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アルゼンチンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に公開した最新データによると、アルゼンチンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1960年代から断続的に増減しながらも、長期的には減少傾向にあることが明らかになりました。ピークは1994年の42万トンで、それ以降は徐々に低下しています。2023年の生産量は25万8千トンと60年間で見て最低水準に接近しています。今後、持続可能な農業体制の確立や地政学的な影響を考慮した政策が求められます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 257,598
-0.76% ↓
2022年 259,563
-0.68% ↓
2021年 261,336
-0.67% ↓
2020年 263,109
0.29% ↑
2019年 262,343
0.56% ↑
2018年 260,871
-0.89% ↓
2017年 263,225
-1.25% ↓
2016年 266,554
-1.92% ↓
2015年 271,769
-0.17% ↓
2014年 272,229
-1.99% ↓
2013年 277,748
-0.97% ↓
2012年 280,466
-0.96% ↓
2011年 283,183
-0.95% ↓
2010年 285,901
0.3% ↑
2009年 285,032
-1.82% ↓
2008年 290,312
-3.23% ↓
2007年 300,000
3.45% ↑
2006年 290,000
-1.46% ↓
2005年 294,294
-0.58% ↓
2004年 296,000
0.68% ↑
2003年 294,000
1.03% ↑
2002年 291,000
0.14% ↑
2001年 290,587
-9.5% ↓
2000年 321,088
-1.68% ↓
1999年 326,584
12.97% ↑
1998年 289,092
4.86% ↑
1997年 275,700
-31.08% ↓
1996年 400,000
-3.61% ↓
1995年 415,000
-1.19% ↓
1994年 420,000
33.76% ↑
1993年 314,000
-14.21% ↓
1992年 366,000
1.1% ↑
1991年 362,000
1.03% ↑
1990年 358,300
-1.97% ↓
1989年 365,500
-1.3% ↓
1988年 370,300
-0.59% ↓
1987年 372,500
-6.17% ↓
1986年 397,000
3.39% ↑
1985年 384,000
14.63% ↑
1984年 335,000
0.69% ↑
1983年 332,700
-9.15% ↓
1982年 366,200
33.65% ↑
1981年 274,000
-24.73% ↓
1980年 364,000
15.56% ↑
1979年 315,000
21.15% ↑
1978年 260,000
22.07% ↑
1977年 213,000
-41.48% ↓
1976年 364,000
-11.22% ↓
1975年 410,000
36.67% ↑
1974年 300,000
-6.28% ↓
1973年 320,100
15.98% ↑
1972年 276,000
-21.14% ↓
1971年 350,000
-8.45% ↓
1970年 382,300
17.45% ↑
1969年 325,500
0.43% ↑
1968年 324,100
-13.53% ↓
1967年 374,800
19.69% ↑
1966年 313,150
1.08% ↑
1965年 309,800
15.3% ↑
1964年 268,700
-11.96% ↓
1963年 305,200
-17.71% ↓
1962年 370,900
7.29% ↑
1961年 345,700 -

アルゼンチンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量推移を見ると、1961年当時の生産量は約34万6千トンで、1960年代中盤に一度減少した後、規模の小さな増減を繰り返しながら1970年代以降は40万トンを超えるピークを数回達成しています。しかしながら、1990年代後半からは減少傾向が顕著になり、ここ20年間では概ね毎年26万トン前後で推移し続けています。この長期的な減少は、気候変動、農地の利用方法の変化、競争作物の優先度の上昇など、いくつかの複合的要因に起因している可能性があります。

アルゼンチンは農業の豊かな国として知られ、カボチャやスクワッシュ、ヒョウタンは国内消費だけではなく一部は輸出にも向けられる重要な農産物です。しかしながら、生産量の減少は国内市場における供給の減少に留まらず、輸出市場の競争力にも悪影響を及ぼしています。また、農業に依存する地方経済の活力が低下するリスクも含んでいます。

世界的な視点から見ると、カボチャ類の生産はインド、中国、アメリカなどの国々が主導しています。これらの国々は近代的な農業技術の導入や農地利用の効率化を行っており、特にインドや中国では生産量と国内消費量の両方が年々増加しています。一方、アルゼンチンはこの分野での国際的な存在感がやや薄れる傾向が見られます。

課題としては、まず気候変動や干ばつ、洪水といった環境的要因が挙げられます。南米の特定の地域では、極端な気象条件が農業生産に深刻な影響を与えており、アルゼンチンのカボチャ栽培も例外ではありません。また、1990年代以降のグローバル化による農産物価格の変動は、利潤率が高い他の作物への転作を奨励し、カボチャ類の栽培が衰退する要因の一つとなっています。

地政学的な背景も無視できません。アルゼンチンの農業政策の中には、農地の集中化や投機的な土地利用が進む一方で、小規模農家が十分な支援を受けられないという問題があります。このような状況は、カボチャのような利益率が低いが持続可能性の高い作物の拡大を難しくしています。

持続可能な成長を実現するためには、生産過程の効率化が重要です。具体的には、近代技術の導入による収穫量の向上、気象データの正確な取得と利用、また災害耐性を備えた品種の研究開発が考えられます。一方で、地域の小規模農家を支援する政策枠組みも重要です。例えば、低利融資や教育プログラムを通じて現代農業の知識を浸透させることは、生産量の底上げだけでなく農村地域の経済向上にもつながります。

また、カボチャ類を巡る需要と供給における意識改革も必要です。近年、健康志向の高まりにより、これらの食材の栄養価が注目されています。国内外でのプロモーションを強化し、消費を促進することは、長期的な産業活性化に貢献します。

結論として、アルゼンチンにおけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量減少は、気候変動、土地利用、農業政策、生産技術のギャップなど、多くの要因が複雑に絡み合った結果です。この課題を克服するには、国家レベルでの持続可能な農業政策の策定と実施が欠かせません。地域の経済を安定させ、農業の国際競争力を高めるためには、農家と政策担当者、そして市場全体が協力することが求められます。これにより、アルゼンチン農業が再び躍進するチャンスが広がるでしょう。