国際連合食糧農業機関(FAO)が提示したデータによると、グアテマラにおけるヤギ肉の生産量は1961年の399トンから2023年の182トンまで大きく減少しています。特に1990年以降、急激な低下が見られ、その後も2000年代から減少傾向が続いています。この長期的な減少は農業政策や経済的要因、気候の変化、さらには地政学的リスクが影響していると考えられます。
グアテマラのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 182 |
-5.03% ↓
|
2022年 | 192 |
-2.26% ↓
|
2021年 | 197 |
-2.2% ↓
|
2020年 | 201 |
-2.06% ↓
|
2019年 | 205 |
-1.8% ↓
|
2018年 | 209 |
-11.5% ↓
|
2017年 | 236 |
-4.07% ↓
|
2016年 | 246 |
2.5% ↑
|
2015年 | 240 |
2.58% ↑
|
2014年 | 234 |
0.94% ↑
|
2013年 | 232 |
2.34% ↑
|
2012年 | 227 |
-0.46% ↓
|
2011年 | 228 |
1.65% ↑
|
2010年 | 224 |
-0.11% ↓
|
2009年 | 224 |
-1.04% ↓
|
2008年 | 227 |
0.19% ↑
|
2007年 | 226 |
-0.26% ↓
|
2006年 | 227 |
-0.97% ↓
|
2005年 | 229 |
0.23% ↑
|
2004年 | 228 |
-0.21% ↓
|
2003年 | 229 |
-0.92% ↓
|
2002年 | 231 |
-0.85% ↓
|
2001年 | 233 |
-0.03% ↓
|
2000年 | 233 |
0.42% ↑
|
1999年 | 232 |
0.33% ↑
|
1998年 | 231 |
0.42% ↑
|
1997年 | 230 |
1.04% ↑
|
1996年 | 228 |
5.22% ↑
|
1995年 | 217 |
-1.11% ↓
|
1994年 | 219 |
-0.81% ↓
|
1993年 | 221 |
0.05% ↑
|
1992年 | 221 |
-0.72% ↓
|
1991年 | 222 |
-50.58% ↓
|
1990年 | 450 |
1.35% ↑
|
1989年 | 444 | - |
1988年 | 444 |
0.68% ↑
|
1987年 | 441 |
0.68% ↑
|
1986年 | 438 |
0.69% ↑
|
1985年 | 435 |
0.69% ↑
|
1984年 | 432 |
0.7% ↑
|
1983年 | 429 |
0.7% ↑
|
1982年 | 426 |
-0.35% ↓
|
1981年 | 428 |
1.79% ↑
|
1980年 | 420 |
1.82% ↑
|
1979年 | 413 |
1.85% ↑
|
1978年 | 405 | - |
1977年 | 405 |
3.85% ↑
|
1976年 | 390 | - |
1975年 | 390 | - |
1974年 | 390 |
4% ↑
|
1973年 | 375 | - |
1972年 | 375 |
1.63% ↑
|
1971年 | 369 |
24.24% ↑
|
1970年 | 297 |
2.06% ↑
|
1969年 | 291 |
-4.9% ↓
|
1968年 | 306 |
-6.85% ↓
|
1967年 | 329 |
-5.19% ↓
|
1966年 | 347 |
-3.75% ↓
|
1965年 | 360 |
-5.88% ↓
|
1964年 | 383 |
-4.85% ↓
|
1963年 | 402 |
3.88% ↑
|
1962年 | 387 |
-3.01% ↓
|
1961年 | 399 | - |
ヤギ肉の生産量は、グアテマラ国内での畜産業における重要な指標であり、農村経済や家畜資源の活用状況を反映しています。1961年から1970年代初頭にかけて減少がみられましたが、1970年代後半から1980年代初頭には増加に転じ、最も高い値となる450トンを1990年に記録しました。しかし、1990年以降には大幅かつ急激な減少が発生しており、2023年には182トンと過去最低の値に達しています。この長期的な推移を見ると、グアテマラ固有の生産環境に大きな変化があったことが窺えます。
急激な低下を示した1990年代初頭については、いくつかの要因が推察されます。この時期には、内戦の影響がまだ色濃く残っており、農村部の治安悪化や農業インフラの欠如がヤギ飼育に悪影響を与えたと考えられます。また、経済的には輸出志向型の農業政策が進み、国内の自給飼育よりもコーヒーやバナナなどの収益性の高い作物への偏重が進んでいた可能性があります。
その後、2000年代以降も回復の兆しを見せることなく、2023年まで継続的な減少が確認されています。この背景には、気候変動の影響や土地利用の変化も大きな要因として挙げられます。特にグアテマラは洪水や干ばつといった気候リスクを受けやすい国で、家畜の飼育環境が乱されたことが考えられます。また、急速な都市化に伴い、農村部の人口減少や労働力不足も飼育の減少要因といえます。
新型コロナウイルスの影響も無視できません。パンデミックの発生は、2020年以降の生産低下を加速させる要因となり、移動制限や市場取引の減少がヤギ肉の供給体系に打撃を与えました。同時に、家畜病の流行や飼料価格の上昇も、小規模農家にさらなる負担を与えた可能性があります。
このような状況を踏まえると、今後の政策として以下のような具体的な方策が必要になると考えられます。まず、農村振興策の一環として、ヤギ飼育を独立した収入源として維持可能な仕組みを構築する必要があります。たとえば、小規模農家への技術支援や、気候に適応したヤギ品種の導入が効果的でしょう。また、地域間協力を通じて市場を拡大し、国内での需要確保に努めることも肝要です。さらに、気候変動への対応策として、災害リスクマネジメントの強化も求められます。
国際的には、グアテマラのような発展途上国に対する技術移転支援を強化することで、ヤギ肉生産の安定化を図ることができます。また、先進国が中心となりグローバルな支援枠組みを構築し、農業関連プロジェクトへの資金援助を推進することが重要です。
結論として、ヤギ肉の生産量推移は、グアテマラの農業振興と地域社会の活力に密接に関係しています。対策を講じないままでは、さらに減少が続き地域の食料安全保障が危機に陥る恐れがあります。政府や国際機関は速やかに、気候変動対策や農村開発支援を含む包括的な対策を講じるべきです。