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アルゼンチンのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

アルゼンチンのオリーブ油生産量推移を見ると、1961年から2021年の間で顕著な変動が見られます。初期の生産量は4,000トン台と小規模でしたが、その後一定の増減を繰り返しながら、21世紀に入ってからは30,000トン前後で比較的安定する傾向が見られ、特に2017年には45,000トンと最高値を記録しました。一方で、その翌年には再び27,500トンに落ち込むなど、近年も生産量の変動が継続しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 30,000 -
2020年 30,000 -
2019年 30,000
9.09% ↑
2018年 27,500
-38.89% ↓
2017年 45,000
87.5% ↑
2016年 24,000
-20% ↓
2015年 30,000
6.76% ↑
2014年 28,100
31.92% ↑
2013年 21,300
-27.55% ↓
2012年 29,400
36.11% ↑
2011年 21,600
20% ↑
2010年 18,000
-14.29% ↓
2009年 21,000
-18.29% ↓
2008年 25,700
28.5% ↑
2007年 20,000
-4.31% ↓
2006年 20,900
4.5% ↑
2005年 20,000
3.09% ↑
2004年 19,400
76.36% ↑
2003年 11,000
10% ↑
2002年 10,000
233.33% ↑
2001年 3,000
-71.43% ↓
2000年 10,500
31.25% ↑
1999年 8,000
-5.88% ↓
1998年 8,500
-26.09% ↓
1997年 11,500
187.5% ↑
1996年 4,000
-46.67% ↓
1995年 7,500
-21.05% ↓
1994年 9,500
18.75% ↑
1993年 8,000
-15.79% ↓
1992年 9,500
-55.42% ↓
1991年 21,309
166.36% ↑
1990年 8,000
-11.11% ↓
1989年 9,000
-35.25% ↓
1988年 13,900
54.44% ↑
1987年 9,000
-22.35% ↓
1986年 11,591
1.17% ↑
1985年 11,457
4.15% ↑
1984年 11,000
-31.25% ↓
1983年 16,000
23.08% ↑
1982年 13,000
-13.33% ↓
1981年 15,000
25% ↑
1980年 12,000
-45.13% ↓
1979年 21,870
45.76% ↑
1978年 15,004
27.84% ↑
1977年 11,737
-10.97% ↓
1976年 13,183
-23.01% ↓
1975年 17,124
-10.19% ↓
1974年 19,067
-19.83% ↓
1973年 23,782
166.97% ↑
1972年 8,908
-57.03% ↓
1971年 20,733
110.89% ↑
1970年 9,831
-49.83% ↓
1969年 19,595
60.05% ↑
1968年 12,243
-6.72% ↓
1967年 13,125
21.48% ↑
1966年 10,804
-10.21% ↓
1965年 12,032
16.77% ↑
1964年 10,304
38.81% ↑
1963年 7,423
-5.5% ↓
1962年 7,855
93.09% ↑
1961年 4,068 -

アルゼンチンにおけるオリーブ油生産の推移を分析すると、いくつかの重要な傾向と課題が浮かび上がります。データが示す通り、1960年代後半から1970年代にかけて、生産量が一時的に増加傾向を見せましたが、その後の1980年代から1990年代初頭にかけては大きな低迷期に入りました。この時期、金融危機や農業部門の政策の変化が影響している可能性があります。

2000年代に入ると、新しい技術の導入や輸出市場の拡大を背景に、生産量は再び回復傾向を見せており、2008年には25,700トン、2015年には30,000トンに達しました。この成長は、主に高品質のオリーブ油への需要増加やアルゼンチンが世界市場において一定の評価を得たことによります。しかし2017年に記録的な45,000トンを達成した一方で、その後の数年間は再び30,000トン前後に落ち着き、一貫して成長し続けるというわけではありません。

この生産量の変動は、アルゼンチンの気候条件の変動性、インフラ整備の不足、さらには農業政策の不安定さに起因している可能性があります。また、地政学的な背景として、アルゼンチンが主要輸出先であるヨーロッパ諸国やアジア市場との貿易関係を強化する一方で、競争相手となるスペインやイタリアなどの伝統的オリーブ油生産国との差別化を図らなければならないという課題があります。

新型コロナウイルスの流行によって、世界的な物流に制約が生じ輸出の一時的な減少という逆風もありましたが、2020年から2021年にかけては30,000トンの生産量を維持し、安定化を図った形です。一方で、国内需要の拡大や新しい栽培技術の導入が課題となっています。

未来に向けて、アルゼンチンがオリーブ油の生産・輸出を持続的に拡大するにはいくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動リスクを考慮したオリーブの栽培技術の開発・普及を進める必要があります。また、より効率的で持続可能な農法の導入を支援する国の政策や、灌漑システムをはじめとする農業インフラの整備が急務です。さらに他国と比較してブランド力が弱いことから、マーケティング戦略の強化と、オリーブ油の高付加価値化を目指すことが重要です。

加えて、輸出市場を多様化することも不可欠です。現在、主にヨーロッパ向けの輸出が主流ですが、中国やインドなどの新興市場における需要が増加傾向にあるため、これらの市場にターゲットを移すなど戦略的な見直しが求められるでしょう。そして、国際機関や近隣国との協力を得て、オリーブ油をはじめとする農産物輸出の物流基盤を整えることも重要な課題です。

総じて、アルゼンチンのオリーブ油生産は回復の兆しを見せながらも、気候や政策、物流基盤など多くの課題を抱えた分野です。これらを克服し、安定した生産と輸出拡大を実現するためには、長期的視点に立った農業・貿易政策の強化が求められるでしょう。