国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニュージーランドのネギ生産量は2023年に2,719トンとなり、過去のデータと比較して持続的な増加傾向が見られます。特に1980年代初頭の約1,300~1,900トンの水準から、2022年時点では約2,700トンと、長期的な拡大が記録されています。一部の年では減少も見られますが、2000年代以降、安定的な上昇を示しており、農業技術や気候要因がその成長に寄与していることが示唆されます。
ニュージーランドのネギ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,719 |
0.73% ↑
|
2022年 | 2,700 |
0.67% ↑
|
2021年 | 2,682 |
0.69% ↑
|
2020年 | 2,663 |
0.67% ↑
|
2019年 | 2,646 |
0.76% ↑
|
2018年 | 2,626 |
0.69% ↑
|
2017年 | 2,608 |
0.81% ↑
|
2016年 | 2,587 |
0.23% ↑
|
2015年 | 2,581 |
1.44% ↑
|
2014年 | 2,544 |
4.56% ↑
|
2013年 | 2,433 |
-16.11% ↓
|
2012年 | 2,900 |
18.97% ↑
|
2011年 | 2,438 |
0.75% ↑
|
2010年 | 2,419 |
0.76% ↑
|
2009年 | 2,401 |
0.77% ↑
|
2008年 | 2,383 |
0.78% ↑
|
2007年 | 2,365 |
0.79% ↑
|
2006年 | 2,346 |
0.8% ↑
|
2005年 | 2,328 |
0.81% ↑
|
2004年 | 2,309 |
0.83% ↑
|
2003年 | 2,290 |
0.84% ↑
|
2002年 | 2,271 |
13.53% ↑
|
2001年 | 2,000 |
-10.87% ↓
|
2000年 | 2,244 |
0.34% ↑
|
1999年 | 2,236 |
0.33% ↑
|
1998年 | 2,229 |
0.32% ↑
|
1997年 | 2,222 |
0.3% ↑
|
1996年 | 2,215 |
0.28% ↑
|
1995年 | 2,209 |
0.25% ↑
|
1994年 | 2,203 |
0.2% ↑
|
1993年 | 2,199 |
0.15% ↑
|
1992年 | 2,196 |
9.78% ↑
|
1991年 | 2,000 |
-20% ↓
|
1990年 | 2,500 |
12.61% ↑
|
1989年 | 2,220 |
13.85% ↑
|
1988年 | 1,950 |
-14.47% ↓
|
1987年 | 2,280 |
18.75% ↑
|
1986年 | 1,920 |
8.47% ↑
|
1985年 | 1,770 |
14.19% ↑
|
1984年 | 1,550 |
7.64% ↑
|
1983年 | 1,440 |
10.51% ↑
|
1982年 | 1,303 |
-18.26% ↓
|
1981年 | 1,594 |
19.94% ↑
|
1980年 | 1,329 |
19.62% ↑
|
1979年 | 1,111 |
-21.71% ↓
|
1978年 | 1,419 | - |
ニュージーランドのネギ生産は、1978年の1,419トンから2023年の2,719トンに至るまで、約2倍に増加しており、国の農業成長を象徴する一例となっています。1978年から1990年代初頭にかけては変動が大きく、生産量が年ごとに上下する傾向がみられました。この背景には、農業技術の未成熟さ、気候変動への適応力不足、あるいは市場需要に対応する生産計画の難しさが影響していると考えられます。
しかし1990年代後半以降、ニュージーランドの農業は技術革新と効率性の向上により大きく進展し、ネギの生産量も安定的に増加しました。特に2000年以降は、機械化や灌漑設備の改善、種子改良による収穫効率の向上が大きな役割を果たしていると推察されます。この時期のデータを見ると、年々少しずつ増加のペースが速まり、2010年代になると、比較的安定した生産体制が整ったことを示しています。2012年の急上昇は、異常気象や高需要による一時的な増加が要因と考えられますが、その後はほぼ一定の成長率で推移しています。
ニュージーランドは農業国家として知られ、特に乳製品や牧草地活用が中心ですが、こうした環境の中で、葉物野菜の生産も徐々に重視されるようになっています。一方で、気候変動や土壌環境の悪化、季節労働者の確保難といった課題も無視できません。こうした課題により、生産量の変動が今後も発生する可能性があります。例えば、2020年には世界的な新型コロナウイルスによる物流の停滞が、輸出入を伴う農業産品に影響を及ぼしましたが、こうしたリスクはニュージーランドの農業にとって無関係ではありません。
他国と比較すると、ニュージーランドのネギ生産量は小規模な市場にとどまります。世界最大規模のネギ生産国である中国では、年に数百万トンもの生産量が行われており、需要と供給の規模が大きく異なります。ただし、一人当たりの消費量や国内利用の割合を考慮すると、ニュージーランド内での農業の持続可能性に対する貢献度は高いと言えます。他に比べれば規模は小さいものの、品質や流通の効率性で競争力を確保中です。
将来的には、ニュージーランドのネギ生産をさらに成長させるためにいくつかの具体的な対策が考えられます。第一に、気候変動への適応を目的とした災害対策農業の普及が必要です。これは農地周辺の植林や土壌栄養の適正管理を含む広範な取り組みで実現できます。第二に、輸出市場の多様化の推進が挙げられます。特にアジアや中東地域での需要拡大に着目し、輸送コストを抑えた取引網を構築することがポイントです。第三に、労働力不足への対応として、移民政策や自動化技術の導入を加速するべきです。
結論として、ニュージーランドのネギ生産量は技術革新や需要の増加に支えられて一定の成長を遂げていますが、地政学的リスクや気候変動などの課題を見据えた政策が必要です。これらに積極的に取り組むことで、国内外の市場でより一層の存在感を示すことが期待されます。持続可能な農業の実現のため、国際機関や地域との連携強化にも注力することが求められます。