FAO(国際連合食糧農業機関)が2024年に更新したデータによると、グアテマラの大麦生産量は、1961年の50トンから1999年には1,633トンに大幅に増加しましたが、2001年以降急激に減少し、2008年以降わずか2桁の生産量にとどまっています。2023年も18トンにとどまっており、生産量はかつてのピークから著しく低下しています。
グアテマラの大麦生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 18 | - |
2022年 | 18 | - |
2021年 | 18 | - |
2020年 | 18 | - |
2019年 | 18 | - |
2018年 | 18 | - |
2017年 | 18 | - |
2016年 | 18 | - |
2015年 | 18 | - |
2014年 | 18 |
32.02% ↑
|
2013年 | 14 |
1.63% ↑
|
2012年 | 14 |
2.81% ↑
|
2011年 | 13 |
5.03% ↑
|
2010年 | 13 |
-8.01% ↓
|
2009年 | 14 |
-39.99% ↓
|
2008年 | 23 |
-54.55% ↓
|
2007年 | 50 |
22.24% ↑
|
2006年 | 41 | - |
2005年 | 41 |
-35.72% ↓
|
2004年 | 64 |
74.98% ↑
|
2003年 | 36 | - |
2002年 | 36 |
-33.33% ↓
|
2001年 | 54 |
-96.25% ↓
|
2000年 | 1,451 |
-11.15% ↓
|
1999年 | 1,633 |
16.49% ↑
|
1998年 | 1,402 |
24.68% ↑
|
1997年 | 1,124 |
24.49% ↑
|
1996年 | 903 |
6.26% ↑
|
1995年 | 850 |
-1.16% ↓
|
1994年 | 860 |
13.91% ↑
|
1993年 | 755 |
19.84% ↑
|
1992年 | 630 |
3.79% ↑
|
1991年 | 607 |
-2.25% ↓
|
1990年 | 621 |
16.29% ↑
|
1989年 | 534 |
-0.74% ↓
|
1988年 | 538 |
-9.27% ↓
|
1987年 | 593 |
-8.77% ↓
|
1986年 | 650 |
-5.8% ↓
|
1985年 | 690 |
6.15% ↑
|
1984年 | 650 |
68.39% ↑
|
1983年 | 386 |
-3.5% ↓
|
1982年 | 400 |
-11.11% ↓
|
1981年 | 450 |
-16.36% ↓
|
1980年 | 538 |
12.55% ↑
|
1979年 | 478 | - |
1978年 | 478 |
79.03% ↑
|
1977年 | 267 |
-17.08% ↓
|
1976年 | 322 |
0.94% ↑
|
1975年 | 319 |
4.93% ↑
|
1974年 | 304 |
35.11% ↑
|
1973年 | 225 |
12.5% ↑
|
1972年 | 200 |
11.73% ↑
|
1971年 | 179 |
11.18% ↑
|
1970年 | 161 |
9.52% ↑
|
1969年 | 147 |
10.53% ↑
|
1968年 | 133 |
38.54% ↑
|
1967年 | 96 |
-4% ↓
|
1966年 | 100 |
11.11% ↑
|
1965年 | 90 |
12.5% ↑
|
1964年 | 80 |
14.29% ↑
|
1963年 | 70 |
16.67% ↑
|
1962年 | 60 |
20% ↑
|
1961年 | 50 | - |
グアテマラの大麦生産の推移を見ると、1960年代から1990年代後半までは一貫して増加傾向にありました。特に1990年代には、生産効率や栽培面積の増加が寄与して、1999年には1,633トンもの高い生産量を記録しました。この増加は、農業技術の改善や栽培条件の最適化に関する努力が実を結んだ結果と推測されます。しかし、2001年以降、大麦生産量は劇的に減少し、近年は18トン程度を維持するだけの状態が続いています。
2001年の急激な減少は、自然災害や国内の経済的混乱、大麦市場の縮小など複合的な要因によるものと考えられます。加えて、地政学的には他の作物の栽培に重点が置かれた可能性も大きいです。グアテマラでは主要な輸出産品の一つであるコーヒーやバナナの需要が増加し、それに伴い農地の用途がシフトしたと見られます。また、大麦の国内需要が低迷したことも一因であると考えられます。気候変動や土壌の劣化は、大麦栽培に適した条件を損なう要因としても重要です。
一方で、同様の中米地域であるメキシコなどでは、輸出向けや国内消費のために麦類全般が安定的に栽培されています。日本やアメリカ、韓国など大国と比べると大麦生産への依存度は低い状況ですが、それでも最低限の自給努力が見られる点でグアテマラとは異なります。また、大麦生産の減少は地域的経済循環にも影響があり、特に農村部の農業労働者の生計への打撃となることが懸念されます。
今後の課題としては、まず地域ごとの農地適合性に関する詳細な評価が必要です。過去には一定の生産が成功していたため、それを可能にした土壌条件や気候を再評価し、農地利用の最適化を進めるべきでしょう。また、気候変動への対応が非常に重要です。大麦のような穀物は気温や降水量の変化に敏感であるため、持続可能な灌漑方法や品種改良を推進する必要があります。さらに、大麦の価値を再認識し、その加工品や食品への転用、地元市場での需要喚起策も対策となり得ます。
また、国際協力も鍵となります。グアテマラにとっては、国際市場における競争力を回復することで、農業の活性化や生産拡大の道が開ける可能性があります。農業インフラへの投資や貿易条件の改善も視野に入れるべきでしょう。FAOや農業研究機関による技術支援を活用し、それを元に地元農家を支える体制の構築が求められます。
結論として、グアテマラの大麦生産量の大幅な減少は、国内外の社会経済的・自然的要因の影響を強く受けた結果です。この状況を克服するためには、農業政策、環境対策、地域経済の持続可能性を統合的に考慮した戦略が必要です。これにより、大麦のみならず他の作物についても農業セクター全体を支える基盤が構築できるでしょう。