Skip to main content

アルゼンチンのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アルゼンチンのサトウキビ生産量は1961年以降、周期的な増減を伴いつつも全体的には成長を遂げました。しかし、近年では減少傾向が顕著となっており、2023年の生産量は約15,436,339トンで、過去数十年の中でも低い水準に達しています。特に2009年のピーク時である26,960,000トンと比べ、2023年は約57%の生産量にとどまっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,436,339
-6.91% ↓
2022年 16,583,045
1.63% ↑
2021年 16,317,000
-6.76% ↓
2020年 17,500,000
-3.97% ↓
2019年 18,223,143
-1.92% ↓
2018年 18,579,894
-1.69% ↓
2017年 18,899,810
2.52% ↑
2016年 18,436,082
3.15% ↑
2015年 17,872,791
-15.02% ↓
2014年 21,031,320
-11.26% ↓
2013年 23,700,000
19.9% ↑
2012年 19,766,388
-0.2% ↓
2011年 19,806,890
4.85% ↑
2010年 18,889,878
-29.93% ↓
2009年 26,960,000 -
2008年 26,960,000
12.52% ↑
2007年 23,960,000
-9.41% ↓
2006年 26,450,000
8.4% ↑
2005年 24,400,000
16.75% ↑
2004年 20,900,000
-5.22% ↓
2003年 22,050,000
14.55% ↑
2002年 19,250,000
2.83% ↑
2001年 18,720,000
1.74% ↑
2000年 18,400,000
10.18% ↑
1999年 16,700,000
-13.92% ↓
1998年 19,400,000
-0.26% ↓
1997年 19,450,000
10.51% ↑
1996年 17,600,000
-0.56% ↓
1995年 17,700,000
16.45% ↑
1994年 15,200,000
6.67% ↑
1993年 14,250,000
-15.18% ↓
1992年 16,800,000
-7.69% ↓
1991年 18,200,000
15.92% ↑
1990年 15,700,000
14.6% ↑
1989年 13,700,000
-1.71% ↓
1988年 13,939,000
-3.73% ↓
1987年 14,479,000
0.1% ↑
1986年 14,465,000
2.55% ↑
1985年 14,105,000
-8.65% ↓
1984年 15,440,000
2.46% ↑
1983年 15,070,000
0.16% ↑
1982年 15,046,000
-2.93% ↓
1981年 15,500,000
-9.88% ↓
1980年 17,200,000
21.81% ↑
1979年 14,120,000
3.82% ↑
1978年 13,600,000
-15% ↓
1977年 16,000,000
-0.62% ↓
1976年 16,100,000
3.21% ↑
1975年 15,600,000
-5.66% ↓
1974年 16,536,000
-1.98% ↓
1973年 16,870,000
31.08% ↑
1972年 12,870,000
25.44% ↑
1971年 10,260,000
5.77% ↑
1970年 9,700,000
-9.18% ↓
1969年 10,680,000
12.42% ↑
1968年 9,500,000
10.77% ↑
1967年 8,576,000
-28.29% ↓
1966年 11,960,000
-14.27% ↓
1965年 13,950,000
17.95% ↑
1964年 11,827,000
-1.03% ↓
1963年 11,950,000
22.21% ↑
1962年 9,778,000
1.33% ↑
1961年 9,650,000 -

FAOのデータから分析すると、アルゼンチンのサトウキビ生産量は、過去60年以上で大きな変動を繰り返してきたことが分かります。例えば1961年の初期値は9,650,000トンでしたが、その後1973年には16,870,000トンを記録し、1980年以降は15,000,000~18,000,000トン付近で安定しました。その後、2000年代初頭にはさらなる成長期を迎え、2005年から2009年にかけてのピーク時には26,960,000トンに達しました。しかし、それ以降は減少傾向に転じ、2023年には2000年代初頭以前の水準に戻っています。

この生産量の推移には、国内外の市場動向、農業の効率化、気候変動、政治経済の安定性など多くの背景が存在します。2000年代初頭の成長は主に農業技術の進展や輸出拡大によるものでしたが、近年の減少は気候変動の影響により極端な気象条件が増加したこと、土地利用の変化、農業政策の不安定さによるものと考えられます。特に2020年代に入ってからの減少は、新型コロナウイルスのパンデミックが農業供給網に与えた影響や肥料価格の高騰、さらには労働力不足が要因となっています。

アルゼンチンのサトウキビ生産が停滞している背景にはまた、他国との競争の激化があります。たとえばブラジルは、アルゼンチンと同様に南米の主要なサトウキビ生産国で、効率的な大規模農業経営やエタノール生産への転化を強化しています。これによりブラジルは、国際市場での競争力をさらに高めています。一方、日本、韓国、中国、アメリカ、EU諸国などでは、多くのサトウキビは輸入によって消費されるため、アルゼンチンにとっても非常に重要な貿易先です。しかし、アルゼンチンの生産コストが上昇する中で、輸出競争力が弱まりつつある状況も見逃せません。

現在の課題としては、気候変動の影響の軽減、生産技術のさらなる革新、政策の安定化などが挙げられます。具体的には、気候変動に適応可能な耐乾性品種の開発や灌漑技術の効率化が必要です。また、土地の過剰利用を避けつつ持続可能性を考慮した農業の推進も重要です。さらに、政府が一貫した農業政策を打ち出し、農家に対する支援やインセンティブの提供を強化することも不可欠です。

さらに、国際市場への接触を強化するべきです。近年のアジア市場やアフリカ市場の拡大を念頭に置き、新たな輸出ルートを開拓し、地元の生産基盤を活性化させることが推奨されます。こうした施策を進めることで、アルゼンチンのサトウキビ産業は再び成長軌道に乗る可能性があります。

全体として、アルゼンチンのサトウキビ生産量の減少傾向は、国内外の多くの要因が影響を及ぼしています。このまま傾向が続けば、生産量のさらなる低下と輸出収益の減少が予想されます。しかし、適切な政策と技術的な進歩を融合させれば、この課題を克服し、再び国際市場での競争力を取り戻すことが可能です。国際連合を含む多国間協力の場で気候変動の影響緩和や資源効率の改善を図ることも効果的でしょう。