国連の食糧農業機関(FAO)が発表した1991年度の小麦生産量に関するデータによると、1位は中国で95,950,000トン、2位はインドで55,134,496トン、3位はアメリカ合衆国で53,890,000トンの生産量を記録しました。日本は38位で759,000トンの生産となり、小麦の大部分を輸入に頼る国であることが示されました。このデータは、主要生産国の食糧生産体制を見直すとともに、各国が抱える農業の課題や自給自足率向上のヒントを提供しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 95,950,000 |
| 2 |
|
アジア | 55,134,496 |
| 3 |
|
北アメリカ | 53,890,000 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 34,362,204 |
| 5 |
|
北アメリカ | 31,945,600 |
| 6 |
|
アジア | 20,400,000 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 16,611,967 |
| 8 |
|
オセアニア | 15,066,100 |
| 9 |
|
アジア | 14,565,000 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 14,362,419 |
| 11 |
|
南アメリカ | 11,036,600 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 9,415,660 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 9,269,974 |
| 14 |
|
アジア | 8,792,666 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 6,007,888 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 5,473,156 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 5,467,700 |
| 18 |
|
アフリカ | 4,938,920 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 4,497,045 |
| 20 |
|
アフリカ | 4,482,523 |
| 21 |
|
南アメリカ | 4,060,738 |
| 22 |
|
アジア | 4,035,498 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 3,669,852 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 3,162,000 |
| 25 |
|
南アメリカ | 2,916,823 |
| 26 |
|
アフリカ | 2,142,000 |
| 27 |
|
アジア | 2,140,000 |
| 28 |
|
アフリカ | 1,869,400 |
| 29 |
|
アフリカ | 1,786,100 |
| 30 |
|
アジア | 1,726,000 |
| 31 |
|
南アメリカ | 1,588,677 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 1,480,900 |
| 33 |
|
アジア | 1,476,400 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 1,375,253 |
| 35 |
|
アジア | 1,004,290 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 944,146 |
| 37 |
|
アジア | 835,970 |
| 38 |
|
アジア | 759,000 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 674,000 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 618,697 |
| 41 |
|
ヨーロッパ | 583,651 |
| 42 |
|
アジア | 538,200 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 430,500 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 297,340 |
| 45 |
|
アフリカ | 264,457 |
| 46 |
|
アフリカ | 259,213 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 246,300 |
| 48 |
|
南アメリカ | 240,538 |
| 49 |
|
南アメリカ | 188,300 |
| 50 |
|
オセアニア | 180,690 |
| 51 |
|
アジア | 180,000 |
| 52 |
|
アジア | 141,100 |
| 53 |
|
アジア | 135,000 |
| 54 |
|
アフリカ | 130,000 |
| 55 |
|
南アメリカ | 108,733 |
| 56 |
|
アジア | 99,913 |
| 57 |
|
南アメリカ | 93,900 |
| 58 |
|
南アメリカ | 87,275 |
| 59 |
|
アフリカ | 84,000 |
| 60 |
|
アフリカ | 65,236 |
| 61 |
|
アジア | 61,844 |
| 62 |
|
アフリカ | 60,000 |
| 63 |
|
アジア | 58,594 |
| 64 |
|
南アメリカ | 22,680 |
| 65 |
|
南アメリカ | 17,059 |
| 66 |
|
アフリカ | 14,800 |
| 67 |
|
アフリカ | 10,400 |
| 68 |
|
アフリカ | 9,000 |
| 69 |
|
アフリカ | 9,000 |
| 70 |
|
アフリカ | 8,800 |
| 71 |
|
アフリカ | 6,844 |
| 72 |
|
アフリカ | 6,830 |
| 73 |
|
アフリカ | 5,900 |
| 74 |
|
アジア | 5,600 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 5,100 |
| 76 |
|
アジア | 5,000 |
| 77 |
|
アジア | 3,581 |
| 78 |
|
アフリカ | 3,421 |
| 79 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 80 |
|
アフリカ | 2,560 |
| 81 |
|
アフリカ | 2,540 |
| 82 |
|
アジア | 2,466 |
| 83 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 84 |
|
アジア | 1,200 |
| 85 |
|
アフリカ | 877 |
| 86 |
|
南アメリカ | 786 |
| 87 |
|
アフリカ | 660 |
| 88 |
|
アフリカ | 600 |
| 89 |
|
アフリカ | 562 |
| 90 |
|
アジア | 551 |
| 91 |
|
アジア | 419 |
| 92 |
|
アフリカ | 400 |
| 93 |
|
南アメリカ | 310 |
| 94 |
|
オセアニア | 308 |
| 95 |
|
アジア | 242 |
| 96 |
|
アジア | 3 |
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このランキングから、1991年時点での世界の小麦生産の大きな偏りが浮き彫りになっています。小麦生産量世界一の中国が実に約96百万トンという圧倒的な数値を誇り、次いでインドとアメリカがこれに続いています。これらの3カ国だけで世界の小麦生産の相当な割合を占めており、これは当時の世界的な食糧供給に与える影響力がいかに大きかったかを物語っています。一方で、その他の多くの国々では小麦の生産は比較的少なく、特に消費量が輸入に大きく依存している国々にとっては、食糧保障の課題が浮き彫りになっています。
注目すべき点は、1位の中国が気候や土地の広さを活かし、高い生産力を示していることです。しかし、この絶対量の生産が可能だった背景には、当時の技術革新や農地改革の成果、それに政府の政策の影響があります。特に農業技術の導入に加えて、灌漑インフラや化学肥料の使用が生産効率を画期的に向上させました。それに対して、日本は38位であり、小麦生産では全体の1%未満を占めている状況です。これは日本が耕地面積の限界や、国内では米を中心とする農業政策を優先していることが主な理由と言えるでしょう。
ヨーロッパではフランス、ドイツ、イギリスといった主要国がトップ10にランクインしており、これらの国々がEUの中で重要な穀物供給地としての役割を果たしていることが示されています。また、地中海沿岸地域や中東では、トルコやイランなどが高い順位に名を連ね、地域的な気候条件や土地利用が貢献している様子が伺えます。しかしながら、多くの地域ではその気候変動の影響が懸念され、特に乾燥地帯では生産が減少する可能性が予測されます。
地政学的な観点では、穀倉地帯と呼ばれる地域が紛争や天然資源の争奪に巻き込まれる可能性も考えられます。たとえば、農業においても重要な役割を果たす水資源をめぐる問題は、中東や北アフリカの一部で既に食糧生産に直接的な影響を及ぼしつつあります。この点では、各国が地域間協力や技術支援の枠組みを積極的に推進する必要があるでしょう。
また、小麦自給率の低い国々において、小麦の輸入に依存している状況は、グローバルな供給チェーンのリスクにさらされ続けています。最近のような疫病やパンデミックは、輸送の停滞や貿易の制限をもたらし、食糧安全保障問題を浮き彫りにしてきました。まとめて言えば、これらの脆弱な国々が未来に向けて多角的な対応を行う必要性があります。
今後の対策として、農業の自給率向上を目指した国家政策の再検討が重要です。たとえば、日本を含む生産量の低い国や地域では、最新の育種技術やデジタル農業(スマート農業)を活用することで収量を増加させる余地があるでしょう。また、食の多様化や国産品の利用促進を文化的な魅力として位置付けることで、消費者の意識を変える取り組みも意義があります。さらに、国際的な緊張が高まる中で、各国は貿易協定を強化し、安定的な穀物供給網を構築することも欠かせません。
最後に強調したいのは、小麦生産は単なる国際競争の指標ではなく、人々の命を支える基盤であるという点です。各国の政府や国際機関は、技術支援、生産性向上、地域間の協調を通じて、持続可能な食糧安全保障を実現するための努力を継続すべきです。