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アルゼンチンのリンゴ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、アルゼンチンのリンゴ生産量は、過去数十年にわたり大きな変動を見せています。特に1970年代後半から1990年代にかけては一貫して増加傾向が見られ、1996年にピークとなる1,219,000トンを記録しました。しかし、その後は波状的な減少を見せ、近年では2022年に423,343トンにまで落ち込んでいます。この変動には、気候変動、経済的要因、政策の変化などが関与しているとみられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 528,749
24.9% ↑
2022年 423,343
-17.64% ↓
2021年 514,000
-12.44% ↓
2020年 587,000
7.15% ↑
2019年 547,846
7.32% ↑
2018年 510,478
11.24% ↑
2017年 458,908 -
2016年 458,908
-33.81% ↓
2015年 693,275
-2.5% ↓
2014年 711,052
-26.7% ↓
2013年 970,000
-7.62% ↓
2012年 1,050,000
-8.7% ↓
2011年 1,150,000
59.72% ↑
2010年 720,000
-19.46% ↓
2009年 894,000
-5.89% ↓
2008年 950,000
-5% ↓
2007年 1,000,000
-9.09% ↓
2006年 1,100,000
-8.81% ↓
2005年 1,206,210
-4.45% ↓
2004年 1,262,440
-3.44% ↓
2003年 1,307,460
13.02% ↑
2002年 1,156,830
-19.03% ↓
2001年 1,428,802
71.46% ↑
2000年 833,322
-25.33% ↓
1999年 1,116,000
7.98% ↑
1998年 1,033,520
-7.53% ↓
1997年 1,117,690
-8.31% ↓
1996年 1,219,000
6.37% ↑
1995年 1,146,000
13.88% ↑
1994年 1,006,300
5.8% ↑
1993年 951,170
-9.71% ↓
1992年 1,053,500
-1.31% ↓
1991年 1,067,500
9.42% ↑
1990年 975,600
15.07% ↑
1989年 847,800
-9.81% ↓
1988年 940,000
-12.53% ↓
1987年 1,074,600
80.94% ↑
1986年 593,900
-35.61% ↓
1985年 922,400
5.78% ↑
1984年 872,000
6.73% ↑
1983年 817,000
1.62% ↑
1982年 804,000
-11.45% ↓
1981年 908,000
-5.22% ↓
1980年 958,000
-1.44% ↓
1979年 972,000
20% ↑
1978年 810,000
-1.22% ↓
1977年 820,000
42.24% ↑
1976年 576,500
-5.18% ↓
1975年 608,000
-22.65% ↓
1974年 786,000
236.91% ↑
1973年 233,300
-54.46% ↓
1972年 512,300
20.85% ↑
1971年 423,900
-4.74% ↓
1970年 445,000
1.97% ↑
1969年 436,400
-7.07% ↓
1968年 469,600
-8.99% ↓
1967年 516,000
24.64% ↑
1966年 414,000
-23.9% ↓
1965年 544,000
46.63% ↑
1964年 371,000
-21.73% ↓
1963年 474,000
19.4% ↑
1962年 397,000
-4.34% ↓
1961年 415,000 -

アルゼンチンは、南米におけるリンゴの主要生産国の一つであり、その地理と気候条件から高品質なリンゴを生産する能力を持っています。1960年代から1990年代中頃にかけての生産量の推移を見てみると、アルゼンチンの農業技術の進歩と市場拡大が顕著で、生産量がほぼ一貫して増加しています。特に1990年代には1,000,000トンを超える年が続き、1996年には記録的な1,219,000トンを生産しました。

しかし、その後の生産量は著しい変動を見せています。2000年代には比較的好調な年もありましたが、2010年代以降は大きな減少傾向が見られます。近年では2022年の423,343トンが生産されていますが、これは過去のピークと比較して約65%もの減少にあたります。この変化は、いくつかの複合的な要因によるものと考えられます。

まず第一に、気候変動の影響が挙げられます。アルゼンチンの主要なリンゴ生産地であるリオ・ネグロ州やネウケン州では、近年異常気象が頻発しており、霜害や干ばつがリンゴ農業に直接的なダメージを与えています。これに加え、害虫や病気の被害も増加しており、リンゴの収穫量の一部を大幅に圧迫している可能性があります。

また、国内外の経済的な問題も影響を及ぼしています。アルゼンチンの経済は近年、不安定なインフレ率や通貨価値の低下、輸出経済の制限といった課題を抱えています。特に輸出に大きく依存する農産物業において、通貨の価値や国際市場の需要の減少は大きな影響を与えます。他国、特に中国やアメリカなどの経済大国が農産物生産を推進している中、競争力の低下も懸念されます。

さらに、国内政策の変更や、農家への支援体制の弱さも問題として挙げられます。リンゴは特に労働集約型の農産物であり、農家の適切な労働環境提供や補助金の支給などが必要です。しかし、十分な政府支援が欠如しているため、生産者がコストを抑えつつ市場競争に勝つことが困難になっています。

未来に向けていくつかの対策が考えられます。地球温暖化に対抗する農法の導入、たとえば灌漑システムや耐性の高い品種の栽培技術を導入することが鍵です。また、国内外の市場で競争力を高めるために、マーケティングを強化し、品質の高いリンゴをブランド化して輸出拡大を目指すべきです。さらに農家への技術支援や補助金制度の強化も必要です。これらを実現するためには、政府と民間の協力が不可欠です。

アルゼンチンのリンゴ生産は、国内経済にとって重要な役割を果たしており、同時に世界市場でも特筆すべき位置を占めています。将来的には、持続可能な農業を目標に掲げ、気候変動への適応と国際市場への展望を持つことで、再び成長軌道に乗ることが期待されます。それに向けた迅速かつ具体的な行動が求められています。