国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによれば、1981年の世界の小麦生産量ランキングでは、アメリカ合衆国が75,806,304トンで世界第1位となりました。次いで中国が59,640,000トン、インドが36,312,608トンと続き、これら3か国が世界の小麦生産市場を主導しています。世界全体でみると、上位10か国で全体の小麦生産量の約70%を占めており、その多くがアメリカ、ヨーロッパ、アジアの主要農業国によるものです。一方、36位にランクインした日本の生産量は587,400トンと比較的小規模であり、自給率の低さが際立っています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
北アメリカ | 75,806,304 |
| 2 |
|
アジア | 59,640,000 |
| 3 |
|
アジア | 36,312,608 |
| 4 |
|
北アメリカ | 24,802,000 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 23,762,000 |
| 6 |
|
アジア | 17,050,000 |
| 7 |
|
オセアニア | 16,360,000 |
| 8 |
|
アジア | 11,474,600 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 11,254,906 |
| 10 |
|
ヨーロッパ | 8,830,300 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 8,710,000 |
| 12 |
|
南アメリカ | 8,369,600 |
| 13 |
|
アジア | 5,652,852 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 5,281,000 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 4,613,863 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 4,442,757 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 4,203,256 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 3,408,500 |
| 19 |
|
南アメリカ | 3,193,234 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 2,932,000 |
| 21 |
|
アジア | 2,470,000 |
| 22 |
|
アフリカ | 2,356,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 2,209,631 |
| 24 |
|
アジア | 2,086,953 |
| 25 |
|
アフリカ | 1,938,327 |
| 26 |
|
アフリカ | 1,218,380 |
| 27 |
|
アジア | 1,092,513 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 1,066,310 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 1,025,011 |
| 30 |
|
アフリカ | 963,000 |
| 31 |
|
アジア | 902,000 |
| 32 |
|
アフリカ | 892,000 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 882,055 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 834,765 |
| 35 |
|
南アメリカ | 685,970 |
| 36 |
|
アジア | 587,400 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 488,700 |
| 38 |
|
アジア | 477,190 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 408,600 |
| 40 |
|
南アメリカ | 387,768 |
| 41 |
|
オセアニア | 325,723 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 318,631 |
| 43 |
|
アジア | 295,500 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 286,000 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 235,000 |
| 46 |
|
アジア | 215,000 |
| 47 |
|
アフリカ | 214,400 |
| 48 |
|
アジア | 187,231 |
| 49 |
|
アフリカ | 183,516 |
| 50 |
|
アフリカ | 123,110 |
| 51 |
|
アジア | 116,763 |
| 52 |
|
南アメリカ | 116,678 |
| 53 |
|
アジア | 114,000 |
| 54 |
|
南アメリカ | 98,895 |
| 55 |
|
アフリカ | 95,000 |
| 56 |
|
アジア | 84,581 |
| 57 |
|
南アメリカ | 66,620 |
| 58 |
|
南アメリカ | 62,300 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 57,700 |
| 60 |
|
アジア | 57,128 |
| 61 |
|
南アメリカ | 55,300 |
| 62 |
|
アジア | 50,613 |
| 63 |
|
南アメリカ | 41,431 |
| 64 |
|
アフリカ | 26,000 |
| 65 |
|
アジア | 22,000 |
| 66 |
|
アフリカ | 16,993 |
| 67 |
|
アフリカ | 11,835 |
| 68 |
|
アジア | 10,668 |
| 69 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 70 |
|
アジア | 9,300 |
| 71 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 72 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 73 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 74 |
|
アフリカ | 5,600 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 4,845 |
| 76 |
|
アフリカ | 3,100 |
| 77 |
|
アジア | 2,710 |
| 78 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 79 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 80 |
|
アフリカ | 1,700 |
| 81 |
|
アフリカ | 1,518 |
| 82 |
|
アフリカ | 1,300 |
| 83 |
|
アフリカ | 1,042 |
| 84 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 85 |
|
アジア | 757 |
| 86 |
|
南アメリカ | 700 |
| 87 |
|
アフリカ | 688 |
| 88 |
|
南アメリカ | 420 |
| 89 |
|
アジア | 359 |
| 90 |
|
アフリカ | 300 |
| 91 |
|
アフリカ | 300 |
| 92 |
|
オセアニア | 260 |
| 93 |
|
アジア | 130 |
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1981年における小麦生産量データには、各国の農業生産能力や地政学的・気候的条件が反映されています。この年、小麦生産量でトップとなったアメリカ合衆国は、肥沃な土地、大規模な農業機器の導入、高効率な農業インフラの整備により圧倒的な生産量を記録しました。第二位の中国は、当時の人口増加と国内需要の増加に応えるため、農業技術の改善や生産効率の向上に取り組んでいました。また第三位のインドも「緑の革命」と呼ばれる農業改革を実施しており、小麦生産量は安定して増加していることが注目されます。
一方、ヨーロッパ諸国に目を向けると、フランス、ドイツ、イギリスなどの国々は安定した小麦生産を維持していました。フランスの23,762,000トンという生産量は、同地域内での気候条件の良さや農業技術の高さを反映しています。ただし、欧州諸国では、農地の限界や都市化の進展により、長期的な生産の維持が課題として浮上する可能性があります。
アジア地域においては、上位にランクインした国が多いものの、国ごとで生産量に大きな差が見られます。中国やインドのような大規模産出国と比較すると、日本や韓国など、一部の国では農地面積の狭さや都市化の進行により生産力が限定されています。日本の587,400トンという数値は、自国の消費量に対する自給率の低さを示しており、輸入への依存が続く現状が浮き彫りになります。
また、中東やアフリカの国々では気候条件が厳しいため、小麦の生産量には限界があります。例えば、イラクの902,000トンやエジプトの1,938,327トンといった数値は、それぞれの地域の持つ肥沃なナイル川流域や灌漑技術の適用によるものですが、農地の広がりや降雨量の制限が課題となっています。このような地域では、穀物の輸入依存度が高い傾向にあります。
小麦は世界中で主要な食料作物であると同時に、特定国の輸出品として重要な経済資源でもあります。その需給バランスや生産量の変動はしばしば地政学的な緊張や取引価格の変動を引き起こします。特に、産出量上位のアメリカやカナダ、オーストラリアといった先進国は小麦を国際貿易における戦略的ツールとして利用する余地があり、これが輸入国にとっては経済上のリスクとなる可能性があります。たとえば、地域衝突や貿易制限が生じた場合、これら輸入国の食料安全保障に深刻な影響を与えることが懸念されます。
未来に向けて、各国は自国の小麦供給を安定化させるため、さまざまな課題と向き合う必要があります。気候変動を考慮した作物の品種改良や、灌漑技術の導入・拡大がその一例です。また、都市化が進む中で、効率的な農業用地利用やスマート農業技術を取り入れることも重要となります。特に、日本や韓国のような小規模農業国においては、輸入に頼らない安定供給への取り組みが必要であり、地域協力を活用した分業体制の確立や輸入依存を軽減する政策の発展が求められます。
結論として、1981年の小麦生産量ランキングからは、国ごとの生産力における差異や、各国が抱える課題が明らかになりました。国際社会はこれをふまえ、持続可能な農業技術の普及や、食料供給の安定化を進める枠組みを構築していく必要があります。特に気候変動の影響を見据えた早期対策は、世界中の食料安全保障に大きな役割を果たすと考えられます。