 |
|
アジア | 154,937 |
| 53 |
|
アフリカ | 128,760 |
| 54 |
|
アジア | 124,167 |
| 55 |
|
アジア | 116,000 |
| 56 |
|
アフリカ | 106,000 |
| 57 |
|
南アメリカ | 104,800 |
| 58 |
|
南アメリカ | 88,487 |
| 59 |
|
アジア | 82,870 |
| 60 |
|
アフリカ | 55,011 |
| 61 |
|
南アメリカ | 54,480 |
| 62 |
|
アジア | 52,000 |
| 63 |
|
アフリカ | 50,000 |
| 64 |
|
アフリカ | 33,162 |
| 65 |
|
南アメリカ | 32,033 |
| 66 |
|
南アメリカ | 29,907 |
| 67 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 68 |
|
アフリカ | 11,000 |
| 69 |
|
アジア | 10,400 |
| 70 |
|
アフリカ | 8,600 |
| 71 |
|
アフリカ | 6,862 |
| 72 |
|
アフリカ | 6,750 |
| 73 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 74 |
|
アジア | 5,000 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 4,900 |
| 76 |
|
アフリカ | 4,425 |
| 77 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 78 |
|
アジア | 2,932 |
| 79 |
|
アジア | 2,877 |
| 80 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 81 |
|
アフリカ | 2,100 |
| 82 |
|
アフリカ | 2,066 |
| 83 |
|
アフリカ | 1,639 |
| 84 |
|
アフリカ | 1,435 |
| 85 |
|
アジア | 1,190 |
| 86 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 87 |
|
アフリカ | 925 |
| 88 |
|
アジア | 889 |
| 89 |
|
南アメリカ | 750 |
| 90 |
|
アジア | 637 |
| 91 |
|
アフリカ | 560 |
| 92 |
|
アジア | 458 |
| 93 |
|
アフリカ | 381 |
| 94 |
|
南アメリカ | 310 |
| 95 |
|
オセアニア | 150 |
| 96 |
|
アジア | 50 |
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1990年度の小麦生産量ランキングでは、中国がダントツの1位となり、全世界での農業生産力の規模を示す重要なデータのひとつとなりました。中国は小麦だけでなく、米やトウモロコシなどの生産量でも上位に位置しており、その背景には、国内の膨大な人口を養うための政策的優先順位と広大な耕地面積、さらに生産性向上を目指した技術革新が存在します。一方で、2位のアメリカ合衆国は、中国に次いで大規模な農地利用をしており、栄養価の高い小麦を世界中に輸出する「穀物輸出大国」としての地位を確立しています。インドも約4984万9504トンを生産し、国内需要の増大に応じて生産体制を拡大してきました。
ヨーロッパ諸国においては、フランス、ドイツ、イギリスが特に上位にランクインしており、ヨーロッパ全体の小麦生産をけん引しています。この地域は、穏やかな気候と肥沃な土壌に恵まれているため、高品質な小麦の生産が可能です。同時に、農業支援政策が整備されていることも小麦生産量が高い理由と考えられます。しかし、今後の課題としては、気候変動に伴う異常気象や土壌劣化の影響が懸念されています。
日本は、上位国と比較すると、小麦の生産量は非常に少なく、35位の位置にとどまりました。国内耕地面積が限られている上、主食として米の需要が高いことから、小麦の生産には相対的に重きが置かれていません。また、国内消費量を大きく上回る小麦を輸入に依存しており、これが食料自給率の低下や外部依存の増加という課題を引き起こしています。特に地政学的なリスクにより輸入価格が変動すると、国民の生活に直接影響を及ぼす恐れがあります。
一方で、中東地域やアフリカ諸国では、小麦の生産量が著しく低い国々が多く見られます。これには、乾燥地帯における気候条件の厳しさや、灌漑設備の不備が背景に挙げられます。たとえば、サウジアラビアは1990年に約358万344トンを生産していますが、これは膨大な水資源を費やして行われた農業政策の結果であり、長期的に持続可能とは言い難い状況です。
全体的に見れば、小麦の世界生産は少数の大規模生産国に依存しています。このような状況では、輸出国同士の競争が激化する一方で、輸入国の経済的リスクが深刻化する可能性があります。特に、地政学的リスクや紛争といった要因により輸出の停止や価格高騰などが発生すれば、供給不足に直結します。
今後の課題としては、世界全体での食料安全保障を強化しつつ、それぞれの地域事情に応じた持続可能な農業の実現が必要です。たとえば、日本のように耕地面積に制約のある国では、農業技術の高度化や都市型農業の導入が有効です。また、アフリカ諸国では、インフラ整備や国際的な支援による農業基盤の構築が重要でしょう。さらに、国際的には、気候変動への対策とともに、異常気象による収穫減少を補完するための国際的な穀物備蓄システムの構築が求められます。
持続可能な地域間協力の促進や科学技術の応用を通じて、世界中の人々が安定的に小麦を確保できる未来を目指すことが、今後の大きな課題として浮かび上がっています。このデータから得られる教訓は、小麦生産を含む農業の重要性を再確認し、持続可能な生産体制を構築するための基盤になるでしょう。