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モロッコのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、モロッコのオリーブ油生産量は2021年に194,900トンとなりました。このデータは、1961年以降の生産量推移を示しています。長期的に見ると、生産量は年々増加傾向にあり、特に2000年代以降、安定的に増加しています。一方で、毎年の天候や市場需給による変動が顕著に見られ、特定の年で急激な増減が認められています。特に2018年以降、生産量は大幅に増え、高い水準を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 194,900
18.41% ↑
2020年 164,600
-19.39% ↓
2019年 204,200
14.46% ↑
2018年 178,400
36.6% ↑
2017年 130,600
-3.04% ↓
2016年 134,700
-0.44% ↓
2015年 135,300
-1.53% ↓
2014年 137,400
16.54% ↑
2013年 117,900
-1.83% ↓
2012年 120,100
-10.04% ↓
2011年 133,500
-9% ↓
2010年 146,700
31.45% ↑
2009年 111,600
48.8% ↑
2008年 75,000 -
2007年 75,000 -
2006年 75,000
50% ↑
2005年 50,000
-50% ↓
2004年 100,000
122.22% ↑
2003年 45,000
-25% ↓
2002年 60,000
71.43% ↑
2001年 35,000
-12.5% ↓
2000年 40,000
-38.46% ↓
1999年 65,000
8.33% ↑
1998年 60,000
20% ↑
1997年 50,000
-37.5% ↓
1996年 80,000
128.57% ↑
1995年 35,000
-22.22% ↓
1994年 45,000
12.5% ↑
1993年 40,000
5.26% ↑
1992年 38,000
-30.91% ↓
1991年 55,000
-26.67% ↓
1990年 75,000
15.38% ↑
1989年 65,000
71.05% ↑
1988年 38,000 -
1987年 38,000
8.57% ↑
1986年 35,000
-12.5% ↓
1985年 40,000
48.15% ↑
1984年 27,000
17.39% ↑
1983年 23,000
-48.89% ↓
1982年 45,000
150% ↑
1981年 18,000
-18.18% ↓
1980年 22,000
-37.14% ↓
1979年 35,000
75% ↑
1978年 20,000
33.33% ↑
1977年 15,000
-57.14% ↓
1976年 35,000
-7.89% ↓
1975年 38,000
55.1% ↑
1974年 24,500
-9.93% ↓
1973年 27,200
48.63% ↑
1972年 18,300
-70.44% ↓
1971年 61,900
403.25% ↑
1970年 12,300
-67.02% ↓
1969年 37,300
-41.26% ↓
1968年 63,500
363.5% ↑
1967年 13,700
-52.1% ↓
1966年 28,600 -
1965年 28,600
69.23% ↑
1964年 16,900
-17.56% ↓
1963年 20,500
42.36% ↑
1962年 14,400
3.6% ↑
1961年 13,900 -

モロッコのオリーブ油生産量は、1960年代から現在に至るまで長い期間でデータが記録されています。このデータを分析すると、生産量は全体的に増加傾向を示しており、モロッコがオリーブ油の主要生産国の一つとして重要な地位を築いていることが伺えます。しかし、その推移を見ると、毎年の生産量には大きなばらつきが見られ、これは気候条件、特に干ばつや降雨量の影響を強く受けていることを示唆しています。

例えば、1960年代から1980年代にかけて、生産量はおおむね10,000~50,000トン程度で推移しており、一時的な急増があるものの全体的に低いレベルでした。しかし、1990年代に入ってからは生産量が急激に増え、特に1996年には80,000トンの高水準を記録しました。その後、2000年代に入ると生産量はさらに増加し、2004年には初めて100,000トンを超え、2009年には111,600トン、2010年には146,700トンと高い水準を維持しています。この増加は、主に政府や民間セクターによる農業技術の改善、生産設備への投資増加、そしてオリーブの栽培面積の拡大に起因しています。さらに、2018年以降には178,400トン、2019年には204,200トンと、200,000トンを突破する記録的な生産量を達成しています。

こうした増加の背景には、モロッコ政府の政策的取り組みがあります。特に、農業分野の近代化を目指した「グリーンモロッコ計画」が重要な役割を果たしています。これにより、耐干ばつ性の高いオリーブ品種の導入や灌漑施設の整備が進み、生産効率が大幅に改善されました。また、モロッコは地中海性気候のためオリーブ栽培に適した条件を持ちますが、雨量不足や温暖化による乾燥化の影響が課題となっています。そのため、持続可能な栽培手法の採用が喫緊の課題として浮かび上がっています。

他国との比較において、モロッコはスペインやイタリア、ギリシャといった主要オリーブ生産国には生産量で及びませんが、アフリカ地域内では最大のオリーブ油生産国となっており、その独自性を活かした輸出戦略が注目されています。特に、日本、中国、アメリカといった新興市場向けの輸出拡大のポテンシャルがあります。一方、世界の主要オリーブ生産国と比べ、品質の向上やブランド力の強化についてはまだ改良の余地が残されていると言えます。

気候変動の影響や地域の農業インフラの脆弱性を考慮すると、今後の課題も少なくありません。例えば、急激な生産量の増加は、環境負荷が増大する可能性があります。また、灌漑や水資源利用の効率化を進めなければ、長期的な生産の持続性が危ぶまれるでしょう。そのため、モロッコ政府や農業関係者は、環境保全型農業の技術導入を積極的に進めることが重要です。

結論として、モロッコのオリーブ油生産は過去数十年で飛躍的な成長を遂げており、今後もさらなる市場拡大が期待されます。ただし、気候変動対策の強化、国際市場への適応力の向上、品質向上に向けた取り組みが求められます。具体的には、農業技術を支援するための国際協力、輸出促進のためのマーケティング戦略、持続可能な農業と水資源管理への投資が効果的な対策として挙げられるでしょう。これにより、モロッコは地中海地域におけるオリーブ油生産の重要プレーヤーとしてますます認知される存在になる可能性を秘めています。