国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、アルゼンチンのジャガイモ生産量は1961年の2,071,700トンから2022年の2,223,409トンまで推移してきました。この間、1960年代から1990年代にかけては生産量が大きく変動し、1990年代後半から2000年初頭にかけては増加傾向が見られました。2000年以降は安定した値を示す年も多い一方で、近年の2020年には2,884,000トンというピークに達した後、2022年には約22%減少している状況が確認されます。不安定な生産量の背景には気象条件、農業技術、経済政策の変化が関与しています。
アルゼンチンのジャガイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 2,223,409 |
2021年 | 2,949,947 |
2020年 | 2,884,000 |
2019年 | 2,600,000 |
2018年 | 2,483,769 |
2017年 | 2,459,310 |
2016年 | 2,430,866 |
2015年 | 2,329,939 |
2014年 | 2,264,804 |
2013年 | 2,211,554 |
2012年 | 2,149,333 |
2011年 | 2,058,376 |
2010年 | 2,011,097 |
2009年 | 1,950,000 |
2008年 | 1,900,000 |
2007年 | 1,950,000 |
2006年 | 1,943,632 |
2005年 | 1,788,677 |
2004年 | 2,021,020 |
2003年 | 2,094,520 |
2002年 | 2,262,120 |
2001年 | 2,497,156 |
2000年 | 2,220,529 |
1999年 | 2,700,000 |
1998年 | 3,412,395 |
1997年 | 3,011,328 |
1996年 | 2,275,035 |
1995年 | 2,427,742 |
1994年 | 2,422,657 |
1993年 | 2,104,971 |
1992年 | 1,628,520 |
1991年 | 1,749,887 |
1990年 | 1,598,170 |
1989年 | 2,158,000 |
1988年 | 2,859,100 |
1987年 | 2,103,500 |
1986年 | 2,057,600 |
1985年 | 2,243,300 |
1984年 | 2,105,700 |
1983年 | 1,993,200 |
1982年 | 1,816,960 |
1981年 | 2,247,100 |
1980年 | 1,568,000 |
1979年 | 1,694,000 |
1978年 | 1,593,000 |
1977年 | 1,769,200 |
1976年 | 1,526,300 |
1975年 | 1,349,200 |
1974年 | 2,172,600 |
1973年 | 1,534,600 |
1972年 | 1,339,800 |
1971年 | 1,958,400 |
1970年 | 2,336,400 |
1969年 | 2,339,940 |
1968年 | 1,966,550 |
1967年 | 1,797,200 |
1966年 | 1,484,300 |
1965年 | 2,489,000 |
1964年 | 1,492,400 |
1963年 | 1,453,400 |
1962年 | 1,184,400 |
1961年 | 2,071,700 |
アルゼンチンのジャガイモ生産量は、約60年の長期的視点で見ると、気候変動や経済政策、農業技術の発展、国内外の需給バランスにより起伏の激しい推移をたどってきています。1960年代から1980年代前半にかけては1,000,000~2,000,000トン台を上下した時期が続きました。特に1972年以降の数年は、1,300,000トン台という低水準が続きましたが、1980年代後半からは2,000,000トン以上での推移が増えています。1997年には3,011,328トンを超え、1998年には3,412,395トンで過去最大の生産量を記録しました。
しかしながら、2000年代に入ると一時的な減少期を挟みつつも、全体として概ね2,000,000~2,500,000トン台で安定して推移していました。2020年には再び2,884,000トンという高水準を記録しましたが、2022年には2,223,409トンまで減少しており、この短期間での下降は今後の持続可能な農業の課題を浮き彫りにしています。
これらの生産量の変動を捉える際には、天候などの自然条件だけでなく、国内経済政策や地政学的リスク、農業インフラの発展状況が影響することを理解する必要があります。特に、アルゼンチンでは作物輸出が国家経済において重要な位置を占めていますが、極端な気候変動やインフラ投資の遅れ、生産技術の格差が地域ごとの生産性のばらつきを生んでいます。また、2020年以降の新型コロナウイルスの流行は、労働力不足や物流の停滞をもたらし、農業活動に少なからず影響を与えました。
他国と比較すると、主要なジャガイモ生産国である中国やインド、ロシアといった国々と比べると規模では劣るものの、アルゼンチンは南米における主要な生産国としての地位を維持しています。特にブラジルやメキシコといった南米諸国からの輸入需要が、生産を下支えしてきたという背景もあります。一方で、近代的な農業設備や灌漑技術において、ヨーロッパ諸国(特にドイツやフランス)との技術差は課題の一つです。
アルゼンチンが直面する課題は、気候変動への対応と持続可能な農業の実現にあります。特に、多雨や干ばつといった異常気象はジャガイモの安定生産にとってリスク要因です。また、生産効率の向上には地域間の農業技術格差を解消する必要があります。これに加え、地域的な輸送インフラの改善が輸出促進に寄与するでしょう。
具体的な対策としては、気候変動に耐える品種の研究・開発を進めるとともに、灌漑設備の整備や農家への技術支援を行うべきです。また、国内外の市場開拓を進め、生産者が安定的な収益を得られる環境づくりが不可欠です。そして国際的には、隣接国との協力枠組みを強化し、南米全体での農業生産力向上に向けた政策を策定することが有効です。
結論として、アルゼンチンのジャガイモ生産量は、長期的には安定しつつも、依然として自然条件や政策に大きく左右される状況にあります。この課題を克服するためには、国内政策と国際協力の双方からアプローチすることが求められます。国家と農家が一丸となり、持続可能で高効率な農業を実現することで、長期的な食糧安全保障と経済成長を両立させることが可能となるでしょう。