Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データでは、モロッコのアーモンド生産量は近年増加傾向を示しており、2022年には過去最高の175,763トンに達しました。しかし、2023年には146,059トンに減少し、変動の存在が確認されます。このデータはモロッコの農業政策や気候変動の影響、さらに国際市場の変化との関連性を考慮して、今後の分析が重要となることを示しています。
モロッコのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 146,059 |
-16.9% ↓
|
2022年 | 175,763 |
3.85% ↑
|
2021年 | 169,255 |
25.9% ↑
|
2020年 | 134,436 |
31.56% ↑
|
2019年 | 102,185 |
-12.86% ↓
|
2018年 | 117,270 |
0.3% ↑
|
2017年 | 116,923 |
3.77% ↑
|
2016年 | 112,681 |
15.31% ↑
|
2015年 | 97,723 |
-3.27% ↓
|
2014年 | 101,026 |
8.27% ↑
|
2013年 | 93,310 |
-5.81% ↓
|
2012年 | 99,067 |
2.95% ↑
|
2011年 | 96,231 |
10.48% ↑
|
2010年 | 87,104 |
-24.06% ↓
|
2009年 | 114,700 |
31.99% ↑
|
2008年 | 86,902 |
6.71% ↑
|
2007年 | 81,437 |
-1.88% ↓
|
2006年 | 83,000 |
17.52% ↑
|
2005年 | 70,629 |
17.32% ↑
|
2004年 | 60,200 |
-14.98% ↓
|
2003年 | 70,808 |
-14.07% ↓
|
2002年 | 82,400 |
0.71% ↑
|
2001年 | 81,820 |
25.79% ↑
|
2000年 | 65,044 |
-20% ↓
|
1999年 | 81,304 |
54.28% ↑
|
1998年 | 52,700 | - |
1997年 | 52,700 |
56.85% ↑
|
1996年 | 33,600 |
-26.48% ↓
|
1995年 | 45,700 |
48.86% ↑
|
1994年 | 30,700 |
-34.68% ↓
|
1993年 | 47,000 |
-14.55% ↓
|
1992年 | 55,000 |
-21.43% ↓
|
1991年 | 70,000 |
21.32% ↑
|
1990年 | 57,700 |
3.78% ↑
|
1989年 | 55,600 |
50.27% ↑
|
1988年 | 37,000 |
17.83% ↑
|
1987年 | 31,400 |
-10.92% ↓
|
1986年 | 35,250 |
15.57% ↑
|
1985年 | 30,500 |
-19.53% ↓
|
1984年 | 37,900 |
148.52% ↑
|
1983年 | 15,250 |
-73.25% ↓
|
1982年 | 57,000 |
-4.2% ↓
|
1981年 | 59,500 |
98.33% ↑
|
1980年 | 30,000 |
20% ↑
|
1979年 | 25,000 |
25% ↑
|
1978年 | 20,000 |
11.11% ↑
|
1977年 | 18,000 |
12.5% ↑
|
1976年 | 16,000 |
6.67% ↑
|
1975年 | 15,000 |
15.38% ↑
|
1974年 | 13,000 | - |
1973年 | 13,000 |
18.18% ↑
|
1972年 | 11,000 |
37.5% ↑
|
1971年 | 8,000 |
-15.79% ↓
|
1970年 | 9,500 | - |
1969年 | 9,500 |
-14.41% ↓
|
1968年 | 11,100 |
-30.63% ↓
|
1967年 | 16,000 |
6.67% ↑
|
1966年 | 15,000 |
15.38% ↑
|
1965年 | 13,000 |
-18.75% ↓
|
1964年 | 16,000 |
-15.79% ↓
|
1963年 | 19,000 |
11.76% ↑
|
1962年 | 17,000 |
112.5% ↑
|
1961年 | 8,000 | - |
モロッコのアーモンド生産量推移は、1961年から2023年までの間で劇的な変化を遂げてきました。初期の生産量は8,000トンと控えめでしたが、農業技術の向上や品種改良の進展、農業政策の導入などによって、長期的には増加傾向を描いてきました。それにもかかわらず、生産量は年ごとに大きく変動し、特に近年の気候条件や国際的な需要の変化が影響していると考えられます。
1970年代から1980年代後半にかけて、生産量は10,000~60,000トン前後で大きな波を描きました。この期間は、モロッコにおける農業基盤の整備が遅れ、また頻繁な干ばつによる影響が顕著であった時期と一致しています。この中でも、1981年の59,500トンという急増や、1983年の15,250トンという急激な減少が目立ちます。このような変動は、モロッコの農業が依然として天候パターンに大きく依存していることを反映しています。
1990年以降には生産量の安定した増加が徐々に見られるようになり、2020年代初頭には大幅な生産拡大が確認されています。2020年には134,436トン、2022年には175,763トンといった記録的な生産量を達成しました。この成長には、モロッコ政府の持続可能な農業政策の推進や、農地の拡大、灌漑技術の普及が貢献していると考えられます。特に、「モロッコグリーンプラン」という国家プロジェクトにおいて農業セクターの効率性向上が図られたことが重要な要因の一つとされています。また、品種改良によるより収量の高いアーモンドの導入も効果を上げています。
2023年には146,059トンと、前年度に比べて減少が見られました。この要因としては、気候変動による天候の不安定さ、水資源の枯渇、そして栽培地への害虫被害などが挙げられます。モロッコの農業は依然として雨水や地下水に大きく依存しており、水不足は農作物全般に広範囲に影響を与える問題として深刻化しています。このことは、未来に向けた課題として対策が求められる分野です。
モロッコのアーモンド生産量の変動は地政学的背景とも無関係ではありません。地中海沿岸諸国はアーモンドの国際市場で主要プレイヤーとなっていますが、気候変動の影響や地域間の競争激化がさらなる課題となり得ます。また、モロッコは主にヨーロッパ市場にアーモンドを輸出していますが、気候変動の影響で輸出価格に圧力がかかる可能性があります。その一方で、中国やインドといったアジアの需要増加は新たな機会をもたらしています。
今後、モロッコが直面する課題には、気候変動に対応する灌漑インフラの整備や、水資源管理の効率化、さらに害虫問題を予防するバイオコントロール技術の導入が挙げられます。また、国際市場での競争力を高めるため、輸出品の品質基準を向上させることや、サプライチェーンの効率化を進めることも重要です。同時に、地域農家への支援を拡充し、持続可能な栽培方法を推進すれば、農業セクター全体のレジリエンスを引き上げることができるでしょう。
結論として、モロッコのアーモンド生産量は着実な成長を遂げていますが、依存している自然環境および国際市場の変化には注意が必要です。国や国際機関は、持続可能な農業政策のさらなる拡充と、地域間協力を通じた知識共有を進めることで、モロッコのアーモンド産業が国際市場で安定した地位を築く助けとなるでしょう。