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モロッコのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、モロッコのレモン・ライム生産量は、1961年の11,000トンから徐々に増加や減少を繰り返しつつ、2022年には過去最高の48,957トンに達しました。しかし、2023年には38,198トンと前年から減少しました。生産量の推移には、気象条件や農業政策、需要動向など、多様な要因が影響を与えていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 38,198
-21.98% ↓
2022年 48,957
18.84% ↑
2021年 41,197
19.07% ↑
2020年 34,600
-22.97% ↓
2019年 44,919
13.18% ↑
2018年 39,687
-1.07% ↓
2017年 40,114
10.48% ↑
2016年 36,309
22.69% ↑
2015年 29,593
11.88% ↑
2014年 26,451
-6.01% ↓
2013年 28,142
3.17% ↑
2012年 27,278
13.66% ↑
2011年 24,000
6.68% ↑
2010年 22,498
-6.26% ↓
2009年 24,000
6.19% ↑
2008年 22,600
2.73% ↑
2007年 22,000
-0.45% ↓
2006年 22,100
5.24% ↑
2005年 21,000
135.96% ↑
2004年 8,900
-27.64% ↓
2003年 12,300
7.89% ↑
2002年 11,400
90% ↑
2001年 6,000
-57.14% ↓
2000年 14,000
55.56% ↑
1999年 9,000
-57.14% ↓
1998年 21,000
23.53% ↑
1997年 17,000
-15% ↓
1996年 20,000
66.67% ↑
1995年 12,000
-40% ↓
1994年 20,000 -
1993年 20,000
33.33% ↑
1992年 15,000
-25% ↓
1991年 20,000
33.33% ↑
1990年 15,000
-16.67% ↓
1989年 18,000
-10% ↓
1988年 20,000
-33.33% ↓
1987年 30,000
7.14% ↑
1986年 28,000
-6.67% ↓
1985年 30,000 -
1984年 30,000
11.11% ↑
1983年 27,000 -
1982年 27,000
80% ↑
1981年 15,000
25% ↑
1980年 12,000
-20% ↓
1979年 15,000
50% ↑
1978年 10,000
100% ↑
1977年 5,000
66.67% ↑
1976年 3,000
-70% ↓
1975年 10,000 -
1974年 10,000
122.22% ↑
1973年 4,500
12.5% ↑
1972年 4,000
21.21% ↑
1971年 3,300
-17.5% ↓
1970年 4,000
33.33% ↑
1969年 3,000
-25% ↓
1968年 4,000
-33.33% ↓
1967年 6,000
-33.33% ↓
1966年 9,000
12.5% ↑
1965年 8,000
-11.11% ↓
1964年 9,000
12.5% ↑
1963年 8,000
14.29% ↑
1962年 7,000
-36.36% ↓
1961年 11,000 -

モロッコのレモン・ライム生産は、農業セクターと地域経済において重要な役割を果たしています。このデータが示している過去62年の生産量の変遷を見ると、1960年代の低迷した生産から、1980年代にかけての顕著な増加、その後の波形的な変動を経て、近年では一貫して増加傾向を示していることが分かります。特に2022年には48,957トンと記録的な生産量を達成しましたが、その後2023年には38,198トンに減少しました。

初期の1960年代を見ると、生産量は平均して約7,000トンから11,000トンと低いレベルにとどまっており、この時期に代表的な要因としては、農業技術の不足や厳しい気象条件が考えられます。また、適切な灌漑設備の未整備も大きな課題といえたでしょう。その後、1970年代後半から1980年代初頭にかけてレモン・ライム生産が急増し、1982年には27,000トンの生産が見られます。この成長は、国内外の需要増加、ならびに農業における技術革新や輸出市場の拡大戦略の恩恵と解釈できます。

1980年代後半から1990年代初頭にかけては、生産量の変動が顕著で、気候や農業政策の影響が色濃く反映されたものと考えられます。特に1999年の9,000トンという低水準は、干ばつや不安定な市場の影響を意味しているかもしれません。その後2000年代には、農業技術の進歩とともに生産量は安定を取り戻しました。特に2009年から2022年にかけては急速な増加傾向が続き、モロッコの農業分野における政府支援や、農業部門向けの灌漑プロジェクトが寄与したと考えられます。

近年の生産拡大は、世界的なレモン需要の高まりによっても支えられており、特にヨーロッパへの輸出市場がモロッコの生産者にとって重要な成長機会を提供しています。しかし、2023年には生産量が減少し、この原因としては気候変動に伴う降水量不足や異常気象が大きな要因となった可能性が示唆されます。また、新型コロナウイルス感染症が引き起こした労働力不足やサプライチェーンの乱れも、いまだ完全には解消されていないことが影響している可能性があります。

地域的な課題としては、気象条件の厳しさが挙げられます。モロッコは干ばつのリスクが高く、将来の生産安定性を確保するためには、より高効率な灌漑技術の導入と水資源管理の強化が不可欠となります。また、生産量の増減による価格変動に対応するため、輸出相手国の多様化や、国内需要を拡大するためのマーケティング戦略も重要です。

さらに地政学的リスクとして、モロッコの隣国との関係や国際市場での競争が、輸出・輸入の流れや市場価格に影響を与える可能性があります。こうしたリスクに対処するためには、地域間協力の強化や政府間協定の調整など、広域的な視野でのアプローチが求められます。

結論として、モロッコはレモン・ライム生産において世界的な競争力を持つポテンシャルを有していますが、この成長を持続可能にするためには、気候変動への対策や農業技術のさらなる革新が必要です。また、国際輸出市場の多様化と、灌漑設備の近代化、サプライチェーンの安定化を図ることが重要です。これにより、モロッコの農業経済におけるレモン・ライム産業の地位をさらに強固なものとすることが期待されます。国際機関や政府には、技術支援や投資促進策をより一層進めることが求められます。