国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、グアテマラの落花生生産量は1961年の500トンから始まり、2023年には10,290トンに達しました。このデータからは、過去60年以上にわたり生産量が全体的に増加傾向であることがわかります。特に1986年以降、急激な増加が見られ、2008年から2013年にかけてピークを迎えた後、やや安定した状態にあります。ただし2019年以降は微減傾向が確認されており、安定的な生産の維持には一定の課題があることが示唆されます。
グアテマラの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 10,290 |
-1.52% ↓
|
2022年 | 10,449 |
-0.16% ↓
|
2021年 | 10,466 |
-2.04% ↓
|
2020年 | 10,684 |
4.77% ↑
|
2019年 | 10,197 |
-3.04% ↓
|
2018年 | 10,517 |
4.04% ↑
|
2017年 | 10,109 |
1.44% ↑
|
2016年 | 9,965 |
-6.23% ↓
|
2015年 | 10,628 |
0.6% ↑
|
2014年 | 10,564 |
-14.31% ↓
|
2013年 | 12,329 |
9.46% ↑
|
2012年 | 11,264 |
5.41% ↑
|
2011年 | 10,685 |
19.12% ↑
|
2010年 | 8,970 |
-3.53% ↓
|
2009年 | 9,299 |
2.5% ↑
|
2008年 | 9,072 |
163.16% ↑
|
2007年 | 3,447 | - |
2006年 | 3,447 |
15.15% ↑
|
2005年 | 2,994 |
26.92% ↑
|
2004年 | 2,359 |
-30.29% ↓
|
2003年 | 3,384 |
44.02% ↑
|
2002年 | 2,350 |
30.15% ↑
|
2001年 | 1,805 |
19.56% ↑
|
2000年 | 1,510 |
0.87% ↑
|
1999年 | 1,497 |
1.7% ↑
|
1998年 | 1,472 |
3.23% ↑
|
1997年 | 1,426 | - |
1996年 | 1,426 |
-4.04% ↓
|
1995年 | 1,486 |
7.68% ↑
|
1994年 | 1,380 |
15.38% ↑
|
1993年 | 1,196 |
-7.14% ↓
|
1992年 | 1,288 |
2.96% ↑
|
1991年 | 1,251 |
-11.21% ↓
|
1990年 | 1,409 |
-11.22% ↓
|
1989年 | 1,587 |
-14.95% ↓
|
1988年 | 1,866 |
-14.95% ↓
|
1987年 | 2,194 |
92.46% ↑
|
1986年 | 1,140 |
41.61% ↑
|
1985年 | 805 |
2.94% ↑
|
1984年 | 782 |
15.17% ↑
|
1983年 | 679 |
4.78% ↑
|
1982年 | 648 |
12.89% ↑
|
1981年 | 574 |
29.57% ↑
|
1980年 | 443 |
-40.93% ↓
|
1979年 | 750 |
4.17% ↑
|
1978年 | 720 |
2.27% ↑
|
1977年 | 704 |
3.38% ↑
|
1976年 | 681 |
0.74% ↑
|
1975年 | 676 |
4.97% ↑
|
1974年 | 644 |
3.04% ↑
|
1973年 | 625 |
2.97% ↑
|
1972年 | 607 |
3.06% ↑
|
1971年 | 589 |
3.33% ↑
|
1970年 | 570 |
3.26% ↑
|
1969年 | 552 |
3.37% ↑
|
1968年 | 534 |
2.69% ↑
|
1967年 | 520 |
4% ↑
|
1966年 | 500 | - |
1965年 | 500 | - |
1964年 | 500 | - |
1963年 | 500 | - |
1962年 | 500 | - |
1961年 | 500 | - |
グアテマラの落花生生産量は、1960年代から1980年代半ばまで年間500~800トン台で推移し、安定した規模を保っていました。しかし、1986年に生産量が1,140トンとなり、それ以降急激に増加しました。特に1987年には2,194トンとほぼ倍増し、1986年から2003年までの数十年間で大幅な伸びを経験しました。この生産量の上昇は、地域の農業技術の改善、輸出市場の需要増加、ならびに落花生栽培に適した気候条件を活用した農地拡大が主要因と考えられます。また、2008年と2009年にかけて記録された9,000トン以上の急増は、外的な市場要因や主に中国やアメリカなど輸出先市場での価格高騰が影響したと見られます。
一方で、2014年以降生産量の変動幅が縮小し、およそ10,000トン前後で推移しています。この時期の安定の一因としては、農業の機械化や効率化が進む一方で、気候変動や経済的な外部要因が影響している可能性が挙げられます。また、新型コロナウイルスが引き起こした供給網の混乱や国内物流の制限、さらには市場価格の変動も、2020年以降の伸び悩みの背景に関与している可能性があります。
グアテマラの落花生生産を地域的な視点で見ると、中米地域は歴史的に気候条件や土壌特性から農業が盛んな地域です。ただし、落花生の輸出市場における競争相手としては、アメリカや中国、インドといった大規模生産国が強力な存在感を持っています。これらの大国は技術力や生産規模の面で圧倒的な優位を持つため、グアテマラの生産者が輸出競争力を保つことは容易ではありません。特にアメリカへの輸出品に対する関税や品質基準に遵守する負担が課題として浮き彫りになります。
さらに、農地拡大が招く環境への負荷や、輸出依存度が高まることで国内市場の安定性を損なうリスクも懸念されます。伐採による森林減少や農地拡大に関連する土壌劣化、さらには干ばつや洪水といった自然災害が農業基盤に及ぼす脅威も看過できません。グアテマラの地政学的状況を踏まえると、地域的な衝突や経済的格差もまた、食糧生産体制の維持を阻害する可能性があります。
未来を見据えた対応として、まず必要となるのは気候変動への適応策を講じることです。たとえば、干ばつ耐性や病害虫に強い品種の研究・導入を推進すべきです。また、農業教育プログラムを通じて、農家が効率的かつ環境に優しい農法を採用できるよう支援することが重要です。さらに、国内および地域間の輸送インフラの改善も、輸出価格競争力を高めるための鍵となります。
結論として、グアテマラの落花生生産は、過去数十年で著しい成長を遂げましたが、近年の停滞と今後の気候・市場変動への挑戦が避けられない課題となっています。国内農業資源の持続可能な活用とともに、国や国際機関による支援を通じて、農業基盤強化と多様化した経済構造を築くことが求められます。これにより、グアテマラは引き続き落花生生産において地域的かつ国際的に重要な役割を果たしていくことが可能となるでしょう。