国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新データによれば、グアテマラのココナッツ生産量は1961年から2023年にかけて増減を繰り返しながら長期的に大きく成長しました。特に、1980年代後半から1990年代前半にかけての急激な増加が顕著です。しかし、2000年以降は減少傾向に転じ、その後は長期間安定と軽度の増減が続いています。近年では、2023年に19,217トンとなり、前年度よりも若干回復が見られますが、全体的には1990年代後半のピーク時(50,000トン)と比較して下落しています。
グアテマラのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 19,217 |
30.37% ↑
|
2022年 | 14,740 |
2.36% ↑
|
2021年 | 14,400 | - |
2020年 | 14,400 |
-20% ↓
|
2019年 | 18,000 | - |
2018年 | 18,000 |
-6.25% ↓
|
2017年 | 19,200 |
60% ↑
|
2016年 | 12,000 |
-44.44% ↓
|
2015年 | 21,600 |
17.39% ↑
|
2014年 | 18,400 |
-20.08% ↓
|
2013年 | 23,022 |
0.15% ↑
|
2012年 | 22,988 |
0.89% ↑
|
2011年 | 22,785 |
-1.87% ↓
|
2010年 | 23,220 |
7.01% ↑
|
2009年 | 21,698 |
0.04% ↑
|
2008年 | 21,689 |
0.08% ↑
|
2007年 | 21,671 |
3.2% ↑
|
2006年 | 21,000 | - |
2005年 | 21,000 |
10.53% ↑
|
2004年 | 19,000 | - |
2003年 | 19,000 |
-26.92% ↓
|
2002年 | 26,000 |
-35% ↓
|
2001年 | 40,000 |
-11.11% ↓
|
2000年 | 45,000 |
-10% ↓
|
1999年 | 50,000 |
138.1% ↑
|
1998年 | 21,000 |
31.25% ↑
|
1997年 | 16,000 | - |
1996年 | 16,000 | - |
1995年 | 16,000 |
-11.11% ↓
|
1994年 | 18,000 |
38.46% ↑
|
1993年 | 13,000 |
-18.75% ↓
|
1992年 | 16,000 | - |
1991年 | 16,000 | - |
1990年 | 16,000 |
23.08% ↑
|
1989年 | 13,000 |
-13.33% ↓
|
1988年 | 15,000 |
36.36% ↑
|
1987年 | 11,000 |
83.33% ↑
|
1986年 | 6,000 |
20% ↑
|
1985年 | 5,000 |
51.52% ↑
|
1984年 | 3,300 |
17.86% ↑
|
1983年 | 2,800 |
-3.45% ↓
|
1982年 | 2,900 | - |
1981年 | 2,900 |
-3.33% ↓
|
1980年 | 3,000 |
15.38% ↑
|
1979年 | 2,600 |
8.33% ↑
|
1978年 | 2,400 |
21.52% ↑
|
1977年 | 1,975 |
3.95% ↑
|
1976年 | 1,900 | - |
1975年 | 1,900 | - |
1974年 | 1,900 | - |
1973年 | 1,900 | - |
1972年 | 1,900 | - |
1971年 | 1,900 |
26.67% ↑
|
1970年 | 1,500 |
7.14% ↑
|
1969年 | 1,400 |
-6.67% ↓
|
1968年 | 1,500 |
-25% ↓
|
1967年 | 2,000 | - |
1966年 | 2,000 |
5.26% ↑
|
1965年 | 1,900 |
18.75% ↑
|
1964年 | 1,600 |
14.29% ↑
|
1963年 | 1,400 |
16.67% ↑
|
1962年 | 1,200 |
20% ↑
|
1961年 | 1,000 | - |
FAOのデータに基づくと、グアテマラのココナッツ生産量は、農業政策や市場動向、自然災害などの要因が複雑に絡み合い、多様な変動を示してきました。1960年代序盤から1970年代後半の緩やかな増加期を経て、1980年代から1990年代にかけての急成長が特に注目されます。この時期には、生産体制の近代化や輸出市場の拡大、それに加えて国内需要の高まりが影響したと考えられます。中でも、1987年(11,000トン)から1989年(13,000トン)までの短期間での増加や、1999年に50,000トンという記録的な生産量を達成した点は好例です。
しかしながら、2000年以降は、気候変動の影響や国内外市場での競争激化、さらには農業従事者の減少といった複合的な理由で生産量が減少に転じました。とくに2002年の26,000トンから2004年の19,000トンへの急落や、2016年の12,000トンといった低迷期がある一方で、2017年から2023年の間には若干の増減を見せつつ、おおむね18,000トン前後の生産が維持されています。
地域ごとの背景では、グアテマラは地理的に良質な土壌と気候条件を持ちながらも、インフラの整備不足や農業技術の停滞が今後の成長を阻害する要因となっています。さらに、ココナッツの生産は気候に大きく依存しており、気候変動による干ばつや台風の頻発が生産に悪影響を与えています。この点では、アジアの主要ココナッツ生産国であるフィリピンやインドネシアといった競合国に比べて、グアテマラの持つ地理的および技術的弱点は克服が急務です。
グアテマラのココナッツ産業は、輸出と国内消費のバランスが鍵を握っています。地域経済に貢献しているものの、生産量が減少に転じると輸出市場での競争力低下が懸念されます。他国と比較すると、たとえばフィリピンでは2023年に年間約1,120万トンを生産しており、グアテマラは桁違いに下回っています。この競争の中でグアテマラが持続可能性を確保するためには、持続可能な農法の導入や、新しい市場開拓、ブランド戦略が必要となります。
長期的な課題として、災害や疫病のリスク管理、農業従事者の労働環境改善が挙げられます。また、地政学的には一部地域での土地紛争が作物生産に悪影響を及ぼしている可能性もあり、平和的解決へ向けた地域間協力が重要になります。あわせて、インフラ投資や農業研究機関との連携を深め、品種改良や生産性向上への取り組みが求められます。
具体的な対策としては、まず農業従事者への技術教育や補助金の充実が効果的です。また、耐候性のあるココナッツ品種の開発を促進し、気候変動に対抗できる農業生態系を構築することが必要です。加えて、地元の輸出業者と国際バイヤーを結ぶマーケティング支援や、輸送インフラ改善により新しい輸出市場への参入を図ることができます。そして、長期的な視点では、国際協力機関と連携して技術移転やファイナンシャル支援を受けることも重要です。
結論として、グアテマラのココナッツ産業の未来は、その成長可能性と持続可能性を如何に保つかにかかっています。FAOのデータから明らかなように、現在の生産の低迷の打破には、国内外のリソースを最大限に活かし、農業経済全体の改革を行う必要があります。国際競争力を高めるためには、政府と民間の連携が欠かせないでしょう。