国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、グアテマラの桃(モモ)・ネクタリン生産量は1993年以降、30年間で紆余曲折のある推移を見せています。1990年代後半から2000年代前半にかけて一貫して減少していた生産量は、2000年を下回った時点から一時的に回復を見せ、その後も年々増減を繰り返しています。最新データである2023年時点では48,905トンと比較的堅調な生産量を記録しています。しかし、この数値でも未解決の課題が残っていることが浮き彫りになっています。
グアテマラの桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 48,905 |
2.06% ↑
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2022年 | 47,919 |
1.23% ↑
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2021年 | 47,335 |
1.25% ↑
|
2020年 | 46,752 |
-1.93% ↓
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2019年 | 47,673 |
-1.91% ↓
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2018年 | 48,600 |
6.32% ↑
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2017年 | 45,709 |
-6.16% ↓
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2016年 | 48,711 |
-5.19% ↓
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2015年 | 51,378 |
18% ↑
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2014年 | 43,540 |
35.05% ↑
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2013年 | 32,241 |
1.43% ↑
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2012年 | 31,788 |
1.62% ↑
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2011年 | 31,280 |
2.62% ↑
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2010年 | 30,482 |
-12.73% ↓
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2009年 | 34,927 | - |
2008年 | 34,927 | - |
2007年 | 34,927 |
0.38% ↑
|
2006年 | 34,795 |
1.32% ↑
|
2005年 | 34,341 | - |
2004年 | 34,341 |
-9.09% ↓
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2003年 | 37,775 |
32% ↑
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2002年 | 28,617 |
31.06% ↑
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2001年 | 21,836 |
-16.81% ↓
|
2000年 | 26,247 |
-1.01% ↓
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1999年 | 26,515 |
-1.31% ↓
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1998年 | 26,867 |
-3.72% ↓
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1997年 | 27,907 |
-1.92% ↓
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1996年 | 28,452 |
-1.95% ↓
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1995年 | 29,018 |
-1.96% ↓
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1994年 | 29,598 |
-7.51% ↓
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1993年 | 32,000 | - |
グアテマラの桃(モモ)・ネクタリン生産量の推移を見ると、多くの外的要因がその変動に影響を与えてきたと言えます。1993年の32,000トンという生産量から1999年の26,515トンへの減少は、長期的な不安定性を示しており、1990年代の地政学的背景や気候条件が影響を及ぼした可能性が挙げられます。特に1990年代半ばには、国内の農産品市場における競争力低下や農業インフラの不足が問題視されていました。一方で、2003年には37,775トンと回復傾向が見られ、その背景には農業技術の向上や農材供給体制の充実が寄与していると考えられます。
その後、2004年から2010年にかけて34,000トン台を安定的に維持しますが、2010年には30,482トンまで減少しました。この時期の減少については、気候変動の影響や病害虫の発生が原因として指摘されています。例えば、高温多湿の環境により桃やネクタリンの栽培に悪影響を及ぼす疫病が広がり、生産効率を低下させたと分析されています。
2014年以降は目覚ましい回復を見せており、2015年には51,378トンという過去最高の生産量を達成しました。この増加は、グアテマラ国内外向けの農産品輸出市場が拡大したことや、地域農業政策の充実が背景にあります。しかし、2016年以降は再び若干の低下を記録しています。2023年時点での48,905トンは堅調な水準であるものの、生産量の増減が安定していない点は今後の課題と言えるでしょう。
また、桃やネクタリンの生産に必要な水資源の確保も重要な課題として挙げられています。この地域では干ばつや洪水などの極端な気候イベントが頻発しており、農業用水の供給が今後ますます重要になると考えられます。さらに、グローバルな気候変動がこれらの傾向を悪化させる可能性もあります。そのため、雨水貯留システムや灌漑技術の導入が急務です。
地政学的背景も無視できない要素です。農業生産が不安定になることにより、農村部の雇用が減少し、都市部への移住が加速することで社会的不安定性や食糧安全保障への影響が懸念されています。また、グアテマラは米国やヨーロッパ市場への農産品輸出に大きく依存しており、そのための物流インフラの充実も課題の一つです。
今後取り組むべき具体的な対策としては、まず気候変動に強い品種の開発や導入が挙げられます。これにより農業生産が激しい気候の変化に適応でき、生産量が持続的に増加することが期待されます。また、灌漑システムの効率化や農家への技術支援を推進することで、生産性向上にもつながるでしょう。さらに、地域間連携を強化して、農業資源の共有や輸出先市場の多様化を図ることも重要です。国際的なパートナーシップや援助を活用して、気候変動への適応能力を高めることも大きな助けとなるでしょう。
結論として、グアテマラの桃(モモ)・ネクタリンの生産は過去30年間で多くの変動を見せてきました。その要因には気候変動や市場環境、地政学的リスクが深く関わっていますが、政策や技術的対策により将来的な安定化が可能です。このような努力は、国際連携を通じてさらに強化するべきであり、グアテマラ国内農業の持続的な発展に繋がると期待されます。