国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニュージーランドにおけるキャベツ生産量は長期的に変動しつつも、直近では増加傾向が見られる時期がありました。特に、2012年以降は急激に生産量が伸び、2019年には78,300トンというピークを迎えました。しかし、その後2022年までに再び減少傾向に転じ、57,148トンにまで低下しました。このデータはニュージーランド国内の農業経済状況や気候の影響、また世界的な需要と供給の変化を反映した指標と言えます。
ニュージーランドのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 58,118 |
1.7% ↑
|
2022年 | 57,148 |
-17.5% ↓
|
2021年 | 69,269 |
1.44% ↑
|
2020年 | 68,283 |
-12.79% ↓
|
2019年 | 78,300 |
23.17% ↑
|
2018年 | 63,569 |
13.1% ↑
|
2017年 | 56,204 |
4.21% ↑
|
2016年 | 53,933 |
4.18% ↑
|
2015年 | 51,769 |
1.81% ↑
|
2014年 | 50,849 |
4.72% ↑
|
2013年 | 48,555 |
-0.47% ↓
|
2012年 | 48,786 |
24.45% ↑
|
2011年 | 39,203 |
-8.05% ↓
|
2010年 | 42,635 |
-2.61% ↓
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2009年 | 43,776 |
1.01% ↑
|
2008年 | 43,338 |
-1.5% ↓
|
2007年 | 44,000 |
2.33% ↑
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2006年 | 43,000 |
7.5% ↑
|
2005年 | 40,000 |
14.29% ↑
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2004年 | 35,000 |
17.66% ↑
|
2003年 | 29,746 | - |
2002年 | 29,746 |
-9.51% ↓
|
2001年 | 32,873 |
-8.69% ↓
|
2000年 | 36,000 |
-6.49% ↓
|
1999年 | 38,500 |
2.67% ↑
|
1998年 | 37,500 |
25% ↑
|
1997年 | 30,000 |
-4.76% ↓
|
1996年 | 31,500 |
6.42% ↑
|
1995年 | 29,600 |
20.82% ↑
|
1994年 | 24,500 |
17.22% ↑
|
1993年 | 20,900 |
-28.42% ↓
|
1992年 | 29,200 |
-16.57% ↓
|
1991年 | 35,000 | - |
1990年 | 35,000 |
9.38% ↑
|
1989年 | 32,000 |
3.23% ↑
|
1988年 | 31,000 |
10.71% ↑
|
1987年 | 28,000 |
33.33% ↑
|
1986年 | 21,000 |
-32.26% ↓
|
1985年 | 31,000 |
3.33% ↑
|
1984年 | 30,000 |
-0.99% ↓
|
1983年 | 30,300 |
0.23% ↑
|
1982年 | 30,229 |
-9.37% ↓
|
1981年 | 33,353 |
2.58% ↑
|
1980年 | 32,514 |
-5.32% ↓
|
1979年 | 34,341 |
-2.33% ↓
|
1978年 | 35,160 |
11.88% ↑
|
1977年 | 31,426 |
14.25% ↑
|
1976年 | 27,507 |
4.94% ↑
|
1975年 | 26,212 |
-2.91% ↓
|
1974年 | 26,998 |
-6.53% ↓
|
1973年 | 28,885 |
1.28% ↑
|
1972年 | 28,521 |
2.98% ↑
|
1971年 | 27,696 |
-10.4% ↓
|
1970年 | 30,910 |
-4.75% ↓
|
1969年 | 32,453 |
33.75% ↑
|
1968年 | 24,264 |
-1.17% ↓
|
1967年 | 24,551 |
-1.65% ↓
|
1966年 | 24,963 |
-30.68% ↓
|
1965年 | 36,010 |
5.91% ↑
|
1964年 | 34,000 |
24.68% ↑
|
1963年 | 27,270 |
-4.15% ↓
|
1962年 | 28,450 |
-12.46% ↓
|
1961年 | 32,500 | - |
ニュージーランドのキャベツ生産量は1961年の32,500トンから始まり、初期の数十年間は大きな変動を見せながら推移していました。特に1966年から1975年の間にかけて、年間生産量は20,000トン台から36,000トン程度の幅で激しく増減しました。この時期の変動の背景には、農業技術の発展が一定していなかったことや、気候変動がもたらす収穫量への影響があると考えられます。一方、1980年代から1990年代にかけては、平均して30,000トン前後に安定するようになったことが注目されます。
21世紀に入ってからは、逐次的に生産量の底上げがみられ、とくに2012年以降、キャベツ生産が急成長しました。この背景には、ニュージーランド全体の農業効率向上や輸出向けの需要増加が影響を与えた可能性があります。また、近年の生産ピークである2019年の78,300トンを達成した際には、技術革新による収穫率向上や、国内外での健康志向の高まりが影響したと推測されます。しかし、2020年以降は、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響による市場の停滞や国際的な物流の混乱の影響で生産量が再び減少傾向に転じてきました。特に2022年までに57,148トンに減少した要因として、気候変動による不安定な気象条件も影響していると考えられます。
ここではニュージーランドのキャベツ生産を他国と比較すると、それほど高い総生産量ではないものの、国内需要をベースに高い品質を維持している側面があります。例えば、中国やインドのような農業大国では何百万トン規模でキャベツが生産されており、ニュージーランドの生産量は小規模と言えるものの、品質や輸出戦略で競争力を持っています。
将来的な課題として、気候変動に伴い適切な気象条件を維持することの難しさや、国際的な需要変動への適応が挙げられます。農地の適切な管理や持続可能な農法の推進、そして新種の品種改良による耐候性の向上が、生産量を安定的に伸ばしていくために重要となるでしょう。また、輸送や貯蔵のインフラを強化することで輸出市場をさらに拡大し、国内生産者への利益を高めることも可能です。
まとめると、ニュージーランドのキャベツ生産は長期的に見ると変動がありつつも、近年の高成長を経て再び調整局面に入りました。持続可能な農業体制の確立や、気候変動への対策、さらには国際貿易の安定化が、今後の生産量と持続可能な発展の鍵となるでしょう。政府や国際機関が果たすべき役割として、地域農家への技術支援や気候対策プロジェクトへの資金投入が挙げられます。これらの施策によって、ニュージーランドのキャベツ生産は引き続き国内外での注目を集める可能性を秘めています。