国際連合食糧農業機関(FAO)がまとめた1978年度の小麦生産量ランキングによると、中国が53,840,000トンで世界1位、アメリカ合衆国が48,322,656トンで2位、インドが31,749,200トンで3位となりました。日本は366,700トンで世界38位にランクインしています。上位の国々は主に広大な農地を持つ国や農業基盤が発展している国であり、世界の小麦生産量に大きく寄与しています。一方で、下位の国々では、自然条件やインフラの制約が生産量に大きな影響を及ぼしていることが伺えます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 53,840,000 |
| 2 |
|
北アメリカ | 48,322,656 |
| 3 |
|
アジア | 31,749,200 |
| 4 |
|
北アメリカ | 21,136,800 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 20,967,712 |
| 6 |
|
オセアニア | 18,090,000 |
| 7 |
|
アジア | 16,764,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 11,265,143 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 9,190,500 |
| 10 |
|
南アメリカ | 8,469,400 |
| 11 |
|
アジア | 8,367,200 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 6,610,000 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 6,102,000 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 6,029,398 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 5,677,255 |
| 16 |
|
アジア | 5,660,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 4,806,100 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 3,466,215 |
| 19 |
|
アジア | 2,813,000 |
| 20 |
|
南アメリカ | 2,784,660 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 2,704,452 |
| 22 |
|
南アメリカ | 2,690,888 |
| 23 |
|
アフリカ | 1,933,000 |
| 24 |
|
アフリカ | 1,876,450 |
| 25 |
|
アフリカ | 1,692,000 |
| 26 |
|
アジア | 1,650,696 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 1,290,060 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 1,194,808 |
| 29 |
|
アフリカ | 1,083,019 |
| 30 |
|
アジア | 909,800 |
| 31 |
|
南アメリカ | 892,620 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 792,250 |
| 33 |
|
アフリカ | 750,000 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 642,428 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 490,000 |
| 36 |
|
アジア | 411,270 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 407,800 |
| 38 |
|
アジア | 366,700 |
| 39 |
|
アジア | 347,997 |
| 40 |
|
オセアニア | 328,756 |
| 41 |
|
アジア | 279,000 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 254,700 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 253,000 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 240,600 |
| 45 |
|
アフリカ | 203,052 |
| 46 |
|
アフリカ | 175,121 |
| 47 |
|
南アメリカ | 174,269 |
| 48 |
|
アジア | 167,000 |
| 49 |
|
アジア | 119,928 |
| 50 |
|
アジア | 111,000 |
| 51 |
|
南アメリカ | 104,401 |
| 52 |
|
アフリカ | 99,295 |
| 53 |
|
アジア | 93,692 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 79,806 |
| 55 |
|
アフリカ | 70,000 |
| 56 |
|
南アメリカ | 59,616 |
| 57 |
|
アジア | 59,000 |
| 58 |
|
アフリカ | 57,906 |
| 59 |
|
南アメリカ | 56,590 |
| 60 |
|
アジア | 53,320 |
| 61 |
|
アジア | 45,000 |
| 62 |
|
南アメリカ | 37,801 |
| 63 |
|
南アメリカ | 37,700 |
| 64 |
|
アジア | 35,705 |
| 65 |
|
南アメリカ | 28,904 |
| 66 |
|
アジア | 20,320 |
| 67 |
|
アフリカ | 20,000 |
| 68 |
|
アフリカ | 13,900 |
| 69 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 70 |
|
アジア | 8,000 |
| 71 |
|
アフリカ | 5,341 |
| 72 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 73 |
|
アフリカ | 3,657 |
| 74 |
|
アフリカ | 3,600 |
| 75 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 2,983 |
| 77 |
|
アフリカ | 2,742 |
| 78 |
|
アジア | 2,395 |
| 79 |
|
アフリカ | 2,062 |
| 80 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 81 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 82 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 83 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 84 |
|
アフリカ | 800 |
| 85 |
|
アフリカ | 600 |
| 86 |
|
南アメリカ | 571 |
| 87 |
|
アフリカ | 500 |
| 88 |
|
アフリカ | 420 |
| 89 |
|
アジア | 275 |
| 90 |
|
アジア | 242 |
| 91 |
|
アフリカ | 180 |
| 92 |
|
アジア | 105 |
| 93 |
|
オセアニア | 60 |
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1978年度の小麦生産量を見ると、世界的な生産の中心は中国、アメリカ合衆国、インドといった農業大国に集中しています。中国は53,840,000トンを生産し、1位を確保しましたが、これは中国特有の広大な農地面積と、それを活用するための多様な気候条件を背景としています。また、人口が多く食料需要が高い中国では、政府による農業優先政策や自己給足的な生産体制がこの実績を支えています。2位のアメリカも48,322,656トンを記録しており、主要な小麦輸出国としての地位を築いています。アメリカの小麦生産は、技術力や大型農家の存在、高度に発達した農業インフラによって大きく支えられています。
インドは31,749,200トンの生産量で3位となりましたが、当時はまだ農業近代化が進行中であり、生産効率の改善が課題でした。一方、フランスやカナダといった他の先進国もランキング上位に位置しており、特にフランスではヨーロッパの穀倉地帯としての国際的な重要性が示されます。
日本の小麦生産量は366,700トンで38位にランクインしていますが、これは地理的な制約や耕作面積の狭さ、国内の食習慣による影響を受けています。日本では米が主要な穀物であり、小麦は主に輸入に依存する構造が形成されてきました。また、限られた農地を効率的に活用するため、品質の高い小麦を生産する方向に注力している点が特徴的です。
一方、多くのアフリカ諸国や小規模農業国における小麦生産量は、1,000トン未満にとどまっています。これらの国々では気候条件や灌漑設備の不足が影響しており、小麦栽培に適した環境が限られています。例えば、ナミビア(800トン)やボツワナ(600トン)のように、乾燥した気候と水資源の乏しさが農業の生産性を制約しています。
地政学的背景についても、特に中東やアフリカ地域では、小麦生産の低さが食糧安全保障上の課題となっています。イラン(5,660,000トン)やエジプト(1,933,000トン)のように生産国が存在する一方で、隣接する国家間での小麦輸入依存度が高い状況が見られます。こうした地域では国際的な貿易や援助に依存しており、将来的に紛争や輸送網の混乱が発生すれば、食糧供給に大きな影響を及ぼす可能性があります。
未来の課題としては、まず気候変動の影響に対処するため、持続可能な農業の推進が求められます。特に乾燥地帯においては、耐干ばつ性のある品種や革新的な灌漑技術の導入が鍵になります。また、小麦生産の偏りを是正するために、地域間協力や農業研究への国際的な支援を強化することが必要です。たとえば、アフリカ諸国では地域規模での農業開発プロジェクトを進め、インフラを整備し気候変動に対応した作物の導入を進めるべきです。
また、競争の激しい輸出市場において、生産性を向上させるだけでなく、各国が自国の生産を安定化するための政策を立案することも重要です。日本のように輸入依存度が高い国では、多様な輸入先を確保し備蓄体制を強化するとともに、限られた農地でも収穫を最大化する方法をさらに研究していくことが期待されます。
結論として、1978年時点での小麦生産データは、各国の農業基盤、気候条件、政策の違いを反映しています。この情報を踏まえ、より安定した世界的な食糧供給を実現するためには、各国間の連携と農業技術の共有が今後ますます重要になるでしょう。