Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が公開した最新データによると、1961年から2023年にかけてのモロッコのヤギ肉生産量は、全体的に増加傾向を示しています。特に2010年代後半以降、年間30,000トンを超えるレベルに達しました。一方で、一部の年には干ばつやその他の要因による生産量の波が見られ、2023年には29,150トンとわずかな減少がみられました。これらのデータは、畜産業の重要性や農業生産を取り巻く課題を浮き彫りにしています。
モロッコのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 29,150 |
-3.64% ↓
|
2022年 | 30,250 |
-2.42% ↓
|
2021年 | 31,000 | - |
2020年 | 31,000 |
-3.48% ↓
|
2019年 | 32,118 |
0.5% ↑
|
2018年 | 31,959 |
-0.08% ↓
|
2017年 | 31,986 |
7.27% ↑
|
2016年 | 29,817 |
4.85% ↑
|
2015年 | 28,437 |
7.23% ↑
|
2014年 | 26,520 |
2% ↑
|
2013年 | 26,000 |
7.1% ↑
|
2012年 | 24,276 |
2.9% ↑
|
2011年 | 23,591 |
2.57% ↑
|
2010年 | 23,000 |
6.14% ↑
|
2009年 | 21,670 |
-1.5% ↓
|
2008年 | 22,000 | - |
2007年 | 22,000 |
-2.22% ↓
|
2006年 | 22,500 |
2.27% ↑
|
2005年 | 22,000 |
-4.35% ↓
|
2004年 | 23,000 |
4.55% ↑
|
2003年 | 22,000 | - |
2002年 | 22,000 |
7.32% ↑
|
2001年 | 20,500 |
-6.82% ↓
|
2000年 | 22,000 |
10% ↑
|
1999年 | 20,000 |
-9.09% ↓
|
1998年 | 22,000 | - |
1997年 | 22,000 | - |
1996年 | 22,000 |
10% ↑
|
1995年 | 20,000 | - |
1994年 | 20,000 | - |
1993年 | 20,000 |
2.56% ↑
|
1992年 | 19,500 |
-6.25% ↓
|
1991年 | 20,800 |
-3.26% ↓
|
1990年 | 21,500 |
-8.12% ↓
|
1989年 | 23,400 |
17% ↑
|
1988年 | 20,000 | - |
1987年 | 20,000 |
25% ↑
|
1986年 | 16,000 |
32.23% ↑
|
1985年 | 12,100 |
9.4% ↑
|
1984年 | 11,060 |
-2.04% ↓
|
1983年 | 11,290 |
-13.15% ↓
|
1982年 | 13,000 |
-13.33% ↓
|
1981年 | 15,000 |
-21.05% ↓
|
1980年 | 19,000 | - |
1979年 | 19,000 |
5.56% ↑
|
1978年 | 18,000 |
27.21% ↑
|
1977年 | 14,150 |
9.1% ↑
|
1976年 | 12,970 |
-43.61% ↓
|
1975年 | 23,000 |
-8% ↓
|
1974年 | 25,000 |
-3.85% ↓
|
1973年 | 26,000 | - |
1972年 | 26,000 |
4% ↑
|
1971年 | 25,000 |
2.04% ↑
|
1970年 | 24,500 |
2.08% ↑
|
1969年 | 24,000 | - |
1968年 | 24,000 |
9.09% ↑
|
1967年 | 22,000 |
10% ↑
|
1966年 | 20,000 |
5.26% ↑
|
1965年 | 19,000 |
5.56% ↑
|
1964年 | 18,000 | - |
1963年 | 18,000 |
0.56% ↑
|
1962年 | 17,900 |
-10.5% ↓
|
1961年 | 20,000 | - |
モロッコのヤギ肉生産量は、1961年の20,000トンを基点に、2023年で29,150トンに至るまで約1.5倍に増加しました。この伸長は、農村地帯の家畜業の発展や農業政策の改善による成果と考えられます。しかし、全期間を通じて安定的な増加ではなく、特に1970年代後半から1980年代にかけて大幅な生産量低下が記録されています。この期間には、1976年の12,970トンを底に、1984年の11,060トンまで至る急激な下降傾向が確認されます。これはモロッコが干ばつや農業インフラの未発展に直面した時期であり、地域経済や食糧事情に深刻な影響を与えたものと推測されます。
1980年代後半以降は20,000トン前後での安定が見られるようになり、2010年代にかけて持続的な増加傾向に転じました。特に2010年代後半、2015年から2017年の間には、28,437トン(2015年)から31,986トン(2017年)へと急激に上昇しました。これは、農業政策の近代化、灌漑設備の導入、そして気候条件の改善の影響が大きいと考えられます。
しかしながら、2020年代に入ると再び生産量が横ばいまたは減少傾向を示しています。2020年以降、30,000トン前後で推移し、2023年には29,150トンとなりました。この減少には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが農村労働力や物流に影響を及ぼした可能性や、近年の気候変動の影響が挙げられます。他にも、農業資源の不足や生産効率の向上を阻む要因が存在している可能性があります。
これらのデータから、モロッコのヤギ肉生産は全体的に拡大傾向であるものの、気候変動、疫病、農業インフラなどの要因による変動に直面していることが明らかです。特に近年の減少が示すのは、持続可能な畜産運営の重要性です。他国と比較すると、日本のようにヤギ肉に特化した需要は高くないものの、中国やインドなどの巨大市場が畜産物の供給不足に対する継続的な需要を抱えています。モロッコはこれらの国々と連携を強化し、輸出市場を開拓する可能性があります。
未来への提言としては、まず気候変動に対応した農業技術や畜産業への投資を進めるべきです。たとえば、耐旱性の高い牧草の研究や、水資源を効率的に使用する灌漑技術の開発が重要です。また、教育面でも農村部の人々に持続可能な畜産技術を普及し、生産効率を高める取り組みが必要です。さらに、輸出市場向けの品質基準の改善や物流インフラ整備も、長期的に収益性を向上させる鍵となります。
結論として、モロッコのヤギ肉生産は過去数十年間で確実に進歩を遂げてきたものの、最近の減少傾向は警鐘を鳴らしているといえます。国際協力や最新技術を活用することで、生産の安定化や市場拡大を目指すべきです。これにより、モロッコの農業セクター全体が国内外でさらに重要な役割を果たす可能性が広がります。