国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1980年の小麦生産量データによると、世界第1位の生産国はアメリカ合衆国(64,799,504トン)でした。続いて、中国(55,210,000トン)、インド(31,830,000トン)が上位を占めています。これら3カ国が世界の小麦生産における重要な役割を担っています。日本は582,800トンの生産量で世界第36位に位置し、国内需要の多くを輸入に頼っている構造が垣間見えます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 64,799,504 |
| 2 |
|
アジア | 55,210,000 |
| 3 |
|
アジア | 31,830,000 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 23,781,008 |
| 5 |
|
北アメリカ | 19,292,000 |
| 6 |
|
アジア | 16,554,000 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 11,253,864 |
| 8 |
|
アジア | 10,856,500 |
| 9 |
|
オセアニア | 10,856,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 9,156,000 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 8,470,000 |
| 12 |
|
南アメリカ | 7,974,700 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 6,264,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 6,077,330 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 6,039,500 |
| 16 |
|
アジア | 5,849,800 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 4,175,486 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 3,846,572 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 2,970,000 |
| 20 |
|
南アメリカ | 2,784,914 |
| 21 |
|
南アメリカ | 2,701,613 |
| 22 |
|
アジア | 2,550,000 |
| 23 |
|
アジア | 2,225,800 |
| 24 |
|
アフリカ | 1,811,000 |
| 25 |
|
アフリカ | 1,736,440 |
| 26 |
|
アフリカ | 1,511,426 |
| 27 |
|
アフリカ | 1,472,000 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 1,200,599 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 1,193,320 |
| 30 |
|
アジア | 975,600 |
| 31 |
|
南アメリカ | 966,000 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 882,174 |
| 33 |
|
アフリカ | 869,000 |
| 34 |
|
アジア | 822,706 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 652,372 |
| 36 |
|
アジア | 582,800 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 495,900 |
| 38 |
|
アジア | 439,990 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 432,775 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 394,400 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 356,700 |
| 42 |
|
南アメリカ | 306,577 |
| 43 |
|
オセアニア | 305,768 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 272,000 |
| 45 |
|
アジア | 253,200 |
| 46 |
|
アジア | 229,800 |
| 47 |
|
アフリカ | 215,674 |
| 48 |
|
アフリカ | 191,234 |
| 49 |
|
アジア | 141,732 |
| 50 |
|
アフリカ | 140,500 |
| 51 |
|
アジア | 133,535 |
| 52 |
|
アジア | 99,000 |
| 53 |
|
アジア | 91,957 |
| 54 |
|
アジア | 90,852 |
| 55 |
|
アフリカ | 90,000 |
| 56 |
|
南アメリカ | 83,679 |
| 57 |
|
南アメリカ | 77,148 |
| 58 |
|
アジア | 73,000 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 65,000 |
| 60 |
|
南アメリカ | 60,140 |
| 61 |
|
南アメリカ | 58,128 |
| 62 |
|
南アメリカ | 45,690 |
| 63 |
|
南アメリカ | 31,113 |
| 64 |
|
アフリカ | 28,194 |
| 65 |
|
アフリカ | 24,000 |
| 66 |
|
アジア | 20,000 |
| 67 |
|
アフリカ | 17,000 |
| 68 |
|
アジア | 13,208 |
| 69 |
|
アフリカ | 9,765 |
| 70 |
|
アジア | 8,500 |
| 71 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 72 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 73 |
|
アフリカ | 5,600 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 4,352 |
| 75 |
|
アフリカ | 3,100 |
| 76 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 77 |
|
アジア | 2,839 |
| 78 |
|
アフリカ | 2,175 |
| 79 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 80 |
|
アフリカ | 1,518 |
| 81 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 82 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 83 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 84 |
|
アジア | 906 |
| 85 |
|
南アメリカ | 700 |
| 86 |
|
アフリカ | 600 |
| 87 |
|
アフリカ | 500 |
| 88 |
|
南アメリカ | 437 |
| 89 |
|
アジア | 359 |
| 90 |
|
アフリカ | 323 |
| 91 |
|
オセアニア | 250 |
| 92 |
|
アフリカ | 210 |
| 93 |
|
アジア | 127 |
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1980年の世界の小麦生産データは、食料生産の地域的な特徴と、当時の農業技術や地政学的状況を如実に反映しています。このデータが示す通り、多くの国にとって小麦が主要穀物として重要な位置を占めていますが、生産量には大きな国別差が見られます。世界最大の小麦生産国であるアメリカ合衆国の生産量は64,799,504トンで、中国とインドとともに「生産三強」と呼べる状況にあります。これら3国は広大な農地と多様な気候条件を持つため、高い生産規模を達成しています。また、中国やインドはすでに当時から国内人口を支えるために大量の小麦を生産しており、食料安全保障が重要なテーマであったことが伺えます。
ヨーロッパでは、フランス(23,781,008トン)がトップの座を占めています。この地域では他にもドイツやイギリス、イタリアなどがランキング上位に名を連ねており、当時の技術集約的な農業生産の効率の高さを示しています。一方で、カナダやオーストラリアといったヨーロッパ以外の温帯地域でも、農地の大規模化と輸出志向型農業が生産量を引き上げる要因となっていました。
アジア地域に目を転じると、日本は582,800トンで世界第36位と、他の主要先進国に比べ生産量がかなり低い状況となっています。日本はその国土面積が限られていることに加え、都市化や人口密度の高さが農地確保の障壁となっています。このため、国内消費の多くを輸入に依存する構造がこの時点ですでに形成されていました。一方で、比較的生産量の多い中国やパキスタンに関しても、当時は品種改良や灌漑技術の発展によって生産効率を向上させる努力が進展していました。
このランキングにはまた、地政学的背景や気候条件がしばしば影響を及ぼしています。中東や北アフリカの国々では、小麦が主食の一翼を担っているにもかかわらず、自然条件や社会構造の制約によって生産が制限されている状況が顕著です。この結果、エジプトやモロッコなどでは当時から穀物の輸入依存が避けられない状況でした。また、冷戦時代の政治的対立がいくつかの国の農業政策に影響を与え、特定地域では生産効率化への投資が限定的に留まったことも考えられます。
未来を見据えた課題の一つは、気候変動が小麦生産に与える影響です。干ばつや洪水が頻発する地域では、生産量の安定確保がますます困難になる可能性があります。日本を含む国内生産の少ない国々では、海外依存を減らし、食料安全保障を強化するための施策が必要です。具体的には、農地の効率的活用や都市型農業の普及など、技術革新を基盤とした政策が求められるでしょう。また、生産上位国においては、輸出のみに重点を置くのではなく、自国消費と輸出のバランスを見直すことが、食料安全保障の観点から重要です。
最終的に、各国間で協力体制を強化し、国際的な食料市場の安定化を図ることが重要です。これは、単に生産や商業の枠組みを超えて、世界的な飢餓や食糧不安問題の緩和にも寄与するでしょう。国際連合やその他の国際機関が、このような多国間連携を推進する役割をより一層強化する必要があります。