国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新のデータによると、アルゼンチンのトマト生産量は着実に増加しています。1961年の29万4300トンから、2022年には139万3000トンに達しました。この60年以上の期間で、約4.7倍に増加しており、生産量の拡大が顕著に見られます。特に、2015年以降は年平均5%以上の成長ペースを記録しており、現在の市場において重要なトマト生産国の1つとなっています。
アルゼンチンのトマト生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 1,393,000 |
2021年 | 1,362,000 |
2020年 | 1,221,000 |
2019年 | 1,162,000 |
2018年 | 1,103,043 |
2017年 | 1,028,880 |
2016年 | 998,555 |
2015年 | 973,450 |
2014年 | 949,246 |
2013年 | 925,947 |
2012年 | 903,083 |
2011年 | 879,227 |
2010年 | 805,344 |
2009年 | 797,472 |
2008年 | 781,543 |
2007年 | 766,070 |
2006年 | 751,067 |
2005年 | 736,534 |
2004年 | 722,442 |
2003年 | 670,000 |
2002年 | 667,753 |
2001年 | 648,413 |
2000年 | 693,393 |
1999年 | 720,000 |
1998年 | 647,169 |
1997年 | 710,570 |
1996年 | 662,000 |
1995年 | 920,000 |
1994年 | 790,000 |
1993年 | 700,000 |
1992年 | 720,000 |
1991年 | 716,000 |
1990年 | 704,000 |
1989年 | 681,500 |
1988年 | 653,500 |
1987年 | 698,500 |
1986年 | 824,400 |
1985年 | 751,300 |
1984年 | 560,600 |
1983年 | 610,900 |
1982年 | 572,700 |
1981年 | 372,000 |
1980年 | 546,000 |
1979年 | 552,000 |
1978年 | 574,000 |
1977年 | 532,500 |
1976年 | 485,400 |
1975年 | 610,200 |
1974年 | 645,500 |
1973年 | 491,500 |
1972年 | 486,800 |
1971年 | 409,900 |
1970年 | 357,600 |
1969年 | 352,100 |
1968年 | 314,800 |
1967年 | 333,600 |
1966年 | 303,800 |
1965年 | 303,800 |
1964年 | 392,000 |
1963年 | 261,500 |
1962年 | 300,100 |
1961年 | 294,300 |
アルゼンチンのトマト生産量の推移を見ると、その成長は段階的かつ時期ごとに特徴があります。1960年代から1990年代半ばにかけて、生産量は一定の変動を伴いながらも緩やかな増加傾向を示しました。この時期は、主に国内消費を賄うことを目的とした生産が中心であり、農業技術の導入も進展途中にありました。例えば、1961年から1970年にかけて生産量は年間約30万トンから約35万トンの間で推移しており、安定的な増加はまだ見られませんでした。
2000年代に入ると、アルゼンチン国内の農業インフラ整備や、生産効率向上のための技術革新が進み、生産量が明確に拡大し始めました。特に2011年以降の記録を見ると、900,000トンを超える数値が頻出し、2018年には初めて1,000,000トンを突破しました。この成長は、外部市場への輸出需要の拡大や、気候条件の改善といった複数の要因に支えられています。
近年、2020年からはさらに生産量が加速的に増加しており、2022年までの3年間で約170,000トンの生産拡大が実現されました。これは、集中型農場運営への転換、新しい灌漑技術の導入、さらには輸出主導の産業政策が奏功した結果だと考えられます。また、新型コロナウイルスの影響で食料供給への意識が高まる中、トマトを含む基礎的農産物への関心が国際的に高まったことも、アルゼンチンの生産増加を後押ししたと言えるでしょう。
とはいえ、アルゼンチンのトマト産業にはいくつかの課題も存在します。まず、地政学的リスクとして、農業輸出依存国であるアルゼンチンは国際市場の価格変動に敏感であり、生産者が安定的な収入を得ることが難しい側面があります。また、気候変動の影響で作付け適地の縮小や、洪水や干ばつなどの自然災害リスクが懸念されています。これらは、特にトマトのような天候依存度の高い作物において重大な影響をもたらす可能性があります。
今後の持続可能な成長のためには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、気候変動に対する適応力を高めるため、新しい耐候性の品種開発や、温室栽培技術の普及を進める必要があります。また、輸出市場における競争力を高めるためには、高品質なトマト生産を支援する品質認証制度の確立や、輸送インフラの改善が不可欠です。加えて、域内外の生産者や関連企業との協力体制を強化し、新たな市場を開拓する取り組みも重要な課題となるでしょう。
結論として、アルゼンチンのトマト生産量の増加は、同国の農業政策や技術進展の成果を如実に反映したものです。この流れを持続させるためには、気候リスクや国際市場の変動を考慮した柔軟な政策が必要です。また、国内の農業インフラや生産体系のさらなる強化、国際的な貿易協力の推進が、アルゼンチンのトマト産業の将来をより堅実なものとする鍵となるでしょう。