国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1979年度の小麦生産量データによると、世界最大の生産国は中国(6,273万トン)、次いでアメリカ(5,808万トン)、インド(3,550万トン)でした。日本は35位に位置し、生産量は541,300トンで、これらの大規模生産国と比較すると規模の差が顕著です。ランキング上位には広大な国土の農業国が集中しており、生産体制や土地利用が生産量に大きな影響を与えていることが示されています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 62,730,000 |
| 2 |
|
北アメリカ | 58,080,576 |
| 3 |
|
アジア | 35,507,808 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 19,544,000 |
| 5 |
|
アジア | 17,569,008 |
| 6 |
|
北アメリカ | 17,196,000 |
| 7 |
|
オセアニア | 16,188,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 11,177,128 |
| 9 |
|
アジア | 9,950,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 8,980,300 |
| 11 |
|
南アメリカ | 8,317,800 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 7,168,000 |
| 13 |
|
アジア | 6,025,148 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 4,569,000 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 4,187,394 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 4,082,300 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 3,708,866 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 3,354,760 |
| 19 |
|
南アメリカ | 2,926,764 |
| 20 |
|
アジア | 2,663,000 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 2,407,000 |
| 22 |
|
南アメリカ | 2,286,525 |
| 23 |
|
アフリカ | 2,087,000 |
| 24 |
|
アフリカ | 1,856,000 |
| 25 |
|
アフリカ | 1,796,000 |
| 26 |
|
アジア | 1,319,959 |
| 27 |
|
アフリカ | 1,080,435 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 1,003,050 |
| 29 |
|
南アメリカ | 995,140 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 849,921 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 835,600 |
| 32 |
|
アジア | 684,800 |
| 33 |
|
アフリカ | 680,000 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 589,886 |
| 35 |
|
アジア | 541,300 |
| 36 |
|
アジア | 494,031 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 490,530 |
| 38 |
|
南アメリカ | 435,281 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 422,800 |
| 40 |
|
アジア | 415,230 |
| 41 |
|
オセアニア | 295,028 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 252,160 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 252,000 |
| 44 |
|
アジア | 240,000 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 208,400 |
| 46 |
|
アフリカ | 207,268 |
| 47 |
|
アフリカ | 161,963 |
| 48 |
|
アジア | 150,426 |
| 49 |
|
アジア | 133,200 |
| 50 |
|
アジア | 115,000 |
| 51 |
|
アフリカ | 110,000 |
| 52 |
|
南アメリカ | 102,060 |
| 53 |
|
アジア | 88,000 |
| 54 |
|
アフリカ | 87,000 |
| 55 |
|
南アメリカ | 67,755 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 67,001 |
| 57 |
|
南アメリカ | 58,253 |
| 58 |
|
南アメリカ | 56,764 |
| 59 |
|
アジア | 41,980 |
| 60 |
|
南アメリカ | 41,970 |
| 61 |
|
アジア | 41,640 |
| 62 |
|
アジア | 40,000 |
| 63 |
|
アフリカ | 33,629 |
| 64 |
|
南アメリカ | 31,248 |
| 65 |
|
アフリカ | 22,000 |
| 66 |
|
アジア | 16,465 |
| 67 |
|
アジア | 13,208 |
| 68 |
|
アジア | 8,200 |
| 69 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 70 |
|
アフリカ | 6,528 |
| 71 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 72 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 73 |
|
アフリカ | 4,600 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 3,345 |
| 75 |
|
アフリカ | 2,976 |
| 76 |
|
アフリカ | 2,900 |
| 77 |
|
アフリカ | 2,523 |
| 78 |
|
アジア | 2,521 |
| 79 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 80 |
|
アフリカ | 1,548 |
| 81 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 82 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 83 |
|
アフリカ | 980 |
| 84 |
|
アジア | 785 |
| 85 |
|
南アメリカ | 700 |
| 86 |
|
アフリカ | 600 |
| 87 |
|
アフリカ | 500 |
| 88 |
|
南アメリカ | 415 |
| 89 |
|
アフリカ | 200 |
| 90 |
|
アジア | 150 |
| 91 |
|
アフリカ | 147 |
| 92 |
|
アジア | 120 |
| 93 |
|
オセアニア | 70 |
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1979年度の小麦生産量データは、世界の食糧生産の動向を理解するうえで重要な指標となります。小麦は主要な穀物として、パンや麺類など多様な食品の原料に使われ、多くの国で食文化と直結しています。そのため、小麦の生産量は単なる農業データに留まらず、食糧安全保障や経済、貿易、政治にも影響を与えます。
ランキングを見ると、中国がトップであり、生産量は6,273万トンに達しています。これは、豊富な労働力と広大な農地を活用できる国の特性に加え、農業政策の整備も影響しています。一方アメリカは、5,808万トンで第2位です。アメリカの場合、広大な耕地、機械化された農業、生産効率を高める技術革新により高い生産量を維持しています。第3位のインド(3,550万トン)も同様に、農村部の労働力を最大限に活用しつつ、政府の支援策が生産量の増加を後押ししています。これら上位3カ国だけで、世界の小麦生産量の半分以上を占めており、供給体制が極めて集中していることが分かります。
対照的に、日本の小麦生産量は541,300トンで35位にとどまり、上位国と大きく差があります。この背景には、日本が地形的に山地が多く、広範な農地を確保しにくい点や、稲作を中心にした農業体系を持っていることが挙げられます。日本では小麦のほとんどを輸入に依存しており、主要な供給国となるアメリカやカナダからの輸出が小麦消費を支えています。この依存構造は、小麦価格の変動や貿易政策に左右されやすいリスクを内包しているといえるでしょう。
一方、ヨーロッパのフランス(1,954万トン)やドイツ(1,117万トン)といった国々もランキング上位に位置しています。これらの国々は、気候や地理的条件が小麦の栽培に適しており、かつ効率的な農業技術の普及によって生産性を高めています。一方で、トルコやパキスタンのような中東・南アジア地域もランキングに登場し、中規模ながら自給自足を目指す形の生産が行われています。
このランキングから見える課題として、気候変動の影響により小麦の生産が変動しやすい点が挙げられます。現在、降水量の変化や高温化などの現象が既に一部の地域で生産量に悪影響を与えています。例えば、乾燥地帯での水資源不足は深刻で、持続可能な農法への転換が各国に求められるシナリオとなっています。また、地政学的背景として、世界の食料供給の一部が紛争や貿易摩擦、あるいは国際経済制裁の影響で混乱するリスクもあります。これにより、一部の途上国が食料品の輸入を確保できなくなる懸念が深まります。
未来への提案として、小麦供給のリスク分散と安定供給のための多国間協力が鍵となります。例えば、小麦の遺伝子改良を通じた耐病性や高収量化を推進すると同時に、小規模生産国が技術と知識を簡便に取得できるよう支援を行うべきです。また、各国が食料安全保障の観点から貿易依存度を調整し、輸入先の多様化や国内生産の競争力向上に努めることが重要です。日本では、限られた耕地資源を有効活用するため、国内での小麦の高付加価値品種育成や都市型農業の応用といった戦略を速やかに進めるべきです。
結論として、1979年度の小麦生産ランキングからは、生産量の地域的偏りと、これに付随する将来的な供給リスクが浮き彫りとなっています。国際社会としては、天候や経済、地政学的リスクを含む多面的な課題を乗り越えるため、協力体制を強化し、安定した供給網の構築を目指すことが求められます。