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アルゼンチンの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した最新のデータによると、アルゼンチンの鶏卵生産量は、1961年の208,320トンから2023年の977,000トンまでおよそ4.7倍に増加しています。この間、減少や停滞の時期を経ながらも、特に2000年代以降は急激な成長を見せています。2023年の生産量は過去最高を記録しており、これは国内外の需要増加に対応した生産能力の向上を反映しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 977,000
16.17% ↑
2022年 841,038
-4.97% ↓
2021年 885,000
1.37% ↑
2020年 873,000
5.18% ↑
2019年 830,000
0.12% ↑
2018年 829,000
1.97% ↑
2017年 813,000
1.37% ↑
2016年 802,000
4.84% ↑
2015年 765,000
20.36% ↑
2014年 635,580
12.47% ↑
2013年 565,090
-5.82% ↓
2012年 600,000
1.54% ↑
2011年 590,900
6.66% ↑
2010年 554,000
9.21% ↑
2009年 507,300
8.38% ↑
2008年 468,096
5.75% ↑
2007年 442,656
5.74% ↑
2006年 418,608
7.67% ↑
2005年 388,800
9.29% ↑
2004年 355,740
17.41% ↑
2003年 303,000
18.73% ↑
2002年 255,200
-15.47% ↓
2001年 301,916
-7.65% ↓
2000年 326,935
2.53% ↑
1999年 318,870
3.66% ↑
1998年 307,620
5.23% ↑
1997年 292,340
1.17% ↑
1996年 288,970
1.18% ↑
1995年 285,600
6.25% ↑
1994年 268,800
1.78% ↑
1993年 264,100
3.18% ↑
1992年 255,950
-14.06% ↓
1991年 297,830
2.24% ↑
1990年 291,300
-4.88% ↓
1989年 306,230
29.94% ↑
1988年 235,670
-9.88% ↓
1987年 261,500
-8.41% ↓
1986年 285,500
6.81% ↑
1985年 267,300
-1% ↓
1984年 270,000
-0.83% ↓
1983年 272,250
-2.19% ↓
1982年 278,355
-1.21% ↓
1981年 281,770
5.33% ↑
1980年 267,523
17.32% ↑
1979年 228,032
9.99% ↑
1978年 207,312
11.37% ↑
1977年 186,144
-2.66% ↓
1976年 191,240
-3.56% ↓
1975年 198,296
-5.62% ↓
1974年 210,100
9.54% ↑
1973年 191,800
-4.57% ↓
1972年 200,990
4.52% ↑
1971年 192,300
5.67% ↑
1970年 181,990
6.3% ↑
1969年 171,200
1.9% ↑
1968年 168,010
9.31% ↑
1967年 153,700
-1.16% ↓
1966年 155,500
0.61% ↑
1965年 154,560
9.52% ↑
1964年 141,120 -
1963年 141,120
-14.29% ↓
1962年 164,640
-20.97% ↓
1961年 208,320 -

アルゼンチンの鶏卵生産量は、1960年代から1980年代にかけて一進一退の動きを見せてきました。この時期には、国内の経済的揺らぎやインフラ整備の遅れが農業生産全般に影響を与えており、鶏卵生産も例外ではありませんでした。1980年代後半からは生産量が安定し、1990年代には一部下降したものの、2000年代以降は着実な増加傾向を示してきました。2000年の326,935トンから2023年の977,000トンへと成長する過程で、農業技術の進歩、飼料効率の改善、そして政府の農業政策による支援が大きく寄与したと考えられます。

特に2000年代半ば以降の急成長は目覚ましく、2009年には初めて年500,000トンを超え、2016年には800,000トンを突破しました。この時期のアルゼンチンの卵産業の躍進は、国内外での卵の栄養価の認識向上や、消費の多様化が後押ししています。加えて、輸出市場の拡大が生産拡大の一因となっています。

他国と比較すると、中国は世界最大の鶏卵生産国であり、2022年には約3,000万トンを生産しています。また、インドやアメリカもそれぞれの強みを活かし、鶏卵の大量生産を維持しており、日本や韓国も国内需要に応じた安定した生産を行っています。これに対し、アルゼンチンはこれらの国々に比べ規模は小さいものの、ラテンアメリカ地域内では特にブラジルなどと共に上位の生産国とされています。

しかし、アルゼンチン内外での課題もいくつか浮上しています。まず、気候変動の影響により飼料生産が不安定化するリスクが高まっている点が挙げられます。多くの農作物を飼料とする鶏卵産業は、旱魃や洪水といった気候災害に特に脆弱です。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によるサプライチェーンの問題は一時的に生産や輸送に影響を与え、改めて物流システムの強化の必要性を示しました。

さらに地政学的背景として、ウクライナ紛争を含む国際的な緊張が飼料原材料価格の上昇を引き起こしており、特にトウモロコシや大豆といった主要飼料の輸入に依存する部分で生産コストが圧迫されています。このようなコスト増加は、国内外の価格競争力を低下させる可能性があります。

展望として、アルゼンチンが持続可能かつ安定的に鶏卵生産を成長させるためにいくつかの具体的な対策が必要です。まず、農業における気候変動への適応策として、耐久性のある飼料作物の開発や牧草地の改良を進めるべきです。また、国内外の需要を効果的に満たすために、輸出入政策を見直し、サプライチェーン全体を効率化する努力が求められます。さらに、技術力の向上を図るために国内外の研究機関や企業との協力を強化し、農場の近代化を推進することが重要です。

最終的には、このような課題に取り組むことで、アルゼンチンは鶏卵産業の地位を強化し、国内経済や雇用創出にも広く貢献できるでしょう。国際市場での競争力を高めるためには、生産能力の向上のみならず、品質面の改善や現地の農家支援など、包括的なアプローチが求められます。