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モロッコのメロン生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、モロッコのメロン生産量は1961年の30,000トンから2023年の450,041トンへと大きく成長しました。一方、この生産量は近年減少傾向にあります。とりわけ2016年以降の変動が目立ち、2022年と2023年には500,000トンを下回る水準となっています。これには、気候変動や灌漑システムの課題の影響が指摘されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 450,041
-6.23% ↓
2022年 479,917
-11.22% ↓
2021年 540,561
7.07% ↑
2020年 504,864
29.26% ↑
2019年 390,571
-22.01% ↓
2018年 500,823
-19.04% ↓
2017年 618,588
18.85% ↑
2016年 520,491
-20.42% ↓
2015年 654,075
-11.2% ↓
2014年 736,546
5.22% ↑
2013年 700,035
-2.45% ↓
2012年 717,602
-7.72% ↓
2011年 777,605
37.07% ↑
2010年 567,301
-36.04% ↓
2009年 887,005
20.39% ↑
2008年 736,800
0.35% ↑
2007年 734,265
13.23% ↑
2006年 648,460
-0.01% ↓
2005年 648,510
-2.48% ↓
2004年 665,000
21.72% ↑
2003年 546,315
-4.89% ↓
2002年 574,410
25.18% ↑
2001年 458,860
10.74% ↑
2000年 414,340
-1.16% ↓
1999年 419,210
12.63% ↑
1998年 372,200
-7% ↓
1997年 400,200
-12.6% ↓
1996年 457,900
137% ↑
1995年 193,210
-53.47% ↓
1994年 415,200
38.12% ↑
1993年 300,600
-3.99% ↓
1992年 313,106
-3.96% ↓
1991年 326,033
-12.16% ↓
1990年 371,166
17.87% ↑
1989年 314,889
16.63% ↑
1988年 270,000
-15.97% ↓
1987年 321,300
7.1% ↑
1986年 300,000
7.14% ↑
1985年 280,000
12% ↑
1984年 250,000
19.05% ↑
1983年 210,000
16.67% ↑
1982年 180,000
5.88% ↑
1981年 170,000
6.25% ↑
1980年 160,000
6.67% ↑
1979年 150,000
4.9% ↑
1978年 143,000
2.14% ↑
1977年 140,000
6.06% ↑
1976年 132,000
3.94% ↑
1975年 127,000
1.6% ↑
1974年 125,000
1.63% ↑
1973年 123,000
2.5% ↑
1972年 120,000 -
1971年 120,000
20% ↑
1970年 100,000 -
1969年 100,000
-23.08% ↓
1968年 130,000
24.12% ↑
1967年 104,737
71.18% ↑
1966年 61,187
-21.56% ↓
1965年 78,000
65.96% ↑
1964年 47,000
34.29% ↑
1963年 35,000
9.38% ↑
1962年 32,000
6.67% ↑
1961年 30,000 -

モロッコのメロン生産量データを時系列的に分析すると、いくつかの興味深い特徴が見て取れます。1960年代から1980年代まで、生産量は着実に増加し続けました。この時期、重点的な農業政策や市場の拡大が進み、1950年代から1960年代にかけての基礎的なインフラ整備が背景と考えられます。1983年以降には200,000トンを超える生産量を達成し、1990年代にはさらに大規模な成長を見せる場面もありました。1994年には415,200トンに達し、その後も多少の変動はあるものの、2002年には574,410トンに上昇しました。

しかし、特筆すべきは、2010年代後半からの急激な変動です。2016年以降、モロッコのメロン生産量は大きく変動し、2023年には450,041トンと、わずか7年で260,000トン近く減少しました。この下落の原因として、地球温暖化に伴う降水量の変化、水利用の非効率性、または国際市場の需要変動が挙げられます。さらには、2020年の新型コロナウイルスの影響で国際物流が混乱し、高品質なメロンの輸出機会が減少したことも影響した可能性があります。

地政学的背景について考えると、モロッコは北アフリカ地域の中で比較的安定した生産基盤を持つ国である一方で、水資源の確保という課題に直面しています。この地域では、砂漠化や水資源の枯渇という問題が特に顕著であり、これが同国の農業生産に大きく影響しています。とりわけ灌漑が重要な役割を果たすメロン生産において、水不足は直接的な生産量減少の要因となり得ます。

さらに、国際市場との関わりでは、中国やインドのメロン生産量が大規模かつ安価であることが市場競争の圧力を高め、モロッコのプレゼンスを弱めている点も挙げられます。一方で、EU市場(特にフランスやドイツ)はモロッコ産メロンの主な輸出先となっており、ここでの需要回復は重要な要素です。

未来に向けた提言として、モロッコがメロン生産量の安定化と向上を目指すためには、以下のような具体的な対策をとる必要があります。まず、灌漑効率を向上させるための技術投資を進めるべきです。たとえば、適応型灌漑技術や海水淡水化システムの導入で水使用の最適化を図ることが可能です。また、品種改良による高温耐性や乾燥耐性を持つメロンの開発は、生産性向上に寄与するでしょう。さらに、EUやアジア諸国との新たな貿易交渉を通じて輸出市場を多角化することで、国際市場の変動リスクを分散させることができます。

結論として、モロッコのメロン生産は過去数十年で大きく成長しましたが、近年の生産量の減少は、気候変動や国際市場の変化といったグローバルな要因が絡んでいます。これに対処するためには、国際機関や近隣諸国との協力も含めた長期的な農業政策の構築が不可欠です。地域全体の資源調整や持続可能な農業の推進を図ることで、モロッコのメロン産業は新たな飛躍を遂げる可能性があります。