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ニュージーランドのブルーベリー生産量推移(1961年~2023年)

ニュージーランドのブルーベリー生産量は1972年には1トンと非常に小規模でしたが、以降急速な成長を見せています。特に1980年代中盤から1990年にかけては毎年著しい増加が見られ、1990年には1,230トンに達しました。その後は変動を伴いながらも徐々に増加し、近年では2018年には3,343トン、2022年には過去最高の3,810トンとなっています。このデータは、ニュージーランドがブルーベリー生産国としての地位を確立しつつあることを示しており、国内外の需要が相互に影響を与えています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,814
0.1% ↑
2022年 3,810
3.52% ↑
2021年 3,680
-0.03% ↓
2020年 3,681
0.22% ↑
2019年 3,673
9.87% ↑
2018年 3,343
9.3% ↑
2017年 3,059
-0.46% ↓
2016年 3,073
2.01% ↑
2015年 3,013
0.42% ↑
2014年 3,000
7.76% ↑
2013年 2,784
7.07% ↑
2012年 2,600
-1.1% ↓
2011年 2,629
-0.85% ↓
2010年 2,651
-1.8% ↓
2009年 2,700
20% ↑
2008年 2,250
-11.96% ↓
2007年 2,556
0.64% ↑
2006年 2,539
-8.33% ↓
2005年 2,770
38.51% ↑
2004年 2,000
-7.8% ↓
2003年 2,169
0.97% ↑
2002年 2,149
30.37% ↑
2001年 1,648
9.87% ↑
2000年 1,500
36.36% ↑
1999年 1,100
-10.34% ↓
1998年 1,227
22.68% ↑
1997年 1,000
-16.67% ↓
1996年 1,200
-24.68% ↓
1995年 1,593
6.21% ↑
1994年 1,500
12.81% ↑
1993年 1,330
10.81% ↑
1992年 1,200 -
1991年 1,200
-2.44% ↓
1990年 1,230
30.71% ↑
1989年 941
10.71% ↑
1988年 850
21.43% ↑
1987年 700
27.27% ↑
1986年 550
57.14% ↑
1985年 350
133.33% ↑
1984年 150
50% ↑
1983年 100
100% ↑
1982年 50
51.52% ↑
1981年 33
83.33% ↑
1980年 18 -
1979年 18
157.14% ↑
1978年 7
40% ↑
1977年 5
25% ↑
1976年 4
300% ↑
1975年 1
-87.5% ↓
1974年 8
166.67% ↑
1973年 3
200% ↑
1972年 1 -

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ニュージーランドのブルーベリー生産量は過去50年間で顕著な増加を見せています。1972年にはわずか1トンと極めて小規模だった生産量が、主に栽培技術の向上と海外市場への輸出拡大に支えられて年々着実に拡大しました。特筆すべきは、1980年代から1990年代への劇的な成長です。この期間には、栽培面積の拡大や輸出市場での需要増加が、技術革新や農業政策と相まって急速な成長をもたらしました。1990年に1,230トンを記録し、2000年代にはさらに2,000トンを超える水準を安定して維持してきました。

最近では2018年から2022年の間にも再び成長が加速し、2022年には3,810トンと過去最高を記録しました。これには、ヘルスコンシャスな消費者間でブルーベリーの需要が世界的に増加していることが背景にあります。特に、ビタミンや抗酸化物質が豊富なブルーベリーは、健康促進食品として注目されており、日本を含むアジア市場での人気が高まっています。

しかし、数字の裏にはいくつかの課題も存在します。一部の年次データを見ると、例えば1996年や1997年のように生産量が1,000トン前後まで一時的に減少した時期がありました。このような変動は、気候条件や市場需要の予測困難性に起因する可能性があります。ニュージーランドは地理的に孤立しており、輸出に依存しているため、他国との貿易関係や輸送コストの変動、さらには気候変動による農業生産への影響も無視できません。特に、昨今の地球温暖化の影響で、果実の成長に適した気候パターンが変動するリスクは長期的に注視が必要です。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミックが物流システムと国際貿易に与えた影響も興味深い点です。ブルーベリーは輸送中の鮮度保持が重要な果物であるため、2020年から2021年の間にパンデミックの影響で一部の物流が滞った可能性がありますが、この期間のデータでは生産量の減少は見られません。これは、ニュージーランドが国内需要をある程度吸収しつつ、適切な輸出戦略をとった結果と考えられます。

将来を見据えると、特に気候変動のリスクに対応した持続可能な農業技術の導入が重要な課題となります。たとえば、高密度農法や水資源の効率的利用、新しい耐病性品種の導入などは、有望な対策として挙げられます。また、地政学的リスクを軽減するために、多国間での貿易協定を強化し、より多様な輸出先を確保することも重要です。さらには、アジア市場だけでなく、北米やヨーロッパ市場への輸出拡大を視野に入れることで、需要変動の影響を抑えることが可能です。

最後に、国内外での消費拡大をさらに推進するため、ニュージーランド産ブルーベリーの品質や生産の持続可能性をアピールするマーケティング戦略が欠かせません。このように政策や技術、貿易戦略を組み合わせることで、ニュージーランドのブルーベリー生産は更なる発展が期待されるでしょう。