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アルゼンチンの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、アルゼンチンの牛乳生産量は1961年の4,150,806トンから2023年には11,665,405トンへと大幅に増加しています。特に1990年代には目覚ましい伸びを見せ、1999年には初めて年間生産量が10,000,000トンを超えました。2020年代に入ってからは、11,000,000トンを超える供給レベルを維持していますが、生産量の成長はやや鈍化している傾向があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,665,405
-2.01% ↓
2022年 11,904,142
0.04% ↑
2021年 11,899,905
3.96% ↑
2020年 11,446,583
7.48% ↑
2019年 10,650,133
-1.77% ↓
2018年 10,842,364
4.25% ↑
2017年 10,400,402
-1.89% ↓
2016年 10,600,967
-14.66% ↓
2015年 12,422,725
9.55% ↑
2014年 11,340,197
0.35% ↑
2013年 11,300,130
-3.25% ↓
2012年 11,680,200
1.19% ↑
2011年 11,542,449
8.72% ↑
2010年 10,616,744
2.42% ↑
2009年 10,366,290
0.45% ↑
2008年 10,320,318
5.07% ↑
2007年 9,822,337
-6.4% ↓
2006年 10,493,569
5.9% ↑
2005年 9,908,941
4.92% ↑
2004年 9,444,070
15.21% ↑
2003年 8,197,480
-6.78% ↓
2002年 8,793,400
-9.98% ↓
2001年 9,768,725
-3.48% ↓
2000年 10,121,330
-4.96% ↓
1999年 10,649,200
8.2% ↑
1998年 9,841,926
5.02% ↑
1997年 9,371,790
2.54% ↑
1996年 9,139,815
4.21% ↑
1995年 8,770,717
9.39% ↑
1994年 8,018,087
11.05% ↑
1993年 7,220,093
6.25% ↑
1992年 6,795,320
11.02% ↑
1991年 6,121,000
-2.56% ↓
1990年 6,281,980
-6.55% ↓
1989年 6,722,120
8.98% ↑
1988年 6,168,000
-4.28% ↓
1987年 6,443,680
19.62% ↑
1986年 5,386,975
-4.53% ↓
1985年 5,642,663
1.88% ↑
1984年 5,538,532
-2.04% ↓
1983年 5,654,004
4.64% ↑
1982年 5,403,471
2.36% ↑
1981年 5,278,720
-0.52% ↓
1980年 5,306,557
-0.79% ↓
1979年 5,348,828
2.61% ↑
1978年 5,212,736
-1.81% ↓
1977年 5,308,619
-8.46% ↓
1976年 5,799,375
2.65% ↑
1975年 5,649,880
6.76% ↑
1974年 5,292,123
1.36% ↑
1973年 5,220,984
-3.04% ↓
1972年 5,384,913
11.36% ↑
1971年 4,835,390
15.4% ↑
1970年 4,189,984
-8.03% ↓
1969年 4,555,989
-2.71% ↓
1968年 4,682,802
7.25% ↑
1967年 4,366,285
-7.73% ↓
1966年 4,732,290
10.68% ↑
1965年 4,275,557
-5.71% ↓
1964年 4,534,338
3.82% ↑
1963年 4,367,316
5.43% ↑
1962年 4,142,558
-0.2% ↓
1961年 4,150,806 -

アルゼンチンの牛乳生産の推移を見ると、1961年の4,150,806トンから始まり、2023年には11,665,405トンに達しています。この間、全体的には増加傾向にあるものの、1970年代から1980年代前半までは比較的安定した生産量が記録されており、その後1990年代に急激な成長を遂げています。特に1995年から2000年の期間では、生産量が年間8,770,717トンから10,649,200トンへと飛躍的に増加しており、この成長はアルゼンチンの農業政策や酪農技術の進化によるものと考えられます。

しかし、2000年代に入ると、一部の年では生産量の減少が見られるようになりました。例えば、2002年から2003年には8,793,400トンから8,197,480トンへと落ち込んでおり、また2016年には10,600,967トンと、それ以前のピークと比較して低下が見られます。このような減少は、経済的不安定や気候の変動、さらには生産コストの増大による農家の負担増加などが要因として挙げられるでしょう。

最新のデータでは2023年の生産量は11,665,405トンで、引き続き高水準を維持するものの、前年度と比較するとわずかに減少しています。この背景には、アルゼンチンが直面している経済的課題や、地球温暖化による気候条件の不安定さが影響を与えている可能性があります。特に干ばつや洪水といった自然災害の頻発は畜産業にとって深刻なリスクとなっています。

地政学的には、アルゼンチンの牛乳生産は、国内の乳製品需要を満たすのみならず、国際市場への輸出においても重要な役割を果たしています。なかでも、中国、ブラジル、チリ、ロシアへの輸出が主要な取引先であり、これらの国々との貿易環境が生産量にも影響を及ぼしています。特に、中国の乳製品需要の高まりやロシア市場の制約解除などは、アルゼンチンに新たな成長の可能性を提供しています。一方で、競合であるニュージーランドや欧州諸国との輸出競争が激化しており、この動向も注意が必要です。

未来を見据えると、牛乳生産の持続可能性を確保するための具体的な対策が必要です。まず、気候変動への適応として、耐候性の高い牧草や飼料の開発を進めることが挙げられます。また、効率的な生産手法を導入することで、コスト削減と環境負荷の軽減を図ることが求められます。さらには、国家としての乳製品のブランディングを強化し、付加価値の高い製品の開発や輸出戦略の見直しを通じて、競争力を高めることが重要です。

また、経済的課題の克服には、農業従事者への経済支援や、インフラ整備の拡大が欠かせません。さらに、酪農に関わる教育プログラムや研究開発の支援も必須です。特にデジタル技術を活用したスマート酪農の推進は、効率的かつ持続可能な産業の発展に寄与するでしょう。

総じて、アルゼンチンの牛乳生産は過去数十年で大きく成長を遂げてきた一方で、自然環境や国際的な競争、新たなニーズへの適応など、依然として多くの課題が存在します。国際連合食糧農業機関を含む国際的な協力の枠組みを活用しつつ、持続可能な生産と幅広い販路の確保に向けた取り組みが今後も求められるでしょう。