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グアテマラのイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが発表した最新データ(2024年7月更新)によると、グアテマラのイチゴ生産量は1985年から2022年までに大きな変動を見せつつ、長期的には増加傾向を示しています。1985年には400トンという小規模な生産量から始まり、2022年には13,977トンに到達しました。ただし、2000年代前半には一時的な大幅減少が見られ、その後は安定した増加を遂げています。特に2010年代以降の年間生産量は13,000トンを超える安定した水準に達しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 14,273
2.12% ↑
2022年 13,977
0.39% ↑
2021年 13,923
0.19% ↑
2020年 13,897
-1.53% ↓
2019年 14,113
2.57% ↑
2018年 13,759
-0.44% ↓
2017年 13,819
-6.37% ↓
2016年 14,760
7.36% ↑
2015年 13,748
6.16% ↑
2014年 12,950
1.24% ↑
2013年 12,791
1.08% ↑
2012年 12,655
6.49% ↑
2011年 11,884
5.65% ↑
2010年 11,249
-1.2% ↓
2009年 11,385
6.81% ↑
2008年 10,659
3.07% ↑
2007年 10,342
-1.3% ↓
2006年 10,478
1.76% ↑
2005年 10,297
345.1% ↑
2004年 2,313
59.37% ↑
2003年 1,452
-52.94% ↓
2002年 3,084
36% ↑
2001年 2,268
-65.52% ↓
2000年 6,577
-2.36% ↓
1999年 6,736
6.5% ↑
1998年 6,325
5.77% ↑
1997年 5,980
4% ↑
1996年 5,750
8.7% ↑
1995年 5,290
15% ↑
1994年 4,600
34.23% ↑
1993年 3,427
-1.97% ↓
1992年 3,496
1.33% ↑
1991年 3,450
7.14% ↑
1990年 3,220
0.63% ↑
1989年 3,200
60% ↑
1988年 2,000
11.11% ↑
1987年 1,800
80% ↑
1986年 1,000
150% ↑
1985年 400 -

グアテマラにおけるイチゴ生産の推移を見ていくと、1985年から1999年までの15年間は生産量が継続的に増加しており、とりわけ1985年から1989年の間は急成長が見られました。この間の生産量は400トンから3,200トンへ増加しており、農業技術の向上や国内外の需要拡大が影響していた可能性があります。その後も増加基調は続き、1999年には6,736トンに達しました。しかし、2000年代初頭においては大きな生産量の変動があり、2001年には2,268トンまで減少、2003年には1,452トンと、過去最も低い水準にまで落ち込みました。この減少の背景には、天候不順などの自然環境要因、主要輸出相手国の経済状況、あるいは地政学的リスクなどがあると考えられます。

2005年からは大きな回復が見られ、生産量は10,000トンを超えるまで増加しました。この急回復は、新しい農法の導入、輸出市場の再開発、あるいは政府や国際機関による農業振興策が影響した可能性があります。それ以降のデータを見ると、おおむね生産量は年間約11,000~14,000トンの範囲内で安定して推移しており、特に2015年以降、年間13,000トン以上を継続しています。この安定化は、輸出市場の多様化や農業インフラ整備の進展によるものと推測されます。

一方で、この増加傾向にもかかわらず、いくつかの課題が残されています。第一に、2000年代初頭に見られた大幅な生産量減少が再発しないよう、自然災害や病害虫への対策を強化する必要があります。特にグアテマラでは、気候変動の影響で極端な気象イベント(例:干ばつや豪雨)が発生しやすい地域であるため、これに対応するための気候適応型農業の導入が重要です。第二に、イチゴの輸出市場の一層の拡充が求められます。現在、主にアメリカをはじめとした近隣諸国に輸出が行われていますが、アジアやヨーロッパ市場への進出を図ることで、更なる市場拡大が期待されます。これには、品質を保証する農業認証(例えばGLOBALG.A.P.)の取得が有効でしょう。

また、グアテマラ国内の他の農産品との競争も課題として挙げられます。イチゴの生産には比較的高い初期投資や維持管理が必要なため、コーヒーやバナナといった他の輸出向け農産品に比べて優位性を保つことが難しい場合があります。したがって、これを克服するために政府支援を通じたサプライチェーン整備や、生産者への技術サポートが鍵となるでしょう。

2022年までのデータを見る限り、イチゴの生産量は安定して推移していますが、特定のリスク要因による急激な変動可能性を回避するための備えが重要です。将来的には、地域の農業従事者を支える教育の充実、新たな輸出市場の開拓、さらには現地での付加価値創造の促進が具体的な対策として挙げられます。例えば、冷凍イチゴや加工イチゴといった加工品を増やすことで、国内経済への恩恵をより高めることができるでしょう。

気候変動、国際市場の変化、社会経済的な背景を考慮すると、グアテマラのイチゴ生産は今後も継続的な成長の可能性を秘めていますが、それを実現するには国内外の協力体制や適切な政策支援が欠かせません。持続可能かつ効率的な農業産業の発展を目指して、各関係機関と生産者が協力していくことが重要です。