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ニュージーランドの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表したデータによると、ニュージーランドの羊肉生産量は、1960年代から2023年までにおおむね減少傾向にあります。ピークとなった1985年の728,300トンから近年の2023年には442,115トンに低下しており、減少幅は約39%となります。この長期的な減少は、国内外の市場動向、環境政策、土地利用の変化、家畜飼育頭数の減少など、さまざまな要因に影響されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 442,115
1.18% ↑
2022年 436,975
-1.13% ↓
2021年 441,947
-3.83% ↓
2020年 459,544
2.38% ↑
2019年 448,862
-4.19% ↓
2018年 468,481
3.91% ↑
2017年 450,868
-6.19% ↓
2016年 480,607
-1.34% ↓
2015年 487,149 -
2014年 487,142
1.36% ↑
2013年 480,619
5.32% ↑
2012年 456,339
0.95% ↑
2011年 452,041
-4.66% ↓
2010年 474,141
-7.29% ↓
2009年 511,431
-14.4% ↓
2008年 597,458
3.24% ↑
2007年 578,701
6.62% ↑
2006年 542,759
1.86% ↑
2005年 532,846
3.04% ↑
2004年 517,103
-5.55% ↓
2003年 547,491
5.63% ↑
2002年 518,323
-9.2% ↓
2001年 570,841
6.05% ↑
2000年 538,270
8.15% ↑
1999年 497,708
-9.18% ↓
1998年 547,991
1.7% ↑
1997年 538,838
6.08% ↑
1996年 507,952
-3.84% ↓
1995年 528,256
0.84% ↑
1994年 523,849
9.19% ↑
1993年 479,749
-17.06% ↓
1992年 578,453
12.56% ↑
1991年 513,896
-3.04% ↓
1990年 530,000
-13.11% ↓
1989年 610,000
-0.82% ↓
1988年 615,062
0.72% ↑
1987年 610,683
-1.06% ↓
1986年 617,200
-15.25% ↓
1985年 728,300
9.09% ↑
1984年 667,600
-1.87% ↓
1983年 680,300
9.27% ↑
1982年 622,600
-0.57% ↓
1981年 626,200
11.88% ↑
1980年 559,700
8.91% ↑
1979年 513,900
2.45% ↑
1978年 501,600
0.78% ↑
1977年 497,700
-2.94% ↓
1976年 512,800
4.46% ↑
1975年 490,900
-1.33% ↓
1974年 497,500
-10.54% ↓
1973年 556,100
-3.24% ↓
1972年 574,700
1.93% ↑
1971年 563,800
1.82% ↑
1970年 553,700
-0.02% ↓
1969年 553,800
-0.65% ↓
1968年 557,400
8.78% ↑
1967年 512,400
8.33% ↑
1966年 473,000
-0.57% ↓
1965年 475,700
-2.68% ↓
1964年 488,800
5.53% ↑
1963年 463,200
-2.03% ↓
1962年 472,800
3.46% ↑
1961年 457,000 -

ニュージーランドは世界でも有数の羊肉輸出国として知られており、その羊肉産業は長年にわたり同国の経済において重要な役割を果たしてきました。1960年代から1970年代初頭には、国内の土地資源や草原の利用効率の向上によって羊肉生産量が徐々に増加していました。特に1968年には557,400トン、1985年にはこの期間中の最大値である728,300トンを記録しており、これは国際市場で高い需要を誇っていた背景がうかがえます。しかしそれ以降、ニュージーランドの羊肉生産量は長期的な下降トレンドをたどり、2023年での生産量は442,115トンまで減少しました。

この減少の背景にはいくつかの要因が挙げられます。まず、1980年代におけるニュージーランドの農業政策の転換が影響しています。この時期に政府が農家への補助金を削減し、国内農業は市場競争の影響を強く受けるようになりました。その結果、牛肉や乳製品など他の農畜産業との競争が激化し、羊肉産業における農地利用の効率化や生産構造の変化が進みました。また、近年では環境保護政策の強化や温室効果ガスの削減に向けた取り組みが進んでおり、家畜数の抑制が生産量の減少要因となっています。これらの要因は同時に地球温暖化や環境変化への対応策としても注目されています。

さらに、世界市場に目を向けると、中国やインドなどの新興国での食肉需要の増加にともない、羊肉の輸出市場は依然として重要とされています。しかし、ニュージーランドにとって、オーストラリアなど他の主要羊肉生産国との競争が懸念されています。これに関連して、ニュージーランド産の羊肉は高品質であるものの、生産量の減少によって輸出シェアの低下がリスクとなっています。

こうした現状において、ニュージーランドが直面する課題には、持続可能な生産体制の確立、国内外市場のニーズへの柔軟な対応、生産効率の向上などが挙げられます。特に、持続可能性を重視した政策として、牧草地の改善や効率的な家畜管理技術の導入、また、水資源や土地利用における高い管理基準の維持が重要です。また、海外市場における競争力を強化するためには、ブランド価値の向上や付加価値商品の開発を進めることも鍵となります。

将来的には、地政学的リスクも考慮する必要があります。例えば、貿易摩擦や輸出相手国の経済状況、そして地球規模の疫病流行の可能性が同産業に与える影響は無視できません。新型コロナウイルス感染症の影響では、一時的に物流が停滞し、輸出業務に困難が生じた例があります。このようなリスクを回避するための輸出先多様化やサプライチェーンの強靭化も課題として挙げられるでしょう。

結論として、ニュージーランドの羊肉生産量が減少傾向にある一方で、国際的な競争力を維持しつつ、環境保護や持続可能性を両立させる道を模索することが不可欠です。同国政府および関連産業が協力し、環境政策と経済政策のバランスを考えた持続可能な取り組みを促進することが、今後の羊肉産業の発展につながると考えられます。