FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点の最新データによると、グアテマラのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量は、2019年から2023年にかけて着実に増加しています。2019年の生産量85,032トンに対し、2023年には111,598トンとなり、約31.2%の増加が見られました。このデータからは、年々増加傾向が鮮明であることがわかり、同地域での農業の拡大や需要増が背景にあると推測されます。
グアテマラのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 111,598 |
10.66% ↑
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2022年 | 100,849 |
5.36% ↑
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2021年 | 95,716 |
8.01% ↑
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2020年 | 88,617 |
4.22% ↑
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2019年 | 85,032 | - |
グアテマラは中米に位置し、肥沃な土地と温暖な気候を活用して農業が盛んな国です。その中でもカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンといったウリ科の農産物の生産は同国の農業セクターにおいて重要な役割を果たしています。2019年から2023年にかけてのデータを見ると、この5年間で生産量は毎年増加を続けており、特に2022年から2023年には前年比で約10.66%という顕著な伸びを示しました。
この増加は、国内需要の高まりだけでなく、輸出市場の拡大や、農業技術の進歩による作物の収穫量向上も背景にあると考えられます。グアテマラの主要な輸出先にはアメリカが含まれ、特に現地での健康志向の高まりが、植物ベースの食品やウリ科野菜の需要を押し上げています。また、労働力が手ごろな価格で確保できる点も、他国との競争力を高めている要因の一つといえるでしょう。
一方で、グアテマラの農業生産にはいくつかの課題も残されています。まず、気候変動の影響が指摘されています。同地域では頻繁な干ばつや集中豪雨により農作物の安定的な収穫が脅かされるリスクが高まっています。カボチャやスクワッシュといったウリ科の作物は水分量に敏感であるため、灌漑設備の整備が今後の持続可能な生産拡大にとって重要な鍵となります。また、農業労働者の権利保護や所得向上、さらには航空輸送コストの削減など、輸出競争力の維持のためには制度改革も求められます。
地政学的背景を考慮すると、アメリカ市場への依存はリスクともなり得ます。例えば、米国の貿易政策の変更や関税措置は直接的にグアテマラの輸出に影響を与える可能性があります。そのため、多角的な輸出先を開拓する努力が必要です。隣国であるメキシコや、EU圏内での市場拡張も検討すべきでしょう。
さらに、コロナ禍以降、供給チェーンの混乱といった世界的な課題が農業生産や流通に影響を与えています。これを契機に、デジタル化や農業IoT(モノのインターネット)の導入による物流の効率化と生産管理の最適化が進むべきです。
総合的にみて、グアテマラのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタン生産における成長は顕著ですが、持続可能な発展の観点から、環境リスクへの対応や輸出市場の多様化、効率的な農業システムの構築が急務です。政府や国際機関との連携を強化し、資金援助や技術支援を積極的に取り入れることが、農業セクター全体をさらに発展させるための重要な要素となるでしょう。